ゴエモンのつぶやき

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障害者への性暴力 実態知って 30歳未満の被害の半数超

2019年05月22日 13時07分15秒 | 障害者の自立

訴え難しく泣き寝入りも NPO 6月、福岡でシンポ

 障害者の性暴力被害は、抵抗したり、被害を訴えたりすることが難しいため、表に出にくく、支援につながりにくい。海外では、障害者への性犯罪に対する処罰規定を持つ国もあるが、日本では法整備がされていない。性暴力の根絶を目指すNPO法人「しあわせなみだ」(東京)は、障害者への性暴力の実態を知り、必要な法制度を考えてもらおうと、6月8日に福岡市でシンポジウムを開く。 

 内閣府が2017-18年に全国の相談・支援団体を対象に行った調査では、障害の有無について回答があった30歳未満の性被害事例127件のうち、障害があるとみられる事例は70件あり、55%を占めた。その内訳は、発達障害16件▽精神障害19件▽軽度知的障害9件‐など。しあわせなみだ理事長の中野宏美さん(42)は「海外の調査で、障害のある人はない人の約3倍、性暴力を経験しているというデータもある」と説明する。

 しあわせなみだは18年、大人の発達障害者が集うカフェ「Necco」(東京)の協力のもと、性暴力の調査を実施。32人中23人が「望まない人に性的な部分を触られる」など何らかの性暴力を経験していた。

 聞き取り調査に応じた30代の女性は、小学生の頃に見知らぬ男から下着の中に手を入れられ、中学では複数の同級生から胸を触られるなどの被害に遭った。女性は「人間として扱われていない感じがしてひどく傷ついた」「ノーって言えない。言える立場じゃないっていうのが潜在意識にある」と話したという。

 Neccoを運営する金子磨矢子さん(65)は「発達障害のある人たちは、『何もしないから』といった言葉を額面通りに受け取る人が多く、だまされやすい。自己肯定感が低く、嫌でも断れなかったり、被害に遭っても『自分が悪かった』と泣き寝入りしてしまったりする人も少なくない」と説明する。

   ◇    ◇ 

 障害者の性被害に詳しい杉浦ひとみ弁護士(東京)は「証言がうまくできないために、検察が起訴できなかったり、加害者が裁判で無罪になったりしている」と指摘する。被害を訴えることができないだろうと、弱みにつけ込んで医療、福祉の関係者が性暴力に及ぶケースもあるという。

 杉浦さんは4月の国会議員向け勉強会で、06年に福祉施設で起きた、18歳の少女が就寝中に職員から乱暴された事件について説明した。少女は帰宅後に母親に被害を訴え、陰部をしきりに洗うなどしていたが、重い知的障害のため具体的な説明ができなかった。検察は、証拠が不十分であること、法廷での証言が難しいことなどを理由に起訴を見送ったという。

 杉浦さんは「被害者が障害者の場合は立証のハードルを下げる、あるいは罪を重くする必要があるのではないか。ただ証拠が不十分なのに容疑者になるのは問題だし、恋愛など障害者の性的自由が制限されてしまう可能性もあり、難しい問題だ」と話す。

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 海外では、刑法に「性犯罪被害者としての障害者」の概念を盛り込んでいる国も少なくない。韓国や米国では、障害があると知りうる立場にある人(施設の職員など)からの性犯罪は、罪が重くなる。英国では、「精神障害が理由で拒絶できない者と性的活動を行う罪」があり、被害者に障害があった場合は罪に問うためのハードルが下がる。

 刑法は17年の改正で性犯罪が厳罰化され、3年後の見直しが付則に盛り込まれた。しあわせなみだは、見直しに向け、相手が障害者であることに乗じた性犯罪に対する処罰規定の創設を求め、昨年12月からネット署名を開始。今年5月からは全国10カ所でシンポジウムを開催中だ。中野さんは「まずは障害者が性暴力に遭っている現実を知り、被害も加害も生まない社会づくりについて考えてもらえたら」と話している。

     ◆

 シンポジウムは、6月8日午後1時から、福岡市南区の市男女共同参画推進センター・アミカス4階ホールで。性暴力被害など障害者を取り巻く社会の問題を描いた映画「くちづけ」(堤幸彦監督)を上映。その後のトークセッションでは、児童発達支援センターこだまの緒方よしみ園長、性暴力被害者支援センターふくおかの浦尚子センター長が登壇する。参加無料。

障害者の性暴力被害の深刻さを知ってほしいと訴える「しあわせなみだ」の中野宏美理事長

申し込み、問い合わせはNPO法人博多ウィメンズカウンセリング=092(210)0058。

2019/5/21         西日本新聞

ミンナのシゴト 障害者施設と企業マッチング

2019年05月22日 12時18分02秒 | 障害者の自立

栃木県鹿沼市にある「ミンナのシゴト」は2018年から、障害者の仕事を探す就労支援施設と障害者に作業を委託したい企業などをマッチングするサービスを始めた。人工知能(AI)の開発やデータ入力など多様な活躍の場を障害者に提供し、人手不足に悩む企業と経営環境が厳しい障害者施設の懸け橋になっている。

障害者の就労を支援する就労継続支援事業所は、障害者と雇用契約を結んで就労や能力向上の機会を提供する「A型事業所」と、雇用契約を結んで働くのが難しい人が利用する「B型事業所」に分かれる。通常の事業所での雇用に向け支援する「就労移行支援事業所」もある。

休眠会社を定款変更して昨年創業したミンナのシゴトは、これらの施設に作業を委託したい企業と受託したい施設をウェブサイトを通じマッチングする。障害者専門のビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)事業で、両者からの手数料を収益源としている。

受発注される作業はデータ入力や音声の文字起こしなどIT(情報技術)系の業務のほか、農作業や工場内作業など多岐にわたる。兼子文晴社長はA型、B型の就労継続支援事業所も経営しており、自らのノウハウを生かして進捗確認や助言を行うことで事業所の負担を抑えている。

特に実績を伸ばしているのがIT関連の作業だ。自動運転技術のもとになるAIの開発のうち、認識した画像の中のどれが車両でどれが標識なのかなどをAIに学習させる「アノテーション」と呼ばれる作業や、名刺管理サービスのデータ入力といった作業の受注が目立つという。

営業ノウハウに乏しい施設の需要をくみ取り、初年度は約3000万円の売り上げを確保。業務を委託する企業は30社、受託する事業所は144カ所あり、クラウドワークスなどのIT企業も顧客に持つ。19年度は2億円の売り上げが目標だ。

17年ごろからA型事業所が相次ぎ閉鎖し、多くの障害者が解雇されたことが社会問題になった。就労継続支援事業所は国の補助金ではなく、事業の収益から障害者の賃金を賄うよう求められている。一方で企業では人手不足が深刻化しており、マッチングへのニーズは今後高まると期待する。

兼子社長は自らの精神疾患をきっかけに、就労継続支援事業所とミンナのシゴトを創業した。「障害者ができることはよく知っている。全国に900万人以上いる障害者みんなの味方になりたい」と話している。

2019/5/21          日本経済新聞

 


障害者の法定雇用率、達成した企業の割合 1位再び佐賀

2019年05月22日 12時04分45秒 | 障害者の自立

 障害者の法定雇用率を達成した佐賀県内の民間企業の割合が、8年連続で全国トップとなった。厚生労働省佐賀労働局が4月、発表した。労働局は、障害がある人とない人が区別されずに暮らす「ノーマライゼーション」の考えが浸透しているのではないかなどと分析している。

 障害者雇用促進法では、従業員の一定割合以上の障害者を雇うことを事業主に義務づけている。現在、一般民間企業の法定雇用率は2・2%、国や地方自治体は2・5%などとなっている。

 労働局の集計(昨年6月1日時点)によると、雇用障害者数は2439・5人で6年連続、実雇用率は2・55%で5年連続でそれぞれ過去最高を更新。実雇用率は全国平均が2・05%の中、全国4位だった。

 県内の対象企業(従業員数45・5人以上)は603社。法定雇用率を達成した企業の割合は全国平均が45・9%に対し、佐賀県は66・3%で全国トップ。労働局は結果について「何か数字があるわけではない」としつつ、「小さい県ながらの良さがあると思う。『隣の企業がやっているからうちもやらなきゃ』というようなところも含めて、障害者雇用に対する『当たり前感』というような、ノーマライゼーションの考えがうまく浸透しているのではないか」と分析した。

 未達成企業203社のうち、障害者を1人も雇用していないのは106社だった。労働局は「1人目の雇用が障害者雇用の難しさとも言われている。丁寧に啓発、指導に取り組んでいきたい」としている。

 佐賀労働局は昨年12月、県内の公共機関の障害者雇用状況(昨年6月1日時点)を発表している。これによると、県の知事部局や県警、県教委はいずれも法定雇用率を満たさず、市町の機関も33機関中17機関が未達成だった。地方独立行政法人の県医療センター好生館も法定雇用率に達していなかった。

 障害者雇用を巡っては、昨年、中央省庁などでの雇用数の水増しが発覚し、問題となった。

2019年5月7日        朝日新聞


スマホアプリはいかに視覚障害者の生活を「一変」させたか

2019年05月22日 11時26分01秒 | 障害者の自立

 誰でもいいので、スマートフォンが登場する前の暮らしを知る人に尋ねてほしい。当時の生活は今とは違っていた、という答えが返ってくるはずだ。だが、8年前に失明したNutsiri "Earth" Kidkulさんにとっては、生活が変わったという表現だけでは言い表せないほどモバイルアプリの影響は大きかった。

 専門的なアプリが登場する前、Kidkulさんは、食料品の買い物や移動、文書の閲覧といった、健常者にとっては基本的な雑事をこなすために、今よりもはるかに入念な計画を立てて、準備をする必要があった。さらに、普段どおりの1日を過ごすために、ほかの人の助けを借りなければならないことも多かった。

 「いつも彼らの時間やスケジュールに合わせる必要があった」(Kidkulさん)

 Kidkulさんは、例えば、Microsoftの喋るカメラアプリ「Seeing AI」の力を借りて、自分のメールや文書を読むことができる。このアプリは十分な利便性と精度を備えているので、他者に頼る必要がなくなったと感じている。

 「友人や家族の助けを借りずに自分のメールを分類したり、読んだりできるので、プライバシーが守られているという感じがする」(Kidkulさん)

 過去10年間で、モバイルアプリは、おならの音を出すばかげたプログラムや頭を使う必要のないゲームから、人々の生活に大きな変化をもたらすサービスへと進化した。アクセシビリティーが急速に前面に押し出されるようになったのは、約2年半前のことだ。MicrosoftAppleなどの大手企業がアクセシビリティーを優先事項にしたことがきっかけだった。これらのアプリは、表面的なユーザーインターフェースの改善だけでなく、人工知能(AI)や音声認識などの高度な技術を組み込むことで、メールの読み上げ機能のような実質的な有益性も提供する。

 こうしたアプリは、より広範で多様なユーザーを考慮に入れることに献身的に取り組んでいる姿勢を示すものだ。とはいえ、ビジネス上の理由もある。技術のアクセシビリティーを高めることで、新しいユーザーを獲得したり、サービスの行き届いていないコミュニティーを無視することによる反発を避けたりすることができる。世界保健機関(WHO)の推計によると、2018年の時点で何らかの視力障害を抱える人は全世界で約13億人だったという。Kidkulさんは、3600万人いる全盲者の1人だ。

 5月上旬に開催されたGoogleの開発者カンファレンス「Google I/O」で、同社は基調講演で少し時間を割いて、さまざまな新しい方法でアクセシビリティーに取り組んでいることを紹介した。Googleの最高経営責任者(CEO)のSundar Pichai氏は、動画や音声を文字に起こす「Live Caption」という機能や、AIを利用して発話障害のある人々を支援する「Project Euphonia」といったプロジェクトを発表した。

広がる新たな可能性

 Kidkulさんは失明した後、視覚障害者向けにプログラムやセミナーを開催しているロサンゼルスの非営利団体Braille Instituteに学生として通い始めた。ボランティア活動に一層励むようになった後、同団体のテクノロジーインターンシッププログラムに参加した。そして、4年前から主任技術指導者を務めている。

 Kidkulさんは、生活をより便利にしてくれるという、多くのアプリに頼っている。

 「Instacart」は食料品の買い物を容易にし、「Money Reader」はKidkulさんが助けを借りずにさまざまな通貨を識別できるように支援する。買う必要のあるほとんどの商品は、Amazonを通して自宅に届けてもらえる。


視覚・聴覚障害者、57人が裁判員に 参加総数の0.1%

2019年05月22日 11時10分15秒 | 障害者の自立

 制度施行から10年を迎えた裁判員裁判に、少なくとも57人の視覚・聴覚障害者が、裁判員・補充裁判員として加わった。最高裁への取材で明らかになった。裁判所は法廷での手話通訳などの対応を講じているが、障害者も含めた「国民の司法参加」を後押しするため、専門家らはサポート態勢のさらなる充実を訴えている。

 最高裁によると、障害の有無に関わらず、裁判員としての仕事を成し遂げるのに著しい支障がなければ裁判員になることができる。

     障害者が裁判員に選ばれる場合を想定し、裁判所は視覚障害者向けに、ヘルパーによる付き添いや公判に提出された書面の点字翻訳を行っている。聴覚障害者には、法廷での手話通訳や会話を要約して文書にする要約筆記で対応。他にも車椅子や拡大読書器、筆談器、補聴システムなどの貸し出しもしている。裁判員の選任手続きでも同様の対応をしているという。

     2018年12月末までに判決が言い渡された裁判員裁判で、裁判所が何らかの対応をした視覚障害のある裁判員・補充裁判員は16人で、うち5人は点字翻訳を利用した。聴覚障害のある裁判員・補充裁判員は41人。うち9人は手話通訳、8人は要約筆記のサポートを受け、審理に参加した。

   他の障害などに対応し車椅子の貸し出しなどを受けた45人を含め、計102人が支援を受けて裁判員裁判に参加した。支援を受けずに参加した人もいるとみられるが、参加総数約9万人に占める割合は約0・1%だった。厚生労働省が18年に公表した調査によると、身体障害者手帳所有者数の推計値は428万7000人で、人口の3%程度。難病患者や手帳未所持で何らかの障害がある人を含めるとさらに多いとみられる。

     視覚障害があり、障害者の権利の問題にも取り組む大胡田誠弁護士(第一東京弁護士会)は「適切な配慮がなされず、障害者が制度から取り残されていないかを懸念している。障害者が司法手続きに参加する機会を確保してほしい」と話している。

    「専門用語」分かりづらく 手話通訳者の技術にも差

     2017年に東京地裁で裁判員として傷害致死事件を審理した柴田正明さん(47)=山形市=は聴覚障害があり、地裁に手話通訳を要請した。

     法廷では、証人と手話通訳の両方が見やすい席に座った。評議では、裁判長が「発言したい時は手を挙げて、一人一人、ゆっくり話して」と裁判員らに呼び掛けてくれ、不安なく参加できたという。

     ただ、法廷で専門用語が飛び交ったり、尋問のやりとりが早かったりして、通訳内容が分かりづらい場面もあったという。柴田さんは「手話通訳者の技術にも差があった」と振り返る。

     青森地裁で13年に審理された強姦(ごうかん)致傷事件で裁判員を務めた須藤博幸さん(61)=青森市=も手話通訳を受けた。「普段から交流があったり、見慣れたりしている通訳者の表現の方が安心して読み取れる」と語る。

     裁判所は、外国語の法廷通訳には通訳者向けの研修を実施しているが、手話通訳者を対象とした同様の研修制度はないという。聴覚障害のある田門浩弁護士(東京弁護士会)は「質の問題」を指摘し、「海外では研修のほか、法廷専用の通訳資格を設けている国もある。国内でも導入すべきだ」と提言する。

毎日新聞           2019年5月21日