浪漫飛行への誘(いざな)い

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ドナウの旅人

2018年05月18日 23時18分39秒 | 旅行


1985年にドイツのフランクフルトに赴任したが、その際に持参した本の一つが「ドナウの旅人」(宮本輝著)であった。この長編小説はフランクフルトの街から始まり、ドナウ川に沿ってルーマニアまで旅するのである。

この小説の魅力の一つは、小説とはいえ、出てくる町名やレストラン名がほとんど実在するものであったことである。実在するものがあると妙に引き付けられるし、この小説を片手にドナウの旅に出たものである。フランクフルトでは、「ダ・クラウディオ」というイタリアン・レストランが出てくる。実際にあるレストランで、2回ほど食事に行ったことがある。この小説が世に出た頃、小説を持ってこのレストランに来た日本人がたくさんいたという話を聞いた。小説に出てくるレストランで食事をするというのは、なかなか乙なもので、感慨深い。ハンガリーに旅行した時も、ブダペストでやはり小説に出てきたレストランに行ったことがある。

宮本輝氏は、芥川賞作家として有名であるが、ドナウの旅人の執筆にあたって、1982年にドナウ川流域を巡る取材旅行を行い、1983年から朝日新聞で連載を開始したとのことである。

後に、フランクフルトでこの取材旅行をお世話した人が自分の仕事上のお客様であることが分かった。ダ・クラウディオも彼が宮本輝氏を食事に誘い、紹介したようである。その方に間に入っていただき、1988年9月には、宮本輝氏の文化講演会が実現することになった。当時、支店の移転に伴い、カウンターに多目的の展示スペースを確保したプラザ施設を持っていたので、そこに椅子を並べて、50人以上収容できる講演会場とした。航空券代は当方で持ったが、講演料はご好意だったような気がする。「小説を創る瞬間」という演目で講演をいただき、地元の日本人から好評を博した。講演会終了後は、ザクセンハウゼンという一角にあるレストランで打ち上げを行い、大いに盛り上がった。

1989年10月には、テレビ朝日の開局30周年記念ドラマスペシャルとして、「ドナウの旅人」がテレビドラマ化されたが、その際にも宮本氏がフランクフルトに来られ、ドラマ化についていろいろな話を伺った。主演は佐久間良子、麻生祐未、根津甚八さんで、小説とは違った臨場感があった。ドラマではフランクフルト、レーゲンスブルク、ウィーンやドナウ川周辺の街並みも随所に出てくるので、国際色豊かな旅番組としても興味深いものがある。旅好きな方であれば、是非とも本を一読するかテレビ映像をみてほしい。


写真は、講演会及び打ち上げ(右から3番目が宮本輝さん)の模様 



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