県は二十二日、東日本大震災の被災者や福島第一原発の周辺住民の受け入れ施設として、県営住宅計三百七十三戸を提供すると発表した。高齢者や障害者、妊婦、乳幼児のいる家族が対象で、家賃は無料。第一弾として二十八日に百七戸分の抽選を行い、四月中旬までに入居してもらう。上田清司知事は会見で「入居待ちの方がたくさんいるが、今回は被災者を優先する」と、被災者支援に全力を挙げる考えを示した。
二十二日正午現在、県内への避難者数は三千四百三十三人。受け入れ先は公共施設が多いが、高齢者ら「災害弱者」への対応や、プライバシーの確保が課題になっている。
県営住宅の家賃は無料にするが、電気やガス、水道料金は自己負担が原則。自治体が発行する罹災(りさい)証明書の提出は義務付けない。
県営住宅は年四回、入居者を定期募集し、抽選の競争倍率は六倍程度。県は四月以降の定期募集を延期し、まずは被災者に割り振る方針。問い合わせは、県住宅課=電048(830)5564=へ。
狭山市は二十二日、家賃を市が負担して民間の賃貸住宅百戸の無料提供を決め、受け付けを始めた。申し込みは殺到し、同日夕までに約八十戸分が埋まり、早速、入居する世帯もあった。
希望者は、県内の親戚を頼って福島県から避難してきた人たちが多く、ほとんどがすぐ入居を望んだという。市は六カ月以内の家賃を負担し、三千数百万円の費用を見込んでいる。
東京新聞