もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

山形県の災害派遣要請

2023年01月04日 | 自衛隊

 本日は「人でなし」との指弾を受けるであろう主張である。

 12月31日未明、山形県鶴岡市西目で住宅等11棟が巻き込まれ4名が行方不明となる山崩れが発生した。
 これに対して山形県は、直ちに鶴岡市に災害救助法を適用して陸上自衛隊に災害派遣を要請したと報じられた。陸上自衛隊の派遣規模は不明であるが、以後「警察、消防など240人と重機で捜索」と続報されたことから、その多くが自衛隊員であるのではと思っている
 「人でなし」との誹りを受けるだろうと思えるのは、「今回の自衛隊への派遣要請」は必要だったのだろうかという疑問である。
 ある事態の対処に際しては「初動全力」が鉄則であり、第一報を受けた指揮官(山形県知事)が、考えられる全ての手段を採ったと評価すべきかもしれないが、過大過ぎる対応ではなかったかと思う。夜間で事故の状況が不明であったこと、大晦日で民間の活用に不安を感じたことは理解できるが、現地の状況や事故の規模が明らかとなった時点で派遣要請を撤回すべきであったと思う。
 「災害救助法」では、適用の範囲を
・多数の住家の危害
・生命・身体への危害
・被災者の救護を著しく困難とする特別の事情がある場合で、かつ、多数の世帯の住家が滅失した状態 としており、
 更に、適応の基準として人口11万人の鶴岡市は「罹災家屋が100,000人以上300,000人未満の市町村では50世帯」が該当し、11棟の被災では疑問に思える。
 災害が複数の都道府県・市町村に跨る場合や、島嶼・僻地などで救援に航空機や艦艇か必要な場合は例外とされているが、今回の事例では早朝にはメディアも被災の状況を実況で伝えたこと等を考え併せれば猶更に思える。
 法では「救助の費用は、原則として各都道府県が負担し、都道府県の財政力に応じて国が負担する」とま定められている。
 今回の事態を悪し様に勘繰れば、重機を使用しての捜索を民間業者に委託した場合は、重機の使用料や人員の日当などで自治体の負担は数千万円に上るであろうが、自衛隊の災害派遣ではガソリン代くらいで収まるとの「さもしい思惑」があったのでないだろうか。

 近年、自衛隊の災害派遣が増加し、自衛隊の教育訓練・部隊運用にまで影響を及ぼしているとされている。さらには、初動対処完了後に撤収すべき災害派遣部隊が「がれきの撤去」にまで充当されるケースや、撤収する部隊をなじる住民の存在も報じられている。
 自衛隊の存在理由・表芸は銃器を執ってする国防であって、国民の一般的な救護・支援は一義的には自治体が負うべき筋合いを考えれば、今回の要件を欠く災害派遣要請は極めて不適切であったと思うが、要件を満たしていないと防衛省・自衛隊が要請を拒絶した場合の理性無視の口撃は、考えるだけでも恐ろしいものであったであろう。