ゴエモンのつぶやき

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別人になった夫:高次脳機能障害

2008年03月26日 01時05分55秒 | 障害者の自立
別人になった夫:高次脳機能障害 東北厚生年金病院・遠藤副院長に聞く /宮城
 ◇交通事故、労災でも発生--早期診断が肝心
 ◇「誰もが予備軍」認識を
 事故や脳出血などによる脳の損傷が原因で記憶や注意力などに障害が残る「高次脳機能障害」。この障害で「別人になった夫」や「別人になった父」と暮らす家族は、県内にも多数いる。医療・行政機関は支援に動き出しているが、医療関係者間でも認識に差があるなど課題は多い。01年度に県から同障害の拠点病院に指定された東北厚生年金病院の遠藤実副院長(神経内科)は、「誰もが同障害者予備軍。人ごとではない」と指摘する。遠藤副院長に同障害の現状と課題を聞いた。【聞き手・山寺香】

 --一番の問題点は

 体に麻痺(まひ)などが無く、「見えない障害」ということ。本人が「困った」と言っても周囲が理解できないし、本人にも病識が無いケースも多い。

 例えば、もともとIQ(知能指数)130の人が100にまで落ちた場合、周りの人は「普通よりも高いからいい」と思うかもしれないが、本人にとっては以前のように生活できないのだから大変な障害といえる。

 「見えない」ために評価が難しく、実態調査が行われていないことも、支援体制が遅れている要因だ。

 --なぜ支援が必要か

 この障害は交通事故や労働災害でも起こる。そのため若い男性に特に多く、社会的損失も大きい。復学や復職のための支援が不可欠だ。一般的に時間がたつと改善しにくいとされ、できるだけ早期の診断・リハビリの開始が肝心だ。

 --早期に診断を受けるには

 この障害は短時間で評価するのが難しく、定義も医師の間で認識に差がある。そのため東北厚生年金病院では、チェックリスト式の診断書を作成し、県内の保健福祉事務所や病院に配布している。

 また、障害が見過ごされたまま、長期間ひきこもりがちになっている人らの支援につなげるため、県の福祉拠点に指定されている県リハビリテーション支援センターが中心となって県内7カ所の保健福祉事務所で保健師を対象とした研修会を開催している。保健師の役割は大切。支援の窓口的役割を担ってもらう「宮城県方式」として提唱したい。「同障害かもしれない」と思ったら、身近な保健師に相談してほしい。

 --医師の認識の差をなくすためには

 問題意識を共有するため、同障害にかかわる神経内科、脳外科、リハビリテーション科、精神科、小児科などの医師が集まる研究会を、08年度に県内で立ち上げたいと考えている。他県では同障害を持つ子供の対策が進んでいるところもあり、県内でも今後、対応が必要になる。

 --退院してからの福祉の受け皿がないとの指摘がある

 障害者自立支援法が施行されてから、障害認定の種別にかかわらず、すべての福祉施設を利用できるようになり、制度の形は整いつつある。だけど、「この障害を受け入れた経験がない」「対応の仕方が分からない」などの理由で作業所などに受け入れを断られるケースもあると聞く。現場が制度についてきていないのが現状だ。