ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

不登校や発達障害向け家庭教師業 京大、同女大学生ら設立

2009年06月16日 00時20分57秒 | 障害者の自立
 京都大や同志社女子大などの学生が、不登校や発達障害のある子ども向けに家庭教師を派遣する事業を始めた。教育学や臨床心理学を専攻する学生約40人が登録し、画一的な学習指導に合わない子ども専用の教材やカリキュラムづくりに取り組んでいる。学習指導にとどまらず、就職活動の支援も手がけたいと意気込んでいる。

 ■教育学、心理学生かし支援

 京大文学部4年の米田可奈子さん(22)=京都市中京区=が知人らに呼び掛け、今年3月に家庭教師派遣会社「アルビー」(中京区)を設立した。

 米田さんは大学入学後、学習塾講師としてさまざまな問題を抱える子どもたちと接し、一人一人の状況に合った支援の必要性を感じた。しかし、問題を抱えた子どもたちに積極的に対応する派遣会社や学習塾は少なく、自ら事業化した。

 3歳から学校を卒業した人まで幅広く受け入れる。現在は京都市内の小学3年から高校1年まで7人に派遣している。発達障害を研究する大学院生の協力で講師向け勉強会を開いている。子どもが集中しやすいように、問題用紙1枚に1問だけ掲載するなど教材も工夫して作っている。

 子どもの適応力を重視し、最初にコミュニケーション能力テストを行い、派遣する家庭教師のタイプや接し方を検討する。講師の交代にもすぐに応じる。

 今後、就職につながる指導にも力を入れる方針で、資格の取得や就職試験のための面接訓練を行う。また保護者向けセミナーの開催も計画している。

 米田さんは「いろいろな悩みの相談に乗れるお兄さん、お姉さんのような存在になりたい」と話している。

他者とつながる「指点字」『ゆびさきの宇宙』

2009年06月16日 00時17分38秒 | 障害者の自立
 人間の五感(視・聴・嗅(きゅう)・味・触)のうち、視覚と聴覚が失われた状態、それが「盲ろう」だ。だが、『広辞苑』を引いてもこの言葉は載っていない。盲ろう者として日本初の大学教授になった福島智に出会った著者は、その不思議な魅力にひきつけられた。本書は福島の46年の歩みと共に、人間が生きる意味を伝えている。

 盲ろう者にとって一番の苦痛は、他者とのつながりを持てないこと。9歳で光を、18歳で音も失った福島は、無音漆黒の闇の世界で苦悩する。彼を絶望から救ったのは「指点字」だった。指先に指で点字を打つことで、目と耳以外のコミュニケーションを可能にしたのである。

 福島はメールを書くとき「ET」と名乗る。SF映画に登場し、人差し指で少年と会話をした宇宙人だ。異質な者を排除せずにコミュニケーションを図れば、異星人とも心は通じ合う、と福島は言いたいのだろう。盲ろう者は怪物でもなければ、特殊な生き物でもないのだ、と。

 健常者は「障害を乗り越えて立派に生きている」障害者の姿に感動し、称賛もする。だが、その背後には、障害者は健常者より劣っている、という意識がひそんではいないだろうか。再び『広辞苑』を引いてみると、健常者とは「障害がなく健康な人」。だが、どこにも障害のない完全無欠な人間など、この世にいるはずがない。

 福島は宇宙人に会いたいと言う。たとえば紫外線や赤外線を認識できるように、五感以外の能力をもつ宇宙人から見れば、地球人はみな障害者だ。それと同様に、宇宙の壮大なスケールから考えれば、肌の色や国籍の違いなどで人を差別することが、いかに無意味かもわかる。

 障害者に限らず、貧困、失業、病気、介護、さまざまな問題を抱えて心が折れそうな人たちがいる。暗闇の中で立ちすくんでいるとき、誰かに手を握ってもらうだけで、どれほど心強いことか。それが、人間社会で生きる基本の「支え合い」だということを、本書に教えられた。

◇いくい・くみこ=京都市生まれ。朝日新聞記者。1981年入社。著書に『付き添って――ルポ老人介護の24時間』。