検察改革を議論する法相の私的諮問機関「検察の在り方検討会議」は3日の会合で、知的障害者の取り調べについては優先して全過程の録音・録画(可視化)を導入すべきだとの意見が多くの委員から出た。問いかけに迎合的になりがちで、事実関係の確認が困難とされる特性に配慮を求める導入論が相次ぎ、今月末に取りまとめる提言の軸の一つになりそうだ。
作家の吉永みち子氏は「運用でただちに取り組むべきは知的障害が疑われるケースでの取り調べ」と指摘。「コミュニケーション能力に問題があるが、日ごろ接している福祉関係者ならば何を言おうとしているか分かる。全面可視化に加え、福祉関係者の立ち会いも認めるべきだ」と訴えた。
これについて原田国男・元東京高裁判事も「裁判官当時、加害者、被害者ともに知的障害者の事件を担当したが、ものすごく難しくて無罪にした。知的障害者の全面可視化は持ち出してもいい」と支持。但木敬一・元検事総長も「私も知的障害者の連続放火事件を受け持ったが全部認めてしまう。(やり取りが難しく)調書に本来ならないものを調書にしている時点で無理があり、検察に考えてもらいたい」と述べた。
障害者の取り調べを巡っては、今国会提出予定の障害者基本法改正案が、刑事手続きでの障害への配慮規定を盛り込む方針。ジャーナリストの江川紹子氏は「知的障害のある人が刑事手続きではたくさんおり、中には冤罪(えんざい)の疑問が持たれるケースもある。優先的に可視化を考えないといけない」と強調した。
毎日新聞 2011年3月4日 東京朝刊
作家の吉永みち子氏は「運用でただちに取り組むべきは知的障害が疑われるケースでの取り調べ」と指摘。「コミュニケーション能力に問題があるが、日ごろ接している福祉関係者ならば何を言おうとしているか分かる。全面可視化に加え、福祉関係者の立ち会いも認めるべきだ」と訴えた。
これについて原田国男・元東京高裁判事も「裁判官当時、加害者、被害者ともに知的障害者の事件を担当したが、ものすごく難しくて無罪にした。知的障害者の全面可視化は持ち出してもいい」と支持。但木敬一・元検事総長も「私も知的障害者の連続放火事件を受け持ったが全部認めてしまう。(やり取りが難しく)調書に本来ならないものを調書にしている時点で無理があり、検察に考えてもらいたい」と述べた。
障害者の取り調べを巡っては、今国会提出予定の障害者基本法改正案が、刑事手続きでの障害への配慮規定を盛り込む方針。ジャーナリストの江川紹子氏は「知的障害のある人が刑事手続きではたくさんおり、中には冤罪(えんざい)の疑問が持たれるケースもある。優先的に可視化を考えないといけない」と強調した。
毎日新聞 2011年3月4日 東京朝刊