米韓首脳会談後に発表された「ワシントン宣言」での米韓の核戦略が注目される。
同宣言では「北朝鮮の韓国への核攻撃にはアメリカの核を含む戦力を総動員して即時、圧倒的かつ決定的な対応を取るとともに、核兵器をめぐる情報共有の枠組みを新たに設置して北朝鮮の拡大抑止を強化していく」として、現行「米核の傘」の維持・強化を謳っている。
しかしながら、その解釈については米韓で相当の開きがあるようで、韓国は「アメリカとの核兵器共有」まで現実味を帯びたとしていることに対して、アメリカは大統領を含む政・軍のトップが韓国との核兵器共有を完全否定するという反応を見せている。
韓国には核武装論が根強く、国民の70%近くが核兵器の保有を支持しているとされる。アメリカは一貫して韓国の核保有に反対しているが、冷戦終結に伴う緊張緩和に応じて韓国に配備していた戦術核を撤去したことがアメリカの核の傘の即応力不信に繋がって韓国国民の核保有論の勃興・助長に繋がったとされている。
この辺の事情を知っているアメリカは、今回の米韓首脳会談で「核の傘の即応性と強化を保障」し、メッセージの一環として「1980年代以降途絶えていた戦略原潜の韓国寄港」を示して韓国の核保有世論の沈静化を願っているものの、両国の核戦略の温度差は早急には縮まらないように思える。
素人考えであるが、核共有に対してアメリカは、韓国の政情と世情に一抹の不安を抱えているのではないだろうかと思っている。
韓国には、金正恩氏の広報官と揶揄された文政権を上回る親北政権が誕生する可能性があり、国連決議に反する燃料や戦略物資の横流しを黙認し、軍人の北スパイ摘発が日常茶飯の国情を考えれば、核技術の漏洩、核兵器管理への妨害行為はもとより、対北の核兵器が日米に向けられる危険性すら内包していることを考えれば、韓国内に共有のための核兵器を貯蔵することに躊躇せざるを得ないのではないだろうか。
日米韓の関係について両首脳は「3か国間の協力関係の重要性を強調した」とした上でバイデン大統領は「日韓関係改善に向けた尹大統領の大胆な決断を歓迎し、政治的な勇気のある日本との外交強化は日米韓3か国の関係強化に大きな役割を果たしている」と外交辞令以上の賛辞を送っている。
アメリカの識者は、韓国の核武装は日本の核武装に繋がるとする意見が多いとされているが、朝鮮半島の核兵器が全て日本に向けられた事態にあっても、全世界が日本国憲法前文を信じてくれるとする日本国民が覚醒することはないであろうか。
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