原題:『Girls of the Sun』
監督・脚本:エヴァ・ウッソン 製作:2018 フランス・ベルギー・ジョージア・スイス合作 111分
いつまでも続く終わりのない戦いが、中東で起こっている。かつてのベトナムやユーゴのように。
「2018年ノーベル平和賞受賞者ナディア・ムラドが訴えるメッセージを実感する、自らの尊厳のためISと戦う女性たちの生き様に・・・」とあるように、女性の立場から訴えた反戦映画。
監督・主役その他主な出演者は女性が多い。ISに夫を銃殺され、息子を捕られ、自らは性奴隷にされ、仲間を戦闘で失い、もう涙も枯れたという元弁護士の美人戦闘員バハール。彼女は女性兵士達のリーダーなのだ。またある女性戦場カメラマンは爆撃の破片で片目を損傷し黒い眼帯をし、カメラを通し、戦争の実態を世界に発信している。彼女の夫は戦場で取材中に落命。自分は娘を置いて戦場に身を置き取材活動を優先するジャーナリスト。
荒涼と荒れ果てた町々、緑の少ない自然環境を背景に、風の音すら聞こえるほどの静寂、そこに流れる刺すような緊張感。重量のありそうな自動銃を抱え、心に苦しみを背負った女性たちが、最前線に在ってISと熾烈な戦闘を繰り広げる。
現実に根ざした映画であることから、日本の現状との落差の大きさを考えてしまう。違った宗教・人種が混在する地域で安穏に生活する難しさを感じる。一旦崩れた平和は容易に元に戻らない。終わりの見えない紛争、泥沼の紛争へと発展してしまう。息子の救出に成功し、涙、涙のバハールだったけれど、彼女たちの戦闘は終わりではない。どちらかが根絶やしになるまで続く、果てもない戦いなのだ。そんな所に生まれなくて良かったよ