もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

韓国の核戦略を考える

2023年02月05日 | 韓国

 尹錫悦大統領の「独自の核武装」論を勉強した。

 在韓米軍の戦術核は1991年に当時の盧泰愚大統領によって撤去された。おぼろげな記憶では、盧泰愚大統領は通常兵器のみで朝鮮戦争の休戦状態が恒久的に維持できるとして半島の非核化に踏み切ったと理解している。当時の北朝鮮は南進の能力を失っており韓国でも朝鮮戦争の記憶・恐怖も風化し「韓国版”もはや戦後ではない”」であったのだろう。
 以後、北朝鮮の核物質濃縮が報じられた時、6者協議が破綻した時、核実験が強行された時、長距離ミサイル発射に成功した時など、新しい脅威が顕在化するたびに在韓米軍の戦術核再配備論は浮上しては米国が拒否・否定することを繰り返してきた。
 尹錫悦大統領も就任当初は「アメリカの核の傘」で良しとしていたものと思えるが、「核の共有」に発展して今では「自前の核兵器保有」を言及するようになった。
 韓国の世論調査でも、核兵器の共有・保有に関しては70%以上が賛成し、尹大統領も数ヵ月で核兵器生産が可能な技術水準にあるとしていることから、自前の核開発に対する国内のハードルは極めて低いように思われる。韓国も核兵器不拡散条約(NPT)を批准しているので国際的なハードルは高いが、国内世論の後押しと北朝鮮の核兵器膨張を考えれば、独自の核武装までは踏み込まないものの韓国がアジア唯一の米国との核共有国となる可能性は高いように思える。尹大統領にはウクライナの悲劇はブタベスト宣言によって核を放棄した結果との認識が高いともされているので、核兵器の共有若しくは生産の希求度は猶更であろうと推測している。
 不確かな情報であるが日本の技術界でも「核兵器製造は4か月以内に可能」としていることや、抽出と圧縮に時間と手間がかかるとされているものの原発の核廃棄物を日本並みに保有していることを思えば、韓国の「独自の核武装」もブラフと一蹴できないようにも思える。

 今や非核3原則が非核5原則にまで肥大化した日本では、本来自由であるべき政治家でさえ核共有を口にすることは政治生命を失いかねない。ましてや核開発など金輪際口にできないように思えるが、100㌔にも満たない対馬西水道を挟んだ隣国が核兵器の運用・保有を真剣に模索している状況は、心に留めて欲しいものである。
 自論の繰り返しになるが、「世界最初にして唯一の被爆国であるからこそ、2度目の被爆国にならない策」を考えるべきであると思う。


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