ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

サガリバナ

2018年04月18日 | 草木:高木

 15日、久茂地のクラブDセットでJIMAMAのライブを鑑賞する。ライブは午後8時の開演、仕事が終わって家に帰り、着替えて、すぐ出る。安謝経由で那覇の街(国際通り近辺のこと)へ向かうバスに乗る。7時少し過ぎた頃、パレット久茂地前で降りる。時間もあったし、ライブ会場へ行く前に寄りたい所があったので、少し遠回りをした。暑い夜だった。あまり汗をかかないように、元気の無いじいさんのようにとぼとぼ歩いた。
 (※2004年7月の話)

 国際通りを牧志方面へ向かって歩き、一銀通りを左へ折れる。安木屋の角を右へ曲がると元山形屋の裏道へ抜けるスージ(路地)がある。そのスージを入って少し行ったところの民家にサガリバナの木がある。この時期、もう盛りは過ぎてしまったが、傍を通ると、花の甘い匂いを感じることができる。遠回りしたのは、その花の写真を撮るためだった。
 予想した通り、花の盛りは過ぎていたが、少し高いところにいくつかの花房が残っていた。見上げるようにして写真を撮る。全体像も撮る。もう薄暗くなっていたので、後で見た写真は暗かった。が、ここがデジタルのいいところ。パソコン上で明るさやコントラストの調整をする。これで何とか観賞に耐えられるだろうとは思うが、やはり不満。来年は盛りの時期に訪れよう。きれいな花を、きれいに撮ってやろうと思ったのだった。
     

 JIMAMAのライブは、たくさんの立見が出るほどの盛況。イカシタ人妻と、その娘のカワイイ女子高生と三人で観賞。いいこと尽くめの夏の夜だった。(※以下の写真は翌年以降に撮って追加したもの)
 
 サガリバナ(下がり花):主木・添景
 サガリバナ科の常緑高木 奄美以南の南西諸島、他に分布 方言名:キーフジ
 名前の由来は『沖縄四季の花木』に「20~60センチ(の長さ)の花柄が出て・・・垂れ下がる。サガリバナの名の由来はここからきている」とあった。その花柄1本に40~50個の花蕾をつけ、藤のように房状に長く垂れ下がる。その様が藤に似ているところから方言名のキーフジ(木の藤)は来ている。別名サワフジ(沢藤)とも言うが、これは本種の好適生育環境がが湿り気のある池や沼の近くであることから。
 高さは4~10m、葉は大きく長さ10~30センチほどになる。枝の先から花柄を出し、花柄1本に40~50個の花蕾を着け、花柄の基部の方から先へ向かって次々と花を開いていく。花色は白色または淡紅色。開花期は6月から8月。糸状の雄しべが極めて多く、長さ3~4センチと花弁より長く、目立つ。花は夜開き、朝には落下するが次々咲くので長く楽しめる。花はまた、芳香を持ち、傍を通るとすぐそれと判る。
 果実の果肉部はコルク状となっていて水に浮き、種は海上を漂い遠くへ運ばれる。西原町には樹齢450年の古木があり、その花期には多くの人が観賞に訪れるとのこと。
 
 花:下から
 
 花:近くから
 
 花:朝の落ちかけた花
 
 果実

 訂正加筆:2018.9.26
 記:2004.7.19 島乃ガジ丸 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行


コガネノウゼン

2018年04月18日 | 草木:高木

 去年の4月、埼玉在の大学時代の友人に頼まれて、沖縄を訪れた彼の友人を観光案内した。会ったその日は、ヒージャー(山羊)料理を食い、その後、彼の希望で、ある有名な飲み屋へ行く。その飲み屋、酒も肴も美味いのだが、私はその雰囲気があまり好きでは無く、かつて2度ほどしか行ったことが無い。沖縄の文化人たちが集まるという飲み屋。
 翌日、沖縄のアメリカを感じてもらうためにコザ(現沖縄市)の街へ連れて行った。コザ一番街近くの駐車場へ車を停め、散歩する。それが目的で行ったのでは無く、そこにそれがあるということも、その時私は知らなかったのだが、偶然、鮮やかな黄色の花が満開の並木道へ出た。後で訊くと、イッペー通りと呼ばれる道であった。その道の存在を知らなかった私は当然、その花の時期に訪れたのは初めてで、「おー!」と声が出るほど感動した。同行の客はしかし、花よりだんごの口のようで、ほとんど興味を示さず、「きれいですね」の感想どころか、「何ていう花ですか」と質問することもなかった。

 通称イッペーと言う。イッペーは「いっぱい」、つまり「たくさん」という意味のウチナーグチ(沖縄口)で、知人の話では「花がいっぱい咲くからイッペーだ」とのことだが、まさかそんな、と思う。同じノウゼンカズラ科の落葉高木で、原産が南米のものにイペーという木があり、こちらは花の色が濃い桃色なのだが、これと混同したのではないかと私は思う。イペーは大木で、高さ20mにもなり、こちらのイッペーは、よく見かけるのは4、5mの高さで、花色も全然違うので、どうして両者を混同したのかは不可解なことなのだが、ウチナーンチュだからテーゲー(大概)だったんだとしか言いようがない。
 春、鮮やかな黄色の花を見せてくれる。4月の沖縄でとても目立つ木。これぞ南国の春の色って感じがする花の色。外来種なのではあるが、いかにも沖縄って感じがする。最近は民家の庭でも多く見かけるが、上述の沖縄市のイッペー並木が有名。
 
 コガネノウゼン(黄金凌霄):花木・添景
 ノウゼンカズラ科の落葉高木 原産分布はコロンビア、ブラジル 方言名:イッペー
 陽光地で良く育ち、花付きも多くなる。耐潮風性が弱いので、海岸付近での庭に用いるのは難しい。高さ10m以上に達する。開花期は3月から4月。
 英語名はゴールデン・トランペット・ツリー、その名の通り、金色(鮮黄色)のラッパ形の花を多くつける。方言名のイッペーは“いっぱい”という意味と聞いている。それが「なるほど」と肯けるほどに、樹冠に鮮黄色の花をいっぱいつける。
 『新緑化樹木のしおり』には高さ10~20mとあるが、それほどの大木を見たことがない。同属のイペー(アカバナイッペー)には大木がある。
 “のうぜん”という漢字、とても“のうぜん”とは読めない難しい字なのだが、広辞苑にあったので、ここで使わせてもらった。
 
 花
 
 実

 記:2005.3.18 島乃ガジ丸 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行


ゲッケイジュ

2018年04月18日 | 草木:高木

 今週日曜日(10月9日)、近くで運動会らしき行事があった。「次は○○競技です」とか、「がんばれ、がんばれ」とかいうアナウンスが朝から聞こえていた。どこの学校なのかは不明。引っ越してから近所の散歩をまだしていないので、近くに何という小学校、または中学校があるか知らない。まあ、なんにしろ運動会の季節ではある。
 子供の頃、運動会は好きでなかった。成長期も終わる頃の中学三年になって急に速くなり、リレーの選手にも選ばれたりしたが、小学校の運動会のかけっこではいつもビリか、ビリから2番目だった。栄冠を得たことは一度も無い。

 栄冠とは「勝利の印として与えられる冠」のことだが、そういってすぐ思い浮かぶのは月桂冠、月桂冠といってすぐに思い浮かぶのは日本酒の銘柄だが、ここでいう月桂冠とは「古代ギリシアで、月桂樹をアポロン神の霊木とし、その枝葉を輪にして冠とし、競技の優勝者などに被らせて賞讃の意を表したもの。」(広辞苑)のこと。
 ゲッケイジュは栄えある木なのである。神木なのだ。尊い木だ。ところが私は、ゲッケイジュというと月桂冠よりも先にローリエという言葉が思い浮かぶ。ローリエという名前よりもなお先にビーフシチューが思い浮かぶ。牛肉をよく食べていた頃、料理にたっぷり時間をかけていた頃、ビーフシチューもよく作った。シチューの素なんて使わない。ワインで煮込んで小麦粉でとろみをつける。その時、ローリエは欠かせなかった。
 
 ゲッケイジュ(月桂樹):庭園・香辛料
 クスノキ科の常緑高木 地中海地方原産 方言名:不詳
 名前の由来は資料が無く不明。ちなみに、桂は、日本ではカツラ科の落葉高木カツラを指すが、中国ではモクセイ科の常緑中木ギンモクセイ(銀木犀)のこと。ギンモクセイは花が香ることで有名、本種は葉が香る。その辺の繋がりがあるかもしれない。
 香りのある葉はローリエ、またはベイリーフと呼ばれ、香辛料として主にシチューなどの肉料理に利用される。実にも同様の香りがあり、葉と実からは月桂油が採れ、香辛料に用いる他、香水にも利用されるとのこと。
 花は淡い黄色で小さく、あまり目立たない。開花期は4月下旬から5月とのこと。沖縄では環境が合わないのか、職場のゲッケイジュ、今年4月初めから5月にかけて観察し、花芽らしきものは確認しているが、それが開いたのは見ていない。
 高さは5~10mで、民家の庭にも使い良い。日当たりを好む。小枝や葉を用いて、勝利者の栄冠とされる月桂冠が作られる。
 
 葉

 記:島乃ガジ丸 2011.10.11 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行


クワノハエノキ

2018年04月18日 | 草木:高木

 若い頃、合コンで出会った女性たち、同じく若い頃、寄り添ってお話ししてくれる飲み屋の女性たちの中には好き(惚れるまでは行かない、できればお付き合いしたいという程度)になった女性が少なからずいる。と書きながら遠い昔に想いを巡らす。
 「少なからず」はいる。少なくとも3人はいる。その3人の顔が夜目、遠目、傘の下みたいにおぼろげに思い浮かぶ。名前はまったく思い出せない。二人は小柄で美人だった。残る一人は顔は普通だが大柄でスタイルが良かった。などという見た目の特徴は思い出せるが、どんな人柄だったかはほとんど思い出せない。
 高校大学の頃、仲良しだった女子たちは、その概ねの顔を覚えていて名前も出てきて、どんな人柄だったかもだいたいは思い出せる。合コンや飲み屋で出会う女性たちはせいぜい3、4回会うだけだが、高校大学の頃の仲良したちは何度も会って、いろんな話をしているから強く記憶に残っているのだろうと思われる。

 クワノハエノキは3、4年前から今年までにA公園、B公園、C公園などで数回会っている。だけど今、クワノハエノキを前にして「この木何の木?」と問われても答えることができないに違いない。これといって特徴の無い木としか私には見えないからだ。この先何度会っても覚えられないかもしれない。おしゃべりでもしてくれたら「面白い考えを持った木」などと特徴づけられて、覚えることができるかもしれないのに、残念。
 
 クワノハエノキ(桑の葉榎):公園・庭園
 ニレ科の半落葉高木 分布は山口以南、南西諸島など 方言名:ビンギ、カビンギー
 エノキ(榎)と同属で、葉がクワの葉に似ていることからクワノハエノキ(桑の葉榎)という名。別名をリュウキュウエノキという。これはおそらく、分布が山口以南の暖かい地方で、南西諸島に多いことからだと思われる。
 葉は、基部が左右非対称になっていて、クワの葉より一回り大きめ。花は3月に咲くが特に目立たない。実は8月頃赤褐色に熟し、食用となる。
 高さは10mほどになる。萌芽力が強く、剪定に耐えるので、成形しておけば民家の小さな庭にも景観樹として使える。
 学名はCeltis boninensis Koidz.
 エノキはCeltis sinensis var. japonica
 
 葉
 
 実

 記:島乃ガジ丸 2011.10.18 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行


クロガネモチ

2018年04月18日 | 草木:高木

 職場の敷地は広い。事務所、先代社長の家、その長男の家、次男の社長の家があり、10台は停められる駐車場があり、庭も広い。庭や駐車場周辺には多くの樹木が植えられてあって、近辺では緑の多い一角となっている。そこに寄って来る昆虫も多い。

 先週の月曜日、出勤して、駐車場から事務所へ向かって降りていくと、先代社長宅前に4、5歳くらいの男の子が虫取り網を持って立っていた。その後には3歳くらいの女の子と、さらにその後に彼らの母親、私も顔見知りの社長の妹が立っていた。3人は同じ辺りを見ている。その目の先を追うと1匹の蝶がいた。この辺りではあまり見ない蝶。ナガサキアゲハであった。母親が息子の網を使って見事捕まえた。近寄って声をかけた。
 「おはよう。それナガサキアゲハだと思いますよ。写真撮らせてください。」
 「いいですよ。ついでに、私触れないから、虫篭に入れてもらえますか?」
ということになって、私は網の中に手を入れて蝶を左手で軽く掴む。虫篭に入れる前に写真を撮ろうと右手にカメラを構える。カメラのスイッチを入れようと私がモタモタしている間に、蝶はここがチャンスとばかりに渾身の力を込めて私の手を振りほどいた。せっかくお母さんが捕まえた蝶がヒラヒラと飛んでいくのを少年は悲しげに見ていた。いやはやまったく私の大失態なのであった。少年には申し訳ないことをしてしまった。

 モチノキの樹皮から作られるという鳥もち、モチノキとは近縁種のクロガネモチからもできるらしい。その時、鳥もちさえ持っていれば、ナガサキアゲハを逃がさずに済んだかもしれない。掌にくっつけて、きれいな写真も撮れたに違いない。
 
 クロガネモチ(黒鉄黐):主木・添景
 モチノキ科の常緑高木 関東南部以南、沖縄、他に分布 方言名:サバムッチャガラ
 モチノキと同じモチノキ属で、全体的にモチノキより黒っぽく見えるからクロガネとつくらしいが、近眼老眼のせいか私にはそうは見えない。むしろ、幹肌はクロガネモチの方がより白っぽい感じがする。あるいは、クロガネモチは自然に放っておいても整った形になるので、剪定などの手間があまりかからない。そこから苦労が無いモチノキということになり、クロゥガネェモチで、クロガネモチとなった・・・なんてこともきっと無い。方言名のサバムッチャガラも、タイのボクシング選手の名前みたいで面白い名前だが、意味不明。想像すれば、サバは草履のこと。ムッチャガラはくっつくもの、または、くっつけるものといった意味で、草履もくっつける樹液を持った木ということか。
 高さは10mほど。成長は遅い。日当りの良い場所でよく成育するが、耐陰性もある。萌芽力が強いので強剪定にも耐える。自然に美しい樹形となる。モチノキの近縁種で、モチノキと同じくその樹皮から鳥黐(とりもち)が採れる。
 花は淡紫色で、開花期は4月から6月。これまたモチノキ同様、花よりも秋に赤く色づく実の方に観賞価値がある。
 
 花
 
 葉
 
 沖縄産
 
 沖縄産の葉

 記:島乃ガジ丸 2006.7.18 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行