千里伝 (講談社文庫) | |
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講談社 |
「僕僕先生」の仁木英之の新しいシリーズの文庫版です。
今回ももちろん、舞台は中国。あとがきによると実在の人物をモデルにしているらしく、日本人がこれを描くのかと日本の武侠小説(中国の英雄を描いた血肉湧き踊る娯楽小説)の研究者も驚く人選らしい。
主人公千里は、血筋はよいものの異類を母に持ち(英雄譚には異常誕生のモチーフがつきもの)姿の成長が5歳で止まっている。ある日、母とその後、父が異界にさらわれ…。内面の成長が伴っていない千里は出会った仲間たちと天地創造のカギとなる図を探す旅に出る。
言葉が通じない吐蕃族バソンの性格こそは主人公らしく感じるくらいかっこいいんですが、千里はボンボンでいけ好かない!!こんなやつ痛い目にあえばええねん、と思って読み進めてしまいましたけど、これも作者の計算。ふふ…、わ、分かってましたよ。
アクション満載でそれぞれのキャラクターも楽しく、中国歴史の堅苦しさのないファンタジー。今後の展開も楽しみです。