旧満州柏崎村開拓団慰霊式典実行委員会は8月29日の慰霊式典に併せて、巻口弘著『満州柏崎村の記憶――巻口弘の体験と子ども達の手紙』を刊行しました。玄文社が編集・制作を担当しました。四六判134頁。
満州柏崎村開拓団は当時の国策に従って、1942年に柏崎市と柏崎商工会議所が中心となって送り出したもので、柏崎から200人以上の転業者とその家族が旧満州に渡り、122人が極寒の地で命を落としています。巻口弘さんはその一人で、8歳で家族とともに満州に渡り、終戦時のソ連の侵攻で悲惨な逃避行を強いられ、10年間中国残留の体験をされた方です。現在では唯一人の生き証人と言ってもよいでしょう。
本書は巻口さんが柏崎市のコミュニティ放送「FMピッカラ」に出演して語った体験談と、市内の小中学校での講演後、児童生徒からもらった手紙とそれに対する巻口さんの返事、旧満州関係の年表を含む資料の三部構成になっています。巻口さんの履歴と満州柏崎村の年表は本書で初めてまとめられたもので、貴重な資料となっていると思います。
非売品ですが、ご希望の方は巻口さんにお問い合わせ下さい。
〒945-1102 新潟県柏崎市向陽町3345-21 電話0257-23-1616
8月29日の慰霊式典は、1988年に柏崎市赤坂山の市立博物館脇に建立された「満洲柏崎村の塔」の前で挙行されました。建立から毎年碑前祭が行われてきたのですが、10年前に休止となり、今年は戦後70年の節目ということで、柏崎市が実行委員会を組織して行われたものです。実行委員長は西川勉さん、巻口さんは副実行委員長を務めました。関係者や一般の方を含め約80人が参列して、犠牲者の霊を弔い、平和への誓いを新たにしました。