急性大動脈解離における死因の7割は大動脈破裂に伴う心タンポナーデと言われています。急性大動脈解離の手術の目的の第一は、この、心タンポナーデから突然死をすくうことにあります。CTやエコーで心嚢液貯留がある症例は要注意となりますし、それによって急いで手術室へ移動するか、手配に時間を要しても待つことができるかを判断することができます。
心タンポナーデの簡便な解除方法として、心嚢切開や心嚢穿刺があります。
心嚢切開は剣状突起下で6~8cmの皮膚切開をおき、剣状突起の下から頭側に向かってのぞき込むような形で剥離して心膜を露出し、その心膜を切開することで達成できます。意外に剣状突起から心膜までの距離があるので、筋鈎などで助手が胸骨というか胸郭を前方に牽引することで視野が改善しやりやすくなります。血餅などがあるタイプの心タンポナーデの場合はこのような直接の切開でないとドレナージできないことがあります。
もう一つは心嚢穿刺です。エコーガイド下にガイドワイヤーを心嚢内に挿入し、それを通じてピッグテイルカテーテルや透析用カテーテルなどを留置し、心嚢液を除去する方法です。簡便で清潔操作で実施可能ですが、血餅があるタイプではすぐにカテーテル先端が血餅にあたり、それ以上引けなくなることが多いので効果には限界があります。
いずれも開胸から人工心肺装着が可能な環境下で実施することが望ましく、過去に救急外来で心膜切開した患者さんで救命できた経験はありません。心嚢穿刺で一時的に血圧上昇した症例もすぐに血液が再貯留して血圧が低下し急いで手術室へ急行しなければならないという事態を何度か経験しております。
すなわち、急性大動脈解離に対する心嚢ドレナージや心膜切開は手術室入室してから実施することが重要ということになります。
心タンポナーデの簡便な解除方法として、心嚢切開や心嚢穿刺があります。
心嚢切開は剣状突起下で6~8cmの皮膚切開をおき、剣状突起の下から頭側に向かってのぞき込むような形で剥離して心膜を露出し、その心膜を切開することで達成できます。意外に剣状突起から心膜までの距離があるので、筋鈎などで助手が胸骨というか胸郭を前方に牽引することで視野が改善しやりやすくなります。血餅などがあるタイプの心タンポナーデの場合はこのような直接の切開でないとドレナージできないことがあります。
もう一つは心嚢穿刺です。エコーガイド下にガイドワイヤーを心嚢内に挿入し、それを通じてピッグテイルカテーテルや透析用カテーテルなどを留置し、心嚢液を除去する方法です。簡便で清潔操作で実施可能ですが、血餅があるタイプではすぐにカテーテル先端が血餅にあたり、それ以上引けなくなることが多いので効果には限界があります。
いずれも開胸から人工心肺装着が可能な環境下で実施することが望ましく、過去に救急外来で心膜切開した患者さんで救命できた経験はありません。心嚢穿刺で一時的に血圧上昇した症例もすぐに血液が再貯留して血圧が低下し急いで手術室へ急行しなければならないという事態を何度か経験しております。
すなわち、急性大動脈解離に対する心嚢ドレナージや心膜切開は手術室入室してから実施することが重要ということになります。