ヤマハは2016年6月1日、京都府、京都市、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)と共に、同社が開発した「音のユニバーサルデザイン」化支援システム「おもてなしガイド」を活用した官民連携による実証実験「京都Sound UDプロジェクト」を開始する。実証の期間は2017年3月31日までを予定している。
おもてなしガイドとは、駅や商業施設、観光施設など流れるアナウンスの内容が文字になってスマートフォンなどの画面に表示されるシステムだ。利用者は、専用のアプリケーションソフトをダウンロードして、このサービスを利用する(iOS 7.0 以降に対応)。日本語、英語、中国語簡体字、中国語繁体字、韓国語、タイ語、フランス語、スペイン語の8言語に対応し、これまで日本語による音声アナウンスなどの内容が理解できなかった外国人観光客、耳が聴こえづらい高齢者や聴覚障害者に、アナウンスの情報を文字情報で提供することが可能になる。
システムを導入している施設でアナウンスが流れたときにボタンを押すと、アナウンス内容が文字で表示される。アナウンスと同時に人間の耳には聞こえないトリガーと呼ぶ情報を流し、それをスマホのマイクが拾い、対応する情報を画面に表示する。表示できるのは事前にアプリ内に格納された定型情報のみだが、音声をすべて聞き取れなくてもトリガー情報さえキャッチできれば情報を表示できるという利点がある。インターネット通信を必要としないため、機内モードや電波の届かない場所でも使える。これまで交通機関や商業施設などで実証実験を重ねてきたが、ヤマハによると自治体と連携しての「おもてなしガイド」の実証は初めて。
今回の実証は、京都の交通機関やショッピング施設、観光施設などで広くおもてなしガイドを導入。導入エリアで流れる日本語のアナウンスの文字情報を、デジタルサイネージや利用者のスマートフォンにほぼ同時に多言語の文字として表示するという内容だ。実証には、上記4者に加え、京都の9つの交通機関や6つのショッピング施設や商業関係団体、旅行会社と4つの観光施設が参画するほか、協働メーカーとして音響、通信、システムなどを手がける7社が名を連ねる。
「京都Sound UDプロジェクト」のイメージ(資料:ヤマハ)
2016.5.31 nikkei BPnet