食べる順番とインクレチンの分泌について |
みなさんこんにちは。
一般的に、食事で「肉」「野菜」「お米」があったとしたら、「1.野菜→2.肉→3.お米」の順に食べるのが良いとされています。これは糖尿病の食事指導で利用されている食事療法です。
これを「ベジファースト」とすると、最近は肉を最初に摂取する「ミートファースト」、つまり「1.肉→2.野菜→3.お米」の順に食べる方法が話題になることがあります。
この2つの方法を比較したときに、消化管から分泌される、インスリン分泌を促進するホルモン「インクレチン」(血糖維持に働くホルモン)の分泌量はどう変化するのか考えてみました。
「ミートファースト」の方がインクレチン分泌量が増え、胃の消化運動を抑制して腹持ちが良くなるためダイエットしやすいという意見があります。しかし、ミートファーストでインクレチン分泌量が増えたのち、最後のお米でインクレチン分泌量が低下することを考えると、「ベジファースト」は肉とお米の順番が近いため、インクレチンの総分泌量はミートファーストと比較するとあまり変わらないか、やや低下する程度と考えます。
野菜を最初にとった方が、食物繊維が糖質・脂質・コレステロールの消化吸収を抑えるため、糖尿病の血糖維持には「1.野菜→2.肉→3.お米」のベジファーストの方が良いでしょう。ダイエットとして血糖という面を重視しないのであれば、「1.肉→2.野菜→3.お米」の方がインクレチンの分泌促進により、胃の消化運動が抑制されて満腹感が早くなるため、自然と最後に食べるお米の量が減り、ダイエットにも良いかもしれません。
しかし、食べ過ぎはNGということが大前提です。
総合的には、バランス良くお米も食べてほしいことを考えると、私は「ベジファースト」を推奨します。
インクレチン分泌に関して補足すると、このたび当院にて導入した「GLP-1」はインクレチンの一つで、インスリンの分泌促進に加え、食欲を抑制する作用があることで、ダイエットの治療薬としても注目されています。
効率的にダイエットするためには、こういった体の仕組みも把握しておくことも大切です。
では。