横須賀うわまち病院心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

横須賀市立うわまち病院心臓血管外科 2020年の実績

2021-02-01 13:30:52 | その他
 横須賀市立うわまち病院心臓血管外科は2009年四月に開設以来、12年目となり、横須賀、三浦半島地区の心臓血管外科診療を担ってきました。10年以上が経過し、より地域に定着してきた印象があり、近隣の病院、医院からも紹介されてくる患者さんが増えてきた印象があります。
 近年は、緊急手術に対する対応もさることながら、小開胸アプローチによる低侵襲心臓手術や大動脈ステントグラフトの手術件数も増加傾向で、より先進的な心臓血管外科診療を目指して新しい技術の導入にも積極的に取り組んでいます。特に、2025年には久里浜地区に新築移転の計画が進んでおり、その時に合わせてハイブリッド手術室を導入してより低侵襲な治療が行える環境を整えていく予定です。

 そうした中で、2020年は大きく新型コロナウィルスのパンデミックの影響を大きく病院全体が受けた一年でした。心臓血管外科も少なからず診療抑制をうけた時期もありましたが、その分のリバウンドとも言える症例数が一時的に増加する時期もあったりと、不安定ながら前年までの5%ほどの症例数の低下に最終的にとどまりました。しかしながら、内訳をみると、104件の心臓胸部大血管手術のうち、弁膜症が半分以上を占め、特に大動脈弁置換術が45件と前年に比較して大幅に増加しました。今後経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)を新病院で導入するには充分な症例数が確保出来たとの見方もありますが、その一歩でそれ以外の症例数が減少しているとも言えます。
 2021年も新型コロナウィルスの影響は診療に大きく関係すると思われますが、多彩な症例の幅を維持することが地域の医療に貢献できる診療レベルを維持することにもつながります。新しい一年も、地域の信頼を勝ち取るための努力がいっそう望まれる一年になるものと考えております。


症例数

手術件数 304件 
心臓胸部大血管手術件数 104件 AAA 41件(EVAR 5)
PAD 15件
VARIX 93件 シャント造設術 35件 その他 20件

心臓胸部大血管手術の内訳

IHD 23

CABG 22  OPCAB 11 On pump beating 1
 MICS-CABG 3 (MId-CAB 1 AAAと同時)
 Concomitant AVR 6 MVR 1 MVP 1
     AVR+MVP 1 AVR+MVR 1 AVR+AAR 1
     左室形成 1
左室形成 2(単独 1 CABG併施 1)

VHD 67

AVR 45   MICS-AVR 22
      +AAR 6  +MVP 4 +MVR 1 +CABG 5
      +AAR+CABG 1  +AAR+MVP 1
      +MVR+CABG 1
Bentall 1(Redo +MVP+TAP)
MVP 16  MICS-MVP 6
     +AVR 4   +AAR+AVR 1  +Bentall 1
     +AVR+CABG 1 
MVR 4 +CABG 1 +AVR 1
TVP 1  (MICS-TVP 1)

TAA/DA 25
 DA 9   TAR+OS 1  HAR 3 AAR 6
 TAA 16 TEVAR 4  TAR+OS 4  AAR 7  TAAA 1
 Bentall(Redo) 1              
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足が浮腫んでいるのか、それとも太っているだけなのか、見分け方は?

2021-02-01 13:25:10 | その他
 足が浮腫んでいりる、といいながら、太いだけなのか、浮腫んでいるのか、区別が難しい場合もあります。
 明らかに浮腫んでいると言えるのは、Pitting Edemaといい、指で脛(すね =頸骨)を押すと、ベコッとへこんでなかなか戻らない、低反発スポンジのような状態をいいます。これは指で押された皮下組織の間質にある水分が押しのけられて皮膚がへこむのですが、押しのけられた水分が再び元の位置の間質に戻ってくるのに時間がかかる減少です。
 一方、太っている、という足は、その太さが脂肪によって形成されているため、押しても脂肪はその位置に固定されていて間質の成分のように移動できないため、一瞬へこんでも一瞬でもとにもどります。
 このへこまない浮腫として有名なのは、甲状腺機能低下症に伴うNon-Pitting Edema=粘液水腫と言われていますが、筆者は一度も遭遇したことはありません。
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足のむくんでいるひと、体重を計ってみてください

2021-02-01 11:52:08 | その他
 足のむくみで心臓血管外科外来を訪れる患者さんも少なくありません。足のむくみを診るポイントは
左右差があるか、片側かどうか、発赤があるか、局所の痛みがあるか、そして同時に体重の増加があるかどうか、です。
 
 片方だけのむくみであれば、下肢、骨盤の限局的なリンパ流の阻害だったり、深部静脈血栓症による局所的な静脈の還流障害、または蜂か織炎などの全身性のものではない可能性が考えられます。
 発赤があれば通常は炎症を伴うものを考えます。蜂か織炎などがその代表です。
 局所の痛みは蜂か織炎のことも、深部静脈血栓症によるもののこともありますが、深部静脈血栓症の場合は筋全体を圧迫した際におこる全体の圧痛のことが多く、Homans' Signとも呼ばれます。蜂か織炎の場合は炎症の首座が皮下組織なので痛みも表面的です。
 全身疾患に伴うむくみの場合は、心不全、腎不全、低蛋白血症などに伴って体重が増加していることが多く、下肢浮腫以外に腹水、胸水なども見られる場合があり、全身の検査が必要です。
 長時間いすに座って動かないなどの理由で出現する浮腫は体重増加はまれです。
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人工心肺の勉強会

2021-02-01 07:12:00 | その他


新型コロナウィルスによる予定手術の抑制により、手術ができない時間帯はみなでお勉強タイムを作ることも可能です。
スタッフ対象に人工心肺、カニュレーションに関連した勉強会を開催しました。スライドを100枚くらい作成し、手術動画も交えてのレクチャーを一時間ほど行いました。こうした勉強会は聴衆以上に、演者のほうが勉強になったりします。
人工心肺のシステムに関しては臨床高額技師のほうからあ講義が別途あるため、カニュレーションとそのこつ、トラブルとその予防、トラブルシューティングなどをお話しました。
 こうした勉強会はオンラインで実施できれば、自施設に限らず、より多くの人が一度に会して交流しながら勉強すりというのが今後の理想とするところと思います。
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