正月休みあけの初日。
週に2回、顔を合わせる知人がいる。
開口一番、「がっくりしちゃった」とぼやきだした。
腕によりをかけて、実家の親をも呼んで、愛情こめて、作った料理を電車に忘れてきたという。
詳しくきくと、まだ当日の朝の話。
車内に忘れたのは確からしい。
本人は、悔しがるものの、もう、出てこないよと、諦めきっている。
けしかけて、駅に電話してみた。
降車の時間やら、包みの状態やらを電話口で説明する。
一通り伝えたところで、「えっ。ありますか?」ととたんに声が明るくなった。
伝えたのに該当する忘れ物が駅長室のところにあるとのことだった。
明日、出直すからと、来た時とはうってかわって、元気を取り戻して、帰っていった。
そして、翌日。
元気一杯か思いきや、また少し元気がない。
聞くと、忘れ物は出てきたけれど、端正込めて作った料理の内、干し柿だけしか
なかったのだという。
お重に入った、黒豆などは、姿がなく、ぺちゃんこになった、バッグにに入っていたのは、
唯一、甘くておいしい干し柿だった。
「一つだけでも戻ってよかったね」と慰めたものの、残念な気持ちは癒えそうになかった。
以前、白馬に出かけた時に、土産物とペットボトルを忘れたことがある。
駅員に申し出たが、結局一つも戻ってこなかった。
ペットボトル(ケース付き)には、印はついていても名前なんかない。土産物も、当然名無し。
1週間近く、悔しかったことを、今でも時折思い出す。
昨日は、たまたま、電車内で根付みたいなものを拾った。
座席に座っていた人が、電車を降りようと席を立った時に、落ちてきたのが見えたので、「落ちましたよ」
と渡そうとしたら「私のじゃありません」と言われてしまった。
元へ戻すわけにもいかずに、その電車の車掌さんに、「落し物です」と渡してきた。
持ち主に戻る物。
持ち主が現れない物。
持ち主が不明で落とし主に権利が移る物。
落し物も、色々。
落ちていたものを、拾った人が勝手に、自分のものにするのは、「拾得物隠匿罪」という軽犯罪。
きちんと届けないといけないのですよ。
ただ、落とし主の現れない品物がどんどん増えて困っているのが、警視庁の忘れ物係。
高額のものは、ネットで調べられるようになったとか、ニュースでみたが、むなしく保管されている品物は、ものすごい量らしい。
いい方法はないものか。