身体障害者野球の強豪チーム「神戸コスモス」(神戸市西区)が、10、11日に神戸市で開かれる第14回全日本身体障害者野球選手権大会(日本身体障害者野球連盟など主催、読売新聞神戸総局など後援)に6連覇をかけて出場する。初戦から春の大会で苦杯をなめた強敵とぶつかる可能性もあり、選手たちは「絶対に優勝する」と雪辱に燃えている。(福本雅俊)
神戸コスモスは今春の大会で、決勝で九州代表の「北九州フューチャーズ」に2対3で惜敗し、準優勝に終わった。試合では、打球の処理に慌てて守備が乱れ、攻撃でもフライを打ち上げてしまい、好機を生かせなかった。その反省から、守備練習ではショートバウンドする球の捕球を繰り返し、打撃練習でもゴロを転がすよう徹底してきた。
今大会からエースを任される佐々木良樹さん(34)(伊丹市)は、その試合を控えとしてベンチで見て、悔しさを味わった。「次は俺が絶対抑える」と今大会に懸ける思いは強い。
22歳の時、骨肉腫と診断された。抗がん剤治療を受け、右膝を手術して人工関節を入れた。「もう一度野球をやりたい」とリハビリに励んだが、以前のプレーはできなくなっていた。
ある時、テレビの番組で障害者野球を知った。健常者と同じプレーはできないが、出せる力を振り絞ってプレーする選手の姿が映し出されていた。見ていて胸が熱くなり、すぐに地元の神戸コスモスに加わった。
チームに入り、野球に懸ける熱い思いを持った仲間と出会ったことで、さらにのめり込んでいく。当初、持ち球は直球とカーブだけだったが、今ではパームボールやナックルなど球種は九つに増えた。チームの主力として臨む大会に「優勝しか考えていない。チームメートをはじめ、多くの人の支えを糧に頑張りたい」と力を込めた。
今大会初出場となる渡辺洋三選手(53)(芦屋市)は中軸を任される。若年性関節リウマチと闘いながら、学生時代から野球に打ち込んできた。今は、両股関節が人工関節で走ることもままならないが、「みんなで支え合いながら勝利して、喜びを分かち合いたい」と話した。
大会に向けて実践練習を繰り返す神戸コスモスの選手たち(神戸市西区で)
(2012年11月10日 読売新聞)