アーバンライフの愉しみ

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泊原発・廃炉ニュース第50号

2024年12月29日 | ドラミング

 

去る11月15日、札幌高裁にて第5回口頭弁論が開かれました。

主な内容は、下記の通りです。

①能登地震の経験を踏まえ、泊原発においても変動地形学的手法を重視した海底活断層の存在を認定すべきとの第5準備書面を提出した。
②一審被告は、対津波安全性とその前提となる基準津波に関する準備書面を提出した。
③一審原告(在田一則さん)による意見陳述が行われた。

次回の審理は、2025年13月19日午後2時30分からとなりました。大勢の方の傍聴をお願いいたします。

廃炉ニュース50号は、こちらにあります。

 

意見陳述 控訴人 在田一則

在田一則と申します。
2005年3月の定年退職まで北海道大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻において地質学の教育とヒマラヤ・日高山脈の地質学的研究に従事し、現在は一般社団法人北海道自然保護協会の会長を務めております。

ここでは、地質学を学び研究してきた立場から、核エネルギーおよび原子力発電所についての私の考えを述べます。また自然保護から見た原発についても一言触れます。

我が国は、1945年の広島・長崎への原子爆弾投下による凄惨な被曝体験、そして1954年のマーシャル諸島ビキニ環礁での米国の水素爆弾実験による第五福竜丸乗組員の被曝と二度の放射線被曝を経験しました。

もちろん、その他にも各国の原水爆実験地周辺には多くの放射線被曝者がおりますことは言うまでもありません。そして2011年3月11日には福島第一原子力発電所事故による四度目の被曝と放射能汚染を体験し、その影響は多くの避難民への対応、放射性物質に汚染された膨大な廃棄物の処理問題、汚染水の海洋放出、そして廃炉など、多くの問題が今後も長期間にわたって続きます。

一度の被曝体験は原水爆の実験禁止そして廃止を求める国内外の運動となり、日本原水爆被害者団体協議会は「核兵器使用のタブーの確立」に多大な貢献をしたと認められ、今年度のノーベル平和賞を受賞することになりました。

私が高校に入学した1957年に、茨城県東海村で研究用原子炉の火が灯ったことは、当時のソ連が打ち上げた世界最初の人工衛星スプートニクのニュースとともによく記憶しており、これからは原子力平和利用そして宇宙開発の時代が始まるのだと子供心に実感し、人類の明るい未来を感じたのを覚えております。

核反応によるエネルギーは化学反応によるものとは比べものにはならない莫大なエネルギーです。原子力平和利用つまり原子力発電所では、その核エネルギーを、一瞬に放出する原爆とは異なり、核反応を制御棒で制御して放出するのですから、原子力発電所は複雑な高度に設計された装置(機械)であることがわかります。

私はその後、北大において地質学を学び、日本は地球上最大の大陸であるユーラシア大陸と最大の海洋である太平洋の境界にあること、さらにプレートテクトニクス理論の出現により、日本が世界でもっとも火山や地震が多いことの理由は太平洋ブレートがユーラシア大陸の下に沈み込んでいることにあると学び、また自分の研究からもそうであることを確信しました。

2023年10月30日に、300名余りの地球科学の専門家が、現在日本で進められている高レベル放射性廃棄物の処理問題について、「世界最大級の変動帯の日本に、地層処分の適地はない~現在の地層処分を中止し、開かれた検討機関の設置を~」と題する声明を公表しました。私はその声明の呼びかけ人となりましたが、それは私の地質学研究者としての体験からです。

声明では、2012年9月の日本学術会議の原子力委員長への回答「高レベル放射性廃棄物の処分について」で提案されている「暫定保管および総量管理を柱とした政策枠組みの再構築」に賛同しています。ここでの総量管理とは、放射性廃棄物の量をこれ以上増やさないために、厳しく規制管理することです。つまり、原子力発電所をこれ以上増やさないということです。

この意味でも私は泊原子力発電所の再稼働に強く反対いたします。

最後に現在の私の立場から一言申し上げます。
自然を破壊する要因としては、人間の活動が最大と言えます。しかし、短時間での大規模な目然破壊としては戦争あるいは核実験や原発事故が最大と思います。

自然保護や環境問題においては、「世代内倫理」あるいは「世代間倫理」という言葉があります。原発設置では、原発は幾重にも安全性をはかっているので、安全であると盛んに言われます。そうであるならば、なぜ、自然を破壊する長距離かつ大規模な送電線が不要な大都市の近くに原発を設置しないのでしょうか。その理由はいろいろあるかもしれませんが、私には、これは原発という高度に複雑な機械装置が言われているほど安全ではないことの傍証ではないかと思います。

また、原発が作り出す膨大なエネルギーは大都市が享受し、原発事故などの厄難は原発設置の地方が被ります。これは世代内倫理の例です。また社会学で言われる受益圏と受苦圏の構造とも言えます。このような構造は私が子供の頃にあった、石狩炭田の石炭を享受する首都圏と炭坑事故という悲惨な災害を被る産炭地という構造と相似します世代間倫理は、端的にいうと、材木が必要だからと言って森林を伐採し、未来の世代が必要な分までを切ってしまっても良いのかという問題、つまり未来世代に対する倫理です。

世代間倫理は、環境問題のみならず、いろいろな問題で重要な考え方ですが、原発問題についても言えます。原発が出すいわゆる核廃棄物の処理問題は原発発足の当初から言われていますが、いまだに解決の糸□もありません。我々が享受している(あるいはさせられている)原発の恩恵のツケを未来の人たちに回すことを避けなければならないことは人間の倫理として当然のことと思います。

このように、世代内倫理および世代間倫理の考え方からも、私は泊原子力発電所の再稼働に強く反対いたします。

 

 

 

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厳しい現実

2024年12月29日 | アーバンライフ

厚生年金の男女別平均受給額(月額)です。

厚生年金は、サラリーマンの勤務実態が如実に反映されるため、男女の賃金格差がそのまま現われています。

人数が最も多い受給額は、男性で17~8万円、女性で9~10万円となっています。

これに基礎部分となる国民年金(月額6万円ほど)を足しても、老後を安心して送れる年金額とはなりません。

 

 

 

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