塩野義製薬が開発した対コロナ飲み薬「ゾコーバ」の承認が見送られた。
薬剤と薬事行政に関して無知であるが、今回の決定に対しては2・3の疑問を感じる。
これまでの薬事行政、特に医薬品審議に関しては「ゼロリスク」を追及するあまりにスピード感に欠けるとされ、製薬会社の新薬開発意欲を削ぐ最大の要因とされきた。この体質が中国コロナのパンデミック制御のネックであることを痛感した政府は2月に「医薬品医療機器法(薬機法)」を改正して緊急承認制度を設けて、これまで1~2年かけていた承認手続きを緊急性の高い医薬品については期間を短縮できる改正を行ったが、今回の決定を見る限り法の精神が生かされたようには見えない。
報道によると、「ゾコーバ」はウィルス量の減少効果は確認されたものの、当初に塩野義が掲げた12症状の総合的な改善効果が明確でないとの理由とされているが、そう簡単かつ短期間に特効・万能薬は期待できないだろうことを思えば、決定に関しては疑問符を付けるべきと思う。
今回審議に当ったのは、医薬品第2部会と薬事分科会の専門家併せて40名の委員と参考人と伝えられているが、甲論乙駁の状態であったらしく、最後にはお決まりの「継続審議」で専門家の顔を立てるとともに責任を問われない結論に至ったと考えるのは勘繰りであろうか。
薬事審議会については、コロナワクチン承認に対しては、モデルナには重篤は副反応が懸念・報告されていたにも拘わらず、国内治験を俟つことなく申請から2週間で承認した。自分は、医療・医薬品について「ゼロリスクで全ての命を救う」など夢物語で、ワクチンを含む医薬品に対しても「救える命」と「副作用で失う命」の冷徹な損得勘定に依るべきと考えているので、副反応死を覚悟した緊急承認を高く評価し自身でも躊躇せずにモデルナワクチンの投与を受けた。
40人という委員数が適切であったのだろうか。はたまた40人の中に対B(生物)戦専門家が含まれていたのだろうかという疑問も残る。今回の中国コロナの蔓延は、対B戦の格好のモデルとも捉えられる一面を持っていることを思えば、緊急時においては厚労省の薬事審議も政府の感染症対策機構に組み入れるべきではないだろうか。
今回の審議過程が甲論乙駁であったとされるが、40人も集まれば「船頭多くして・・」状態に陥ることは明白で、継続審議は当然の結果とも思える。
最後に、継続審議と結論した40人の委員が、製薬会社と「ゾコーバ」開発者に無縁の学究の徒であり、憂国の行政官であることを祈って終演。
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