明後日は来週であり、来月であり、そして来年でもある。来年だ、2012年だ。ついこのあいだ2011年が来たかと思ったらもう2012年だ。
正月のことを初春とも言うが、この「春」は旧暦で言う正月のことで、新暦にすると概ね1月の終わりか2月の初め頃となる。その頃は一年で最も寒い時期だ、春と言われても体が納得しない。たぶん、春を待ちわびているせっかちな人が、「名前だけでも春として気分を温かくようぜ」と言い出したに違いない。ホントの春が来るまでの約一ヶ月、名前だけでも春を味わおうという魂胆なのであろう、・・・たぶん。
春、ホントの春が来たなら楽しみは一杯ある。嫌いな食べ物がほとんど無い私は、好きな食べ物はたくさんある。たくさんある中でもタケノコは上位に入る。春になればよく食べている。旬じゃない時でも真空パック入りの茹でタケノコをたまに食べている。
私は自産自消を目指している。タケノコもそうしたいのだが、竹は広がると聞いているので、自分の狭い畑に植えるのを躊躇している。私はまた、自産自消ができない場合は地産地消を心掛けている。ところが、沖縄産タケノコがスーパーなどで売られているのを今まで見たことが無い。三十年程前、沖縄でタケノコを生産しているという噂を聞いたが、その現場を見ておらず、その後はそんな噂をちっとも聞かない。
沖縄でタケノコを栽培しないのは、私がタケノコを栽培しないのと同じで、土地が狭いからかもしれない。米軍基地に取られて余裕がないのだ、・・・きっと。
リョクチク(緑竹):景観、添景、食用
イネ科の常緑竹類 原産分布は関東以南、沖縄、他 方言名:マータク
名前の由来は資料が無く不明だが、棹が緑色をしているので緑竹だと思われる。棹が緑色をしている竹は他にも多くあるが、本種は特に緑なのであろう。
方言名のマータクは、漢字で書くと真竹となるが、同じ漢字表記のマダケとは別。竹の中の竹、これぞ竹といった「真の竹」の意味だと思われる。
「食用栽培として多い」と文献にあったが、沖縄産リョクチクのタケノコがスーパーの店頭に並んでいるのを見たことが無い。そもそも、沖縄産タケノコはどの種類も見たことが無く、営利栽培はされていないと思われる。ただ、本種のタケノコは「とても美味」らしいので、自家消費で栽培しているところはあるかもしれない。食べてみたい。
高さ6~12m、径3~12センチ。株立ち性。筍は4~11月に出て美味らしい。
記:島乃ガジ丸 2011.12.30 →沖縄の草木目次
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
私は、女女した女性が苦手である。「女女(おんなおんな)した」とは漠然とした言い方であるが、言い換えると、・・・言い換えてしまうと、世の女性を敵に回すことになりそうなので、少し躊躇するが、ここは一つ勇気を持って、言い換えよう。・・・言い換えると、「なまくら刀で竹を横に割ったような性格」となる。・・・ごめん。
さっぱりと割れない。たくさんの何かが、たくさんのどこかに引っかかってごちゃごちゃしている。いつも何か難しいナゾナゾを出されているような気分になる。「映画に行きたいのか、行きたく無いのか、はっきりせい!」、「ラーメン食いたいのか、食いたくないのか、はっきりせい!」などに対しては、「私が映画に行きたいのか行きたくないのか、ラーメン食べたいのか食べたくないのか、ってことは、あなたが感じてよ。」ということなのだろうか。あー、頭痛がする。私は長く生きている割には、人の心を読むという修行が不足している。本心がどこにあるのかを掴む、ことを苦手としている。
友人のK女は人妻であり、三人の子供の母であり、孫もすでに一人いる。もう十分にオバサンであるが、私は彼女が好きである。彼女は、竹を(縦に)割ったような性格をしている。意思がはっきりしていて、感情の焦点もボケたりしない。喜んでいるときは喜んでいるし、悲しんでいるときは悲しんでいるし、怒っているときは怒っている。修行不足の私にとってはまったく、付き合いやすい人なのである。
彼女の住まい(10年ほど前に新築して今は別だが)を訪ねた時、その庭の一角にマチクが植えられていた。マチクは何本もの幹を真っ直ぐ空に向けて立っていた。その力強さと真っ直ぐな立ち姿が、まるで彼女を表しているかのようであった。
マチク(麻竹):景観、添景、建材、食用
イネ科の常緑タケ類 ミャンマー 原産 方言名:ファーマギーダキ
真竹ではなく、麻竹と書いてマチク。名前の由来は資料がなく不明。麻は麻布の材料となる植物麻のことだが、本種とは全然似ていない。漢字の麻には「繊維をはぎとるさま」という意味があるようだが、本種から繊維が採れるとは文献に無い。
方言名のファーマギーダキは、ファー(葉)のマギー(大きい)竹。高さは15~25m、径10~15センチとなり、沖縄に自生する竹では最も大型の一つ。地下茎は長く伸びることはなく、株立ち性となる。
非石灰岩質土壌(沖縄島では中北部)に適し、そのような場所に自生する。また、庭木としても古くから利用され、沖縄島南部でも見ることができる。
竹の子は7~10月に出て美味とのこと。あの、ラーメンに欠かせないメンマの原料とのこと。中国文化の影響を強く受けた沖縄ではスンシー(筍絲)と呼ばれ、炒め煮などの惣菜として古くから親しまれている。ただし、スンシーはほとんど台湾産。沖縄産は見たことが無い。本種は、沖縄では主に庭木や建築用材として利用されたらしい。
学名は、Dendrocalamus latiflorus Munro
2009.10訂正加筆(K女の孫は二人となった)
棹
記:島乃ガジ丸 2006.7.15 →沖縄の草木目次
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
先週、新春第一週目にアシタバを紹介した。明日という言葉が新春に相応しいと思ったからだが、新春第二週目に紹介するのは竹、松竹梅と謳われるほどに縁起の良い植物で、門松にも使われている、いかにも正月らしい植物だから。
竹の中でも今回紹介するのは真竹。真の竹というからには、竹の王者で、そういう意味での「竹の中の竹」であろうと思ったからだが、調べるとそうでもなかった。真とは、よく見る竹、どこにでもある普通の竹という意味での「竹の中の竹」ということのようである。ただ、その姿はすらりと高く、竹の王者といっても差し支え無いと私は思う。
「すらりと高い」マダケ、沖縄にも分布するらしいが、実は私は、沖縄ではその姿をそれであると知って見たことは無い。沖縄では見ていないが、倭国へ旅行した際に何度も見ている。倭国の公園は概ね親切なので、竹にも名札が付いていたりする。それで、「あーこれがマダケか、これがモウソウチクか」と私も認識できるのだ。「最も普通の竹」と広辞苑に書かれているマダケは、あちこちでお目にかかっている。
「沖縄ではお目にかかっていない」マダケ、実は私は、たとえお目にかかったとしてもそれがマダケであると判断できる自信が無い。沖縄で普通に見られるダイサンチクとよく似ているらしいのだ。両者の区別が私にはできないと思う。
ということで、写真は鹿児島在の友人Nに頼んだ。心優しいNは、ちゃんとマダケを探してくれて、写真を送ってくれた。二ヶ月近くかかったが、彼によると、マダケとモウソウチクは見た目が似ているとのことであった。私の調べでは、マダケよりモウソウチクの方が大きく、モウソウチクの葉には斑点がある。それを伝えておけば良かった。
マダケ(真竹):防風林・添景
イネ科の常緑竹類 原産分布は関東以南、沖縄、他 方言名:カラタキ
広辞苑に「最も普通の竹で関東以南の各地に、竹やぶを作る。」とあり、最も普通ということから真とついたと思われる。マタケと濁らずに言うこともある。
方言名のカラタキは唐竹という意味だが、和名の唐竹(カラタケ・トウチク)は「中国渡来の竹。笛などをつくった。」(広辞苑)のこと。棹の径3~4センチの細い竹で、日本庭園などで竹垣材として多く用いられているもの。
稈は高さ8~20メートル、径は10センチ、各節に2本の環状隆起線がある。孟宗竹の無い沖縄では最も大型の竹の一つ。棹は建築材、タケノコは食用、棹の皮も有用。
酸性土壌を好むとのことで沖縄島北部の赤土に適するようだ。私の住む那覇近辺ではあまり見ない。沖縄のマダケのタケノコを私は食ったことが無い。沖縄産タケノコがスーパーで売られているのを見たことが無いからだ。沖縄の赤土は粘土質で固く、その中で成長するタケノコもまた堅くなるのではないかと、これは私の推測。
琉球王朝時代、「公儀用として王室のために用い、また鹿児島に移出した。」(沖縄語辞典)とのこと。どんな公儀なのかは不明、行事の際の儀式とか、王府、王族関係の建築材としたのか。なお、鹿児島は薩摩、移出は輸出の間違いだと思われる。
学名は、Phyllostachys bambusoides Sieb. et Zucc
葉と鹿児島の空
記:島乃ガジ丸 2009.12.29 →沖縄の草木目次
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
年が明けた、2012年となった、だからといって私の身に何らの変化も無い。今年もまたいつものように程々に楽しんで生きていくであろう。
程々で十分と私は思っているので、大きな幸せ(って何だろう?一般には宝くじで3億円とか、結婚とかかなぁ?)を望んで神頼みなどしない。おそらく、大人になってから一度も無いと思う。お守りの類も買わないし、幸運を呼ぶなんたらというのも興味が無い。仏壇に手を合わせることはたびたび(沖縄の風習では少なくとも月に2回はある)あるけれど、何か祈ったり、頼んだりはしない。何も思わずただ手を合わせている。
そんな罰当たりの私だが、めでたい正月に欠かせないものとして七福神なるものがあることは知っている。七福神の一柱(神の数え方、罰当たりでも知っている)に布袋様がいることも知っている。さて、正月、子供たちに会うのを恐れている私(お年玉が怖い)が2012年最初に紹介するのは布袋様を名前の由来にしている植物、ホテイチク。
ちなみに、罰当たりの私だが、七福神には弁天様、福禄寿、大黒様などがいることも知っている。・・・残りの三柱は何だったか、今は思い出せない。
ホテイチク(布袋竹):添景、釣竿、食用
イネ科の常緑竹類 中国原産 方言名:チンブクダキ
名前の由来、資料が無く正確な所は不明だが、広辞苑に布袋竹との漢字表記があり、そこから容易に想像できる。「稈の下部は節間が短く、膨れ出して」(広辞苑)の膨れたところが布袋様のお腹の膨れ具合のように見えるからだと思われる。
方言名のチンブクダキ、チンブクは中年以上のウチナーンチュには馴染み深い言葉だと思う。ベテラン中年の私も良く知っている。チンブクは釣竿のこと。棹が釣竿用に使われることからチンブク(釣竿)ダキ(竹)となる。子供の頃、祖父に連れられてフナ釣りへ行った。オジーの肩に長いチンブクダキ、私の肩に短いチンブクダキがあった。
高さ5~12m、径3~7センチ。鞭根性。棹が太り、節が電光状となるのが特徴。筍は食用となるらしいが、美味であるということは無いみたいである。
記:島乃ガジ丸 2012.1.2 →沖縄の草木目次
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
私の部屋は西向きに大きな掃出し窓が2つあり、その窓の傍に食卓兼事務机が置いてある。食事の時も、こうやってパソコン作業をする時もその机の前に座っている。
西向きと書いたが、正確には西南西に向いているといった方が近い。6月下旬の夏至の頃からしばらくの間は、机に西日は差すが、椅子に座っている私には壁に遮られて西日は当たらない。それが、しだいに夏が深まって、暦の上では立秋が過ぎる頃になると、西日が体にも当たるようになる。8月の中旬というもっとも暑い時期に、西日が激しく当たるということになるのである。その頃はまた、風も少ない。辛い日々。
午後4時か5時頃になると西日を簾が遮ってくれる。それでも、亜熱帯の太陽の熱射は強力なので、簾の隙間から漏れる日差しだけでもかなり暑い。右の腕から手の甲にかけて熱くなり、机の上が熱くなり、椅子の右半分が熱くなる。おそらく、机付近の温度は40度近くに達しているに違いない。それでも私は我慢できる。ただ、私は我慢できるが、パソコンは我慢できないに違いない。パソコンのためを思って、窓にタオルやシャツやパンツをハンガーにかけて吊るし、机の近辺に日陰を作ってあげる。
ウチナーンチュの私はパンツで日陰を作るのだが、薩摩男子は褌(ふんどし)で日陰を作るであろう。薩摩では褌のことをヘコと言う。よって、日陰を作ってくれる褌のことを薩摩ではヒカゲヘコと呼んでいる・・・かもしれない。
植物のヒカゲヘゴ、鬱蒼としたジャングルの、日の当たらないような所に自生しているので日陰ヘゴ、なのかと思っていたが、ヒカゲヘゴは高くなり、太陽の光をいっぱい浴びているのも多いらしい。日向でも十分に生育するのだ。なので、たぶん日陰に生息する植物という意味での日陰では無いと考えられる。私が思うに、ヒカゲヘゴの樹形が、樹冠で葉を大きく広げ、傘のような形になり、根元を日陰にしてくれる。つまり、日陰を作ってくれるからヒカゲヘゴと呼ばれている・・・かもしれない。
ヒカゲヘゴ(日陰杪欏):添景
ヘゴ科の常緑シダ植物 原産分布は奄美以南、沖縄、台湾、他 方言名:ヒグ
幹が直立し、高さ10mほどになる大型のシダ。ヤンバル(沖縄本島の北部地域)の山地の谷間などに大きなヒカゲヘゴが自生していて、熱帯のジャングルのような景色、あるいは、映画などで表現される恐竜時代の景色を思わせる。
放射状に張り出す葉は古くなると枯れて落ちる。その付け根の跡が幹に残り、面白い模様となって、それが放射状の葉とともに観賞価値を持つ。ヒカゲがどういう意味かは別にして、耐陰性はある。で、観葉植物としても利用される。ヒカゲとあるが陽光地でも育つので、民家の庭の明るいところ、暗いところどちらでも使える。ただし、独特の雰囲気を持った容姿なので、それだけで庭のイメージを変えてしまうこともあるので注意する。
ヘゴの幹は木材として利用価値がある。床柱などにも使われるが、ポトスやモンステラなどの着生植物の着生材料として、園芸店でよく見かける。別名モリヘゴともいう。ヘゴのゴの漢字、見たことも無い難しい字だが、広辞苑にあった。
記:島乃ガジ丸 2005.8.16 →沖縄の草木目次
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行