もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

鈴木誠也選手とWBC

2023年03月02日 | カープ・スポーツ

 メジャーの鈴木誠也選手が侍ジャパンを負傷辞退した。残念!!

 我等のカープでは、東京五輪に5人(曾澤捕手の故障辞退はあったが)の選手が選抜され金メダル獲得の原動力となったことを思えば、WBC選抜が栗林投手1名というのは聊かに寂しい思いがする。
 栗山監督率いる今回の侍ジャパンの選抜選手や強化試合を観た限りでは、比較的に守備力を重視した前任の稲葉野球とは違って、メジャー選手で固めたアメリカ・ドミニカなどに勝利するための最善の編成でもあるのだろうと思うものの、攻撃力を重視というより偏重に近いものであるように感じられるが、・・。
 そのことは、攻撃力はあるものの失策が多い中野選手(阪神)・牧選手(Dena)、広岡達郎氏からインサイド・ワークを酷評される大城捕手(巨人)、村上選手(ヤクルト)に押し出される形で不慣れな1塁手とならざるを得ないがメンタルの弱い岡本選手(巨人)が名を連ねていることに示されているように思っていたが、その心配は強化試合で早くも現実のものとなっている。
 ここにきて、強肩・右の大砲である鈴木誠也選手の欠場は、侍ジャパンに暗雲すらもたらしかねないように思える。鈴木誠也選手の穴を埋めるためには、右の中距離砲法である牧・岡本コンビに期待するしかないが、守備力から一点のハンディを相手に与えるに等しいと思っている。
 合同キャンプに参加しなかった、大谷、吉田、ヌートバー各選手が帰国・来日し、明日(3日)以降の強化試合はフル・メンバーで戦われることになるが、如何なる結果になるのだろうか。中日球団とドラゴンス゛ファンには申し訳ないが、対戦相手に昨シーズンリーグ最下位のドラゴンズを選んだ裏には、なにやら「噛ませ犬」的な匂いがしないでもないが、カープファンとしては、京田・阿部選手という看板選手を放出してチームの一新を図った立浪ドラゴンズの変容を観るに絶好の機会かとも思っている。

 9日から始まるWBCでは、念願の世界一奪還を遂げてくれるものと信じているが、かってはGG佐藤選手・内川選手の信じられない凡ミスで国際大会制覇を逸した経緯もあるので、侍ジャパンには緊褌の思いで戦って欲しいと願っている。
 鈴木誠也選手も、今回のWBC辞退・欠場を引きずらないシーズンとして欲しい。


国枝慎吾氏の引退会見

2023年02月08日 | カープ・スポーツ

 車椅子テニス界のスーパースター国枝慎吾氏が現役を引退された。

 国枝氏の戦績は改めて書くことも要しないであろうが、グランドスラム車椅子部門で男子世界歴代最多となる計50回(シングルス28回、ダブルス22回)優勝、シングルスでは年間グランドスラムを5回達成、パラリンピックでは単複併せて4個の金メダル獲得、・・・と黄金色に彩られており、世界ランキング1位のまま今年1月に現役引退を表明していた。
 国枝氏の活躍は日本男子テニスのトッププロとされる錦織圭選手の実績も遠く及ばないものであるが、残念ながら国民からの応援の声は錦織選手の方が圧倒している。
 日本では、車椅子テニスに限らず障碍者スポーツに対して、競技者をアスリートとして観るよりも、かすかな憐れみの情を込めて「障碍者だけの別のもの」との認識に依っているのではないだろうか。このことは、自分のような平民に限らず、日本のスポーツ関係者や報道関係者の認識でもあるらしい。
 かって、スポーツ担当記者がテニスのトッププロであるジョコビッチ選手にインタビューした際に、記者の「日本には貴兄のようなトップ選手がいないが・・・」との質問に「何を言っている!!日本にはクニエダがいるじゃないか」と叱られたそうである。
 このように、国枝氏の評価は日本よりも海外で高いようで、国枝氏も引退会見で「車椅子テニスをスポーツとして認めて貰えるように頑張った」と述懐されていた。
 政府も、2月4日になって国枝氏を国民栄誉賞で顕彰すると発表したが、世界的に見れば当然、むしろ遅いと感じられるものだろうか。

 既に幾つかの臓器を容器に先駆けて天(地獄?)に送ったとは言え、一応五体満足に生きて来た自分としては国枝氏に代表される「ハンデキャップをものともしない生き方」には圧倒される。
 願わくば、国枝氏の将来が濃密なものとなり、彼に続く人々が「アスリート」と評価される日が1日でも早からんことを祈って。


千賀滉大投手へのエール

2022年12月19日 | カープ・スポーツ

 千賀滉大投手のメッツ入団が報じられたので、改めて千賀投手の経歴を眺めた。

 千賀投手は、2011年に愛知県立蒲郡高校から育成ドラフト4巡目でソフトバンクに入団した。
 2010年のドラフト会議では97名(ドラフト68名、育成ドラフト29名)が指名され千賀投手の指名順位は全体では91位で、育成ドラフト制度が無かったら高校卒業後に大学や社会人野球で活躍しない限り千賀投手の野球生命は終わっていたように思える。以後の球歴を辿ると、2012年に一軍へ抜擢され初黒星、2013年にようやく初勝利と決して華々しいものではない。しかしながら、2015年に「お化けフォーク」で大化けして今や球界を代表する投手とされ、WBCや東京五輪で活躍したことは記憶に新しい。
 2010年のドラフト会議の結果を眺めると、現在も第一線で活躍する山田哲人(ヤクルト)・大野雄大(中日)・柳田悠岐(SB)等が名を連ねる一方で、早大三羽烏と賑わした大石達也・斎藤佑樹・福井優也選手は既に球界を去っている。
 2010年ドラフトにおけるソフトバンクの指名選手は、柳田選手はドラフト2位、育成4位に千賀投手、同5位牧原大成外野手、同6位甲斐拓也捕手であり現在のホークス黄金時代を支える選手が育成出身で、千賀・甲斐にあっては球界屈指のバッテリーとの呼び声が高いことは注目に値する。
 千賀投手の母校である蒲郡高校は、小都市(人口8万人)の公立高校で甲子園出場経験もなく、千賀投手を擁した年も県大会の3回戦で姿を消しているが、その試合にはプロのスカウト3人ほどが視察したとされている。韓愈の言「千里の馬は常に有れども、伯楽は常には有らず」は有名であるが、千賀投手の素質を見抜けた伯楽は、ただSBのスカウトだけであったのだろうか。
 さらに、ソフトバンク球団の選手育成に関する取り組みも大きいと思う。現在、ソフトバンク・ジャイアンツと我が広島カープが3軍制を敷いて、無名であるが有望な選手の育成に努めているが、ソフトバンクは更に来季からは4軍も持とうとしている。
 千賀・甲斐・牧原各選手は、数年かけて大成したが、育成契約選手に給料を払い続けても1軍昇格を果たせぬままに球界を去った人も多い。このリスクに耐えられる体(金)力と熱意が無ければ、3,4軍制度は維持できないが、千賀投手以下の成功例に倣って、全球団も3軍制を設けて若者の発掘と成長に手を差し伸べて欲しいものである。
 しかしながら、昨今ジャイアンツの3軍制は若手育成として活用するよりも、FA選手獲得のための選手登録枠確保のために悪用しているとの主張も喧しい。

 千賀投手は育成出身者として初のメジャー挑戦となるが、大谷・ダルビッシュ・マエケン(前田健太)に伍して活躍して欲しいものである。


W杯終わる

2022年12月06日 | カープ・スポーツ

 8強の壁に跳ね返されたところで、一時的な俄かサポータのサッカーW杯が終わった。

 戦前から今回のジャパンは史上最強と報じられ、予選リーグでドイツ・スペインを破ったこともあって「新しい景色(ベスト8以上)」が見られるのかと期待したが、やはり欧州・南米には及ばなかったようである。
 以前には組織力の欧州、個人技の南米・アフリカと云われて信じてきたが、ダイジェスト版の予選各試合を観ると得点を挙げた選手には個人技に長けたビッグネームが名を連ねているとはいえ、彼らに球を持たせるには中盤の組織力が必要であり、勝利には組織力と個人技の両方が必要であることが分かった。
 これまでのW杯は、新聞で報じられる試合結果しか観なかったが、今回はネット情報を併せて見ることにした。ネット記事の大半は往年の名選手・監督経験者ではない熱狂的ファンからのもので、対コスタリカ敗戦時には「監督の采配非難」と「選手の戦犯探し」に溢れ、スペイン戦勝利後は一転して監督・選手の賞賛一辺倒となり、ネット記事を世論と観れば「手のひら返し」は当然かとも思うものの、矢面に立つ監督・選手には同情を禁じ得ないものである。
 かって、プロ野球の名監督が「監督の采配で勝敗が決するのは年間130試合のうち多くて2・3試合」と述べられたことを記憶している。また、オーケストラ指揮者は、いかに名手と雖もステージ上での一発勝負では満足な結果は出せず、成否のカギは事前の練習・音作りにあるとも聞いている。
 今回W杯の勝敗の分かれ目は、故「野村克也氏」が好んで引用し、本ブログでも使用している松浦静山(江戸時代期の平戸藩主、剣術の達人)の名言「勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし」が端的に表しているとするならば、ベスト8以上に到達できるヒントはコスタリカ戦とクロアチア戦に隠されているのかもしれない。

 多くのヒーローを産む傍らで、個人攻撃を浴びた選手も生まれたW杯。
 しかしながら、強豪国がひしめく「死のE組」を突破したことは、八咫烏ブルーにとっては誇れるものと思う。
 願わくば、今回の代表選手の将来が輝かしいものであり、次回W杯(何処であるかも知らない)に向けて研鑽に努めて欲しいと願うところである。
 俄かフアンに夢と些かの睡眠不足を与えてくれた森保監督と選手に、感謝と同時に、長友佑都選手の口調で「ブラボー!!」を捧げて。


W杯の対独戦勝利を観て

2022年11月24日 | カープ・スポーツ

 森保ジャパンが初戦の対独戦に勝利した。

 強豪国ドイツ戦の事前予想では、好意的な評論家ですら希望的ニュアンスを滲ませての「引き分け以上」が大勢を占めたいたように思うので、勝利は日独双方にとって「晴天の霹靂」とも思える。
 以下は、W杯と五輪でしかサッカーに興味を持てない門外漢の独白と理解して頂きたい。
 これまでは、森保監督のチーム編成や試合運びには何かしらのイチャモンを付して報じられるのが常で、対独戦の後半に自分ですら知っているビッグネームを相次いで交代させた時も同様であったように思える。しかしながら、交代起用した堂安・浅野選手が貴重なゴールを挙げたことを思えば、森保監督のチーム編成(選手選考)と試合勘が示されたと称えるべきであろう。
 森保ジャパンの今後の快進撃に期待するところであるが、今朝のテレビで知った「浅野選手の心構えには「そうなんだ!」と感じ入った。
 過去のインタビューで浅野選手は、モチベーションの原点を「ナルシスト力」で、「これだけやったのだから」・「俺が一番上手い」と云い聞かせて練習や試合に臨んでいると答えている。
 日本人最多となるシーズン56本塁打を放ったもののシーズン最多記録には手が届かなかったNPBヤクルトの村上選手も、「50本打った時点で目標を56本に設定してしまった」と後悔の念を口にしている。
 トップクラスの才能に恵まれた人にとっては、目標をより高く設定することがモチベーションを高く維持できるとともに結果を残せる秘訣なのだろう。逆に考えれば、才能あふれる人であっても到達可能なレベルに目標を設定すると、その時点で既に栄誉を手放しているのかもしれない。
 内面・内心を口にするのはリスクを伴うことで、結果が出ない場合には「ビッグマウス」とレッテルされてしまうが、一流から超一流にジャンプ・アップするためには、自分に拍車をかけるためには必要な行為であるように思う。

 一流の・類稀な才能を持つ人は、自己暗示的ビッグ・マウスで超一流に変身できる可能性を秘めているが、二流以下の才能にあってはビッグ・マウスだけでは高みに上れないことも身に染みているし通念ではないだろうか。
 若し、自分の画力がグループ内はおろか泰西の画家にも匹敵するとでも口にすれば、たちまちのうちに「鼻つまみ者」になり「爪はじき」されることは火を見るよりも明らかである。
 自分のような凡人は、一流者のビッグ・マウスには応援しながらも、甲羅に似合った分相応を知らなければならないと今更ながらに思う。