もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

欧州の徴兵制復活に思う

2018年02月02日 | 軍事

 北欧スウェーデンで8年振りに徴兵制が復活した。

 スウェーデンの徴兵は皆兵ではなく18歳に達した国民のうち適性検査によって選抜された4千人を11か月間の兵役に就かせるもので、軍事訓練を受けた予備兵力の拡大を企図したものと思われる。スウェーデン以外にもフランスが徴兵制復活を大統領が公約し、ドイツでも復活が議論されている。独仏いずれも目指すのは短期間の徴兵であり、常備軍の増強というより有事の急速な軍備拡大要求を満たすために、基礎的な軍事訓練を終えた予備的兵力の拡大を念頭にしているものと思われる。冷戦終結とライフスタイルの変化に伴って2010年前後に廃止された徴兵制が相次いで復活の兆しがあるのには二つの背景があると自分は考える。1は無差別テロの蔓延である。無差別テロは時と場所に関係なく市民を標的として行われるが、被害を局限するためにはテロに遭遇した市民のとっさ防護と居合わせた市民の救急処置であろうと思う。パニックを鎮めて防護を喚起する指導者の有無によって被害は大きく変化すると思われる。ラスベガス銃撃事件の映像を見ても逃げ惑う人と物陰に身を隠す人に大別され、おそらく死傷者の多くが逃げ惑った人に集中していると思われる。現場で避難を誘導するにはある程度の軍事的知識を持った指導者が必要であり、軍事訓練を受けた市民が群集内に混在する確率を高めることが必要と思われる。救急処置についても同様である。さらに対テロに重要なことは国民が自警団的・レジスタン的な目と知識を持つことであり、そのためにも軍事訓練で培った兵器の知識が役立つと考えるからである。2は国民の国に対する帰属意識の涵養である。インターネットの普及や大量移民により、かってあった国家観の変質と固有文化の喪失から現在失われつつある国民の帰属意識を涵養することが必要と考えられた結果ではないだろうか。現に韓国が偏狭な民族意識を捨てきれないのは義務教育のせいもあろうが、国民皆兵の徴兵制度も一因をなしていると思う。

 二つの要因を考えると、日本においても青少年に短期間の軍事訓練を義務付けることは必要なのではないだろうか。徴兵制は憲法が禁じる「苦役の強制」であり復活はないとする政府答弁は正しいとするものの、無差別テロによる被害極限を考えれば議論に値する命題と思うのだが。

 


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