横須賀総合医療センター心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

外科学会総会:Total arterial MICS-CABG

2021-05-06 12:28:29 | 心臓病の治療
 今回の外科学会総会では、MICSの最前線というワークショップで横須賀市立うわまち病院心臓血管外科からはMICS-CABGの臨床経験について発表しましたが、同じセッションで函館五稜郭病院からTotal Arterial MICS-CABGについて、同時に3DCTシミュレーションによる両側内胸動脈、右胃大網動脈採取、Aorta-Non touchによるOPCABの発表がありました。とても先進的で非常に感銘を受けました。横須賀市立うわまち病院心臓血管外科の目指すべき姿ともいえる内容を実際に函館で実践している報告を聞き、たいへん勉強になりました。今月中はアーカイブ配信で視聴出来るので何度でもみて勉強していきたいと思います。

 コストに関してはまだ改善の余地はあると思いますが、両側内胸動脈、右胃大網動脈を積極的に採用し、正中切開と同じクオリティーで行っているのは相当な力量の外科医でないとなかなか出来ないのではないでしょうか。次の冠動脈外科学会や胸部外科学会でも同様のセッションに演題応募しているので、学会でもこれからも勉強してより質の高い手術を目指していきたいとおもいます。

 横須賀市立うわまち病院心臓血管外科からの発表をみると、新幹線車内からの雑音がけっこうはいっていて、発表の終わり際に山形駅到着のアナウンスもしっかり聞こえていました!
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腸骨動脈瘤の手術適応のサイズは

2021-05-06 11:49:00 | 大動脈疾患
 毎週木曜日に行っている心臓血管外科のズームカンファレンスで受けた質問で、腸骨動脈瘤の手術適応のサイズと何歳まで手術可能か、というのがありました。
 腸骨動脈瘤の一般的な手術適応のサイズは3cmです。だいたいご高齢の患者さんが多いので、定期的にフォローアップしてこれ以上年を重ねる前に手術した方が望ましいというタイミング、拡大の速度、患者さんのADL、治療意欲などをみながら総合的に判断するとともに、患者さんおよびご家族の希望も聞いて手術適応とするのかどうかを最終的に決定しています。
 腸骨動脈瘤のみの場合は開腹せず後腹膜アプローチからの人工血管置換でより低侵襲に治療可能ですし、最近はステントグラフトでうまくいく症例もありますので、術式に関しても患者さんのADLなどを見て相談しています。

 基本的に寝たきりの患者さん、ADLが自立していない患者さんについては手術はお勧めしていませんが、社会的な事情やご家族の強いご希望があれば相談には応じています。
 腸骨動脈瘤に限らず他の心臓血管外科手術症例についても個別の適応については相談しています。
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