ゴエモンのつぶやき

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障がい者の働き方の「格差」

2008年03月16日 00時50分44秒 | 障害者の自立
障がい者の働き方の「格差」
障害者自立支援法で解決するか下川 悦治(2008-03-15 08:30)
 札幌市白石区のとある食堂で、知的障がいのある男女4人を強制労働させていたことが、先日明らかになった。この背景として、依然として恩情的な雇用と権利を主張できない、障がい者雇用の構図が浮かび上がってきた。

 こうした中、厚生労働省が5年ごとに調査している「身体障害者、知的障害者及び精神障害者就業実態調査」が1月に公表された。その中から見える問題を考えてみたい。この調査は15歳以上64歳以下の者を対象にしたもので、結果の概要は図の通りである。




1. 身体障害者の対象人数は134万4000人と推計。このうち、就業しているのは57万8000人(43.0%)。就業者のうち授産施設と作業所など「福祉的就労」と呼ばれる場で働いている人はわずか6.5%。

2. 知的障害者の対象人数は、35万5000人と推計。就業率は52.6%(18万7000人)と身体障がい者よりも高いが、そのうちの59.1%が「福祉的就労」であり、ほぼ6割を占めている。

3. 精神障害者の対象人数は、35万1000人と推計。就業率は17.3%(6万1000人)と低い。「福祉的就労」は37.7%。



4. 障がい種別での違いは、雇用支援策が身体障がい者から始まり、知的障がい者、精神障がい者とその歴史に相当の開きがあるのに加え、障がいに対する支援策の不十分さが伺える。知的障がい者も法的な義務雇用の対象ではあるが、常用雇用以外が8割で、そのうち、施設で働いている人が6割を占めている。これまでに、本格的な支援策がとられていたとは思えない惨状である。


 今国会に、障がい者雇用法制の改正案が上程されている。雇用が進んでいない企業が納める納付金(俗に「罰金」とも呼ばれる)の対象企業を100人程度以上に広げることや、短時間雇用も雇用率の対象にするなど示されているが、それだけでは進まないことが今回の調査でも見えてくる。さらに、障害者自立支援法は就労促進型福祉として、大量の就職を目指しているが、結果としても、就職を大義名分にした福祉切り捨てになる可能性も大きい。

精神障がい者の雇用状況の課題は

 個別の課題に入る前に、精神障がい者施策の対象となる人数が妥当なのかということから検討したい。今回の調査分析では対象人数を35万人としているが、「障害者白書」は約174万人とし、「平成14年患者調査」(厚生労働省)では151万人としている。ことほどさように、政府の数字も異なっている。患者数では200万人を超えるとされている対象がこのように異なるのは、精神障がい者の法規上の定義が明確でなく、実態調査もされていないことにある。制度設計の根幹となる対象数が依然として明確にされていない。

 法的には、雇用義務の対象になっておらず、企業の雇用意欲も低い。

 短時間雇用や体験型雇用などメニューはできつつあるが、それを支援するマンパワーが少なく、メニューを推進する力がない。ハローワークなどの相談機関やジョブコーチの大幅な拡充が求められる。これは、知的障がい者にもいえる。

 福祉的就労の場も圧倒的に少ない。障害者自立支援法になって、障がい区別の体系はなくなったが、今までの施設は既に利用している知的障がい者などで一杯であり、精神障がい者を受け入れる余裕も、ノウハウもないまま放置されている。政府が精神障がい者の退院促進を声高に叫んでも、受け入れる地域の社会資源がない。単なる医療費削減対策にならなければ良いのだが。

 今回の調査でも、精神障がい者で働いていない人の6割が就労を願っている。実態に即した施策の充実が待たれる。