きみの友だち (新潮文庫)重松 清新潮社このアイテムの詳細を見る |
私にとって重松清は本当に外れがない作家。たぶん合うんだろうなあ、と。ああ、べたやなあ、と思いながらも見事に泣かされていたり。
重松清の作品にはこどもを主人公としたものが多く、読者を限定はしていないけどこどもに、主人公と近い年代のこどもに読んで欲しい(もちろん、それを通過した大人にも)、という気持ちが分かります。手法としては児童文学じゃないけど、非常に近いところにいる作家さん、だと思います。
『きみの友達』は連作短編集。軸がふたつあり並んだ作品の時間は、その軸を交互に行きつ戻りつします。
最後のエピローグでいっきに時間が進むのですが、およそ14年の歳月が語られています。
交通事故で足が不自由になった恵美。彼女の友達、由香は腎臓病で入退院を繰り返している。クラスで浮いてるふたりはふたりきり、だけど、形だけの友情に振り回されるみんなからみると…実は。
もうひとつ軸になるのは恵美の弟とその友達たち。友情、友達、生きること、それらへの疑問、問いかけ。
物語が進むにつれ、時間は、残された時間の短さ、となります。
なんで別れることになるのなら出会ってしまうのだろうか。
途中で本を置くことができなくて電車の中でも涙しました。