朝井まかて『朝星夜星』読了
幕末から明治にかけて、長崎、大阪で洋食屋(やがてホテルに)を開いた夫婦を妻の目から描く。女の一生でもある。
ラストのユーモアあふれる描写に泣きそうになった。ネタバレになるから書かないけど。
「君が代」や夫を支え家を守る妻の役割は明治以降のものなんてことがサラッと書かれていて、あ、そうかと。この視点、俯瞰で書いていてこそ。
主人公が「お家さん」になることが説明なく書かれていて、相変わらずの情報量。一体どれだけ調べて肉にしてはるのか。連載後、親族から連絡があり取材された分が加筆されてるとか。
中之島あたりの大大阪の雰囲気もよく分かった。自由亭の大阪での出発地梅本町は母校の母体教会のあったところや。こういう雰囲気の町やったのね。
五代友厚が出てくるので余計に重なるのだが、幕末から洋食の世界に飛び込んだ草野丈吉はファーストペンギンであったことよ。