ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

<施設虐待防止>対処技術、研修で向上(3)行動障害

2015年02月23日 01時45分41秒 | 障害者の自立

 知的障害者の中には自分や他人を傷つけるなどの危険な行動を繰り返す人たちがいる。「強度行動障害」と呼ばれ、旧来の施設では職員が力で対抗することが少なくなかった。
 行動障害の入所者は、湯沢市の皆瀬更生園のケースのように、虐待の対象になりやすいことが知られている。国は2013年度から、適切な対応を指導するなど対策に乗りだした。

<視覚に訴え成果>
 秋田市の障害児入所施設「高清水園」。10代後半の男性Aさんは特別支援学校から帰ると、日常生活の介護や訓練を担当する支援員の部屋の前に来る。部屋の窓に掲げてあるAさん専用の日課表と「がんばる!カレンダー」を見るためだ。
 1日のやることを記した日課表。午後3時の欄に給水器、4時半には、ほうきの写真がそれぞれ貼られている。水分補給と掃除の時間を意味している。無事に1日を過ごすと、カレンダーにフェルトペンで日付を消すように「/」のマークを入れる。
 Aさんは言葉を数語しか話せない。さまざまな情報を整理して受け取るのは苦手。だが、日課表を見れば次にするべきことが一目で分かる。「構造化」と呼ばれ、視覚に訴える手法だ。
 Aさんは高清水園入所の09年以降、他の入所者を引っかいたり、私物を持ち出したりするなどの問題行動が多かった。施設は13年度から日課表やカレンダーを活用した個別支援に力を入れた。
 羽川毅郎・支援課長補佐(46)は「試行錯誤の段階だが、Aさんは先の見通しがつかめることでトラブルが減ってきた」と成果を実感している。

<全国で技能普及>
 Aさんのような人を支援する技能を高めるため、厚生労働省が13年度に始めたのが「強度行動障害支援者養成研修事業」。研修を受けた受講者らが各都道府県で講師となり、研修会を開いて技能の普及に取り組む。
 ことし1月、秋田市で165人が参加して開かれた研修会で、Aさんの事例が紹介された。報告した高清水園支援員の越後谷和子さん(39)は「いままでの取り組みを振り返るいい機会になった」と話す。
 厚労省の調査によると、13年度に障害者施設(身体、精神障害を含む)で発生した虐待事例のうち、強度行動障害を持つ人が被害者になった割合は12%あった。
 同省の曽根直樹・虐待防止専門官は「知的障害者の施設に絞ればさらに比率が高まる。支援員の対処技術を向上させ、虐待防止につなげたい」と意気込む。

<行動障害と虐待>湯沢市の皆瀬更生園で2013年4月、身体的・心理的虐待を受けた女性入所者は、他人に迷惑を掛ける行動障害があった。14年4月、男性職員から押さえつけられ平手打ちされた男性入所者は、興奮しやすく自分を制御できない傾向があった。職員たちはこうした行動障害への対応策を十分に習得できていなかったとされる。

Aさん専用に作った日課表を持つ越後谷さん

2015年02月21日     河北新報


「腕は短いけど、自転車も水泳もできる。髪だって結える」…東京パラでメダル目指す一ノ瀬メイさん

2015年02月23日 01時33分09秒 | 障害者の自立

 京都堀川音楽高校で21日行われた英語のプレゼンコンテストには、2020年の東京パラリンピックに競泳選手として出場を目指す京都市立紫野高校3年、一ノ瀬メイさん(17)が特別参加。生まれつき右肘から先がない自分の体を例に、「障害って何?」と題して英語でスピーチした。

 「私の腕は短いけれど、自転車にも乗れるし、髪だって結えるし、泳ぐこともできる」。全国高校英語スピーチコンテストで優勝した経験もある一ノ瀬さんは、流暢(りゅうちょう)な英語で熱っぽく訴えた。

 1歳から京都市内の自宅近くにある市障害者スポーツセンターで水泳を始めた。小学校時代、健常児にも泳ぎで負けないほど上達したが、9歳の時、スイミングクラブへの入会を、泳力ではなく短い腕だけを見て断られた。

 「本当は泳げるのに…。生まれて初めて障害者であることを認識させられた」

 だが、その後も持ち前の負けん気を発揮して水泳の練習を続けた。女子では史上最年少の13歳で2010年のアジアパラ競技大会に出場し銀メダルを獲得。2012年のロンドンパラリンピックは惜しくも出場を逃したが、現在は、2016年のリオパラリンピックの出場を目指しトレーニングに打ち込んでいる。

 「私は自分で何でもできるのに、周囲が障害者と決めつけ『障害を持たされている』と感じるときがある」という。「社会を構成する私たち自身が障害者を作り出す張本人なのかもしれない」と述べた上で、「社会が障害を作り出すなら、その社会が障害者をなくすこともできるはず」と訴えた。

 目標は「東京パラリンピックに出場しメダルを獲得すること」という一ノ瀬さん。「人をムーブ(感動)させるような世界に通用するアスリートになり、私の存在で障害に対する社会の捉え方が少しでも変われば」と、飛び切りの笑顔をみせた。

英語でスピーチする京都市立紫野高校3年の一ノ瀬メイさん

2015.2.22      産経ニュース