G7広島サミットが閉幕した。
広島サミットの成果は、「核なき世界の認識再確認」と「対中露姿勢の維持強化」であると考えている。
「核なき世界の認識再確認」は、被爆地ヒロシマを開催地とし、さらに各首脳に原爆(被爆)資料館を観覧させることで「NO」と言い出し難い雰囲気を醸成した結果であり、「対中露姿勢の維持強化」には、隠密裏にゼレンスキー大統領を参加させてグローバルサウスの旗頭インドのモディ首相と握手させた演出が大きく影響したものと考えている。
報道によれば、ゼレンスキー大統領の訪日・G7出席について日本政府は、4月中には既に打診されてG7出席に同意していたとされているが、もし事前にこのことが明らかとなっていたならば、インド・ブラジル等は参加を取りやめたことだろうし、搭乗機が中国と比較的良好な関係にあるフランスの政府専用機であったために中国上空の航空路を利用できたことなどの諸々を取り上げれば、将に「謀は密なるを以て」の好例であるように思える。情報ダダ漏れが常態とされる日本にあって、よくぞ成功したものと思う。
情報の秘匿に関する報道では、ゼ大統領の訪日が岸田総理の他は限られた閣僚にしか知らされていなかったことが秘匿成功の鍵であったとされているが、通信・警備・接遇などの官僚や空港職員・ホテル従業員などの民間人を含めると、ゼレンスキー大統領訪日計画の末期には数百人近い人々が情報の一端は知っていたものと思うので、秘匿成功は多くの名もなき市民の思想・倫理の賜物に他ならないと思う。
情報漏洩は、全貌を知っている高位の者から流出することもあるが、高位の周辺や通信を担当する末端人物からの方が圧倒的に多いと思う。情報を窃取する側にとっても、志操も高い高位者を篭絡するためには多くの経費と長い時間が必要となるが、末端の人物から断片的な情報を得て繋ぎ合わせる方が容易であるために彼らを篭絡の標的にすることが多いのではないだろうか。
高市早苗議員は、情報アクセスの資格を付与する「セキリュティ・クリアランス制度」の創設を提唱されておられる。
アフガニスタン救出作戦の失敗、スーダン撤退作戦の成功、岸田総理のウクライナ電撃訪問、そしてゼレンスキー大統領の訪日。一連の事象を鳥瞰すると、国民も漸くに情報の何たるかを考え始めて、それらに従事する人々の情報資格の必要性を考え始めたように思える。
国民が知ることは悪意を持つ敵にも知らせることと同義であることが理解されるならば、自衛隊の行動に国会の事前承認が必要などと云う主張も影を潜めるようになるに違いない。