今は自分で性的欲求を満たしているまゆみさん。体調によって麻痺のある手が動かしづらい時にはローターを使う。ただ、ベッドに移るだけでも疲れてしまうため、行為は車いすの上だ。「自分の体の特性上、足がそんなに開かないので、ちょっと不完全燃焼で終わる」。股関節が固く、意図せず足が閉じてしまうため、満足感を得ることが難しいという。
それでも都内で1人暮らしをし、食事やトイレも一人で行えることから、「はっきり言って自分は恵まれていると思う。これまで自慰行為ができない人を間近で見てきたので、日常の中で性的欲求が解消されることが当たり前にならなければいけないと思っている」と話し、女性障害者への性介助の必要性を訴える。
■「性介助と性風俗店は違う」
性的な仕事への興味から、障害者専用デリヘルで働いた経験もあるまゆみさんは、性介助と性風俗店の違いを強調する。
「風俗を否定しているわけではないし、絶対必要なものだと思っている。でも風俗はあくまでも娯楽、エンタメ。お金を払って非日常を演出するものだと思う。そうではなく、日常の自慰行為のベースが確立されてはじめて遊びにつながる。そこを理解してほしい。私も風俗をやるまでは風俗があれば解決すると思っていたが、そうではなかった。やはり家の中でできる性介助の支援を受けたいし、そういうサービスが整備されれば良いと思うようになった。ここが一般の人たちには理解されないし、浸透しないので、風俗という非日常のカテゴリーの中で解釈されてしまう。辻褄が合わないと思われるかもしれないが、私は風俗に行くのは死ぬほど恥ずかしい(笑)」。
射精介助も含めた障害者の性の問題に取り組む一般社団法人ホワイトハンズ代表の坂爪真吾氏は、障害者専用デリヘルについて「数自体は多くはないが、20年くらい前から存在はしている」と話す。その一方、女性障害者向けの性サービスは、数少ない男性用障害者専用デリヘル等と比べてもさらに少ないのだという。「男性は射精という明確なゴールがあるが、女性はゴールがわかりづらい。そのへんの曖昧さも背景にはあると思う。欲求はみなさんあると思うが、どうやって発散すればいいのか分からなず、言える相手や場所がないことが問題だ。もっと声をあげやすい環境や社会を作っていく。まずはそこからだと思うし、風俗は娯楽、エンタメという分野でもある。介護は健康、権利を守るという視点なので、文脈の違いはあると思う。そこを分けた上で、両方必要で色々な選択肢を増やす必要もあると思う」。
■カンニング竹山「健常者だろうが障害者だろうが、頭の中は一緒」
まゆみさんは「性はいかがわしいことでも、汚いことでも、ダメなことでもないという意識改革が必要。それができれば現場の考えも変わってくる。介護士が性に触れるようなことはするべきではない、分けて考えないといけないという意見もあるが、他の身体介護と同じ枠組みで性介助もできないかとも思う。なぜかというと、日常生活の中で、いきなり知らない人が性の場面だけ入ってくるのがダメな人もいる。私はできる、私はできないと言える環境を作れれば良いと思う」と話した。
カンニング竹山は「健常者だろうが障害者だろうが、頭の中は一緒だし、性欲があるのは当たり前。でも、女性は男性よりも出て来づらいと思う。そんな中でまゆみさんは代表して出てくれた。健常者にとっても考える機会を与えてくれることになったと思う。ありがとうと言いたい。真剣に考えないといけないことではあるけれど、できるだけ朗らかに話して、問題を解決しないといけないと思う」と話していた。
(AbemaTV/『AbemaPrime』より)