横須賀総合医療センター心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

肺塞栓症に対するCentral ECMO

2021-02-17 14:25:25 | 心臓病の治療
 重症の肺塞栓症では、肺で酸素化されずに左心房に灌流した血液が、左心室から全身に送り出されるため低酸素血症に陥り、全身状態が悪化します。これに対して通常のECMOでは右房脱血で大腿動脈送血することで、動脈血を酸素化し救命するわけですが、この方式では、大腿動脈からの酸素化された血液は、下行大動脈や弓部大動脈までは送られますが(この境界をミキシングポイントと呼んでいます)、心拍動が続いているため、左室から低酸素の動脈血が拍出され、冠動脈や脳の動脈には酸素化されていない血液が灌流されて心不全や脳障害を起こす可能性があります。
 重症の肺塞栓症に対するECMOでは、この病態を改善するために送血位置を大腿動脈から、上行大動脈にスイッチすることで、冠動脈、脳に酸素化された血液を送ることが出来るようになり、これにより心不全や脳障害を予防出来る可能性があります。
 上行大動脈送血では、開胸する必要があり、重症の状態での開胸にはかなりのリスクが伴うため、実質的には右腋窩動脈からカニュレーションもしくは人工血管縫着して送血路とする方法が現実的と思われます。
 この判断も、重症の症例の場合は早期に行う必要があり、そのための判断基準は難しいとは思いますが、疑った場合は直ちに行う必要があります。
 また、ECMO装着された肺塞栓症に対して肺動脈血栓除去術を行う場合は開胸するので、このときにCentral ECMOに切り替えることがひとつのタイミングです。
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新型コロナウィルスの院内講習会

2021-02-17 14:22:52 | その他
 新型コロナウィルスのパンデミックの影響で診療抑制を余儀なくされておりますが、こうして出来た時間を、本日はスタッフ全員で新型コロナウィルスの講習会に充てました。このあと、PPE装着の練習会にも参加します。
 出来ることをやる、今しか出来ないことをやる、こうした時期はこれしかありません。
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みんなで新型コロナウィルスのワクチンを打って東京オリンピックを成功させよう

2021-02-17 14:17:34 | その他
 新型コロナウィルスのワクチン接種がいよいよ国立病院から始まるようです。横須賀市の病院では医療従事者の予防接種は三月になってからの開始になるようです。有効率は95%で、摂取が進んでいる地域では新規発病者が激減しているとも聞いています。ワクチン接種がこのパンデミックの切り札になるとすると、これで国内のワクチン接種がすすめば東京オリンピックも無事に開催出来るのではないでしょうか。
 東京オリンピックの感染にもワクチン接種を義務づけるのが必要と思います。ワクチン接種証明が会場にはいるのに必要とするとか、飛行機や新幹線に乗るのにこの証明が必要とか、Go Toキャンペーン使用に必須条件とするなどの施策をすると、摂取が急速に進むと思います。休業陽性に従わない企業を公表したり罰金を科すのもいいですが、それよりはワクチン接種を協力にすすめるために接種証明を取得することのメリットを強調することが重要ではないかと思います。
 はやく通常診療できる日を待ち望んでいます。
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