もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

日本人と日本国民

2023年01月06日 | 防衛

 自分は「なにじん」なのだろうかと考えるが良く分からない。
 人類学的にホモサピエンス種・モンゴロイド属であるのは確かであろうが、日本人と呼ばれる特有のDNAを持っているわけでもなく、単に日本国籍という資格を政府から与えられ庇護されている「日本国民」に過ぎないのだろう。

 中学校社会科のレベルで止まっている自分の知識では、国家とは「領土を持ち」「住民がいて」「統治機構(政府)を持っている」ことであり、それぞれは不可分の関係にあると思っている。さらに、それらに優先順位を付ければ、第1位は「領土」であり、第2位は「住民」で「住民が選ぶ政府」は最後に位置付けられるのではとも思っている。
 ウクライナ事変を観ても、根本はロシアの領土欲から発したもので、ロシアとしてはウクライナを領土とさえしてしまえば、住民は選別や植民が可能で、統治機構(政府)は自国制度を当て嵌めることで意のままに解決できると考えているのは明らかである。中国の香港政策も同様で、さらには香港の成功を台湾にも及ぼそうとしている。
 日本のこれまでを考えると、日本国経営や住民の権利保護には「領土」が不可欠であるという認識が薄く、ましてや他国が列島の領有を目論むことなど未来永劫起きないと信じ、そのことが、「必要最小限の自衛力」という世界的に奇形な概念を産み出すとともに、「国のために戦う10%の青壮年」というG20内で最低の意思を育てたように思える。
 現在でも、領土保全を一義・優先する思想を異端視・排斥し、国民の権利・安寧こそが重要と説く政党があるが、領土を失えばそれらは一夜に霧散霧消してしまう幻であることを黙しているだけであると思っている。

 大阪ナオミ氏は日本人と呼ばれるが、日本国政府の庇護は一切及んでいないだろうことから云えば、日本人と呼べても日本国民と呼ぶのは失礼であるように思える。
 広義のユダヤ人は3000年間領土を持たなないままに世界各国で生存し続けたが、ユダヤ教と独自の民族精神を維持し続けた。
 ジプシーと呼ばれる人々は、10世紀に突如現れて欧州を中心に各地を放浪した(している)が、独自の文化を保ち続けた。
 「領土」ということに左程意味を持たないこれらの生き方・歴史を眺めると、「領土」は生存のために不可欠では無いと云えるかもしれないが、自分のような凡人には「日本領土内に住む日本国民」という生き方しかできないように思える。