もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

国葬を考える

2022年07月14日 | 与党

 安倍元総理の葬送を国葬とする主張が起きている。

 国葬については以前に勉強したが、各国ともに明確な基準や儀典が定められていなかったと記憶している。戦前の日本は国葬法に依っていたが、それとても勅令に依っていた国葬の範囲・基準が明確さを欠いて来たために、昭和12年になって制定されたものである。戦後には国葬法が廃止されたために国葬自体が有名無実となっている。
 昭和42年に吉田茂氏に贈られた戦後唯一の国葬は、当時の佐藤栄作総理の強い意向で執行されたものであるが、野党からは国家が宗教に関与する憲法違反、公費支出の妥当性、功績評価等に多くの異論・反対があったとされている。
 さらに、現行唯一の国葬と看做される皇室典範に基づく「大喪の礼」にすら、国家元首の葬送にも拘わらず「天皇家の私的行事への公費の支出」なる非礼な極論もある。
 大喪の礼は置いても、世界的にも国葬の基準とされる「故人の業績」に定量的な尺度は無く、毀誉褒貶は主義主張によって大きく異なるために、国葬実施の判断は反対意見を封じた政治主導であるのが実情であるように思える。
 そんなこともあって、大喪の礼と吉田氏以外には国葬の栄に浴した故人は無く、総理経験者と雖も国民葬、内閣と国会・政党の合同葬、政党葬、衆議院葬などで送られている。
 産経新聞の社説によると、安倍氏の災禍に対しては世界259か国から2000件以上の弔意が寄せられ、インド、ブラジル、キューバは服喪を表明し、多くの指導者若しくは代表が葬儀参列の意を伝えているとされる。このことを考えても、安倍元総理の葬送については早急に決定する必要があるように思うと同時に、自分は国葬も可と考える。

 安倍氏の功績である「自由で開かれたインド太平洋戦略」は日本が唯一世界的な潮流を創り出した提言で、集団的自衛権行使容認も西側諸国から好意的に迎えられているが、それらについても中国を刺激する愚策・右傾と反対する人も多いことだろう。
 気になったのは、首相官邸が弔意を示す半旗としたのは、列国に遅れた11日であったそうである。


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