横須賀うわまち病院心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

大動脈弁尖の短縮は大動脈弁形成を困難にする

2021-05-18 10:15:53 | 心臓病の治療
 


 大動脈弁形成がなかなか普及しない理由として生体弁のDurability(耐久性)と比較して勝てないということが挙げられます。特に高齢者においては生体弁を移植したほうが再手術回避率が高いと考えられるため、無理に大動脈弁形成に挑戦する必要がないともいえます。
 大動脈弁形成が確実な場合はいいですが、上記写真のように一弁尖のみが短縮して変形していることが逆流の原因であった場合は特に形成は困難といえます。確実なのは短縮した一弁尖のみ自己心膜と置換する、もしくは三尖とも自己心膜と置換するOZAKI手術がいい適応かもしれませんが、生体弁置換のほうが確実に短時間に実施できるため、このエコー画像を麻酔導入後に見て、予定を変更して生体弁によるBentall手術を行いました。手術は4時間で終了し、短時間ゆえに回復も速く合併症なく経過しました。
 大動脈弁形成が得意な外科医はそれでもできるだけ自己弁温存を試みるのでしょうけど、横須賀市立うわまち病院ではより短時間=低侵襲な手術を優先しています。
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新しい下肢静脈瘤の外来手術=グルー治療

2021-05-18 06:32:34 | 心臓病の治療
 かつての下肢静脈瘤の治療としてのスタンダードはストリッピング手術で、大伏在静脈を抜去してしまう「外科的」なもので筆者もこの時代に育ちましたが、その中で静脈瘤に硬化剤を注射して内膜を接着して静脈瘤を虚脱させる硬化療法が新たな外来治療法として普及しました。硬化剤も14.5%の高張食塩水を研修医時代は使用していましたが、その後、ポリドカノールなど専用の硬化剤が市販され、また、泡を液体内に作り泡ごと注射するフォーム硬化療法などの工夫がされるようになりました。
 この時代から一変して2014年ごろから時代は新たなレーザー治療の時代に入りました。それまで自費での治療であった専用のレーザー照射デバイスが保険適応となり一気に外来静脈瘤手術が一般的となり、静脈瘤専門で開業する血管外科医があちこちに乱立するようになりました。この時代になるともはやストリッピング手術が行われることはほぼ皆無となりました。横須賀市立うわまち病院心臓血管外科でも、下肢静脈瘤レーザー治療はいち早く導入し三浦半島での治療施設の中で最も治療数の多い施設の一つとなっています。レーザー以外に高周波によるレーザー治療も同様に静脈瘤血管内治療として、初期コストの低い治療として導入する施設も増えましたが、いずれこの血管内静脈焼灼術の主流となっています。

 さらに新たに昨年から下肢静脈瘤のグルー治療が新たに保険適応となり横須賀市立うわまち病院でも導入しています。グルー治療はレーザー治療と同様にカテーテルを大伏在静脈内に留置してレーザーや熱による内膜焼灼するのではなく、接着剤を連続的に注入して静脈瘤を閉塞させる治療です。シアノアクリレートという接着剤を注入するのですが、これは今まで脳外科の血管内治療での塞栓物質や、心臓血管外科では胸管損傷による乳び胸に対する胸管塞栓術などで使用経験があります。吸収されず変性もしないこのシアノアクリレートは長期的に血管内にこの接着剤が残ることになりますが、レーザー治療のように局所麻酔薬を使用しなくて済む、初期投資が不要というメリットもあります。導入可能施設に制限がかかっているので、今後もしばらくは横須賀三浦地区では横須賀市立うわまち病院でしか受けることが出来ない治療ですが、治療の選択肢が増えることで下肢静脈瘤にもその状態に合わせて適切な治療方法を選べる時代になっています。
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横須賀の中の「さいたま」見つけました

2021-05-18 00:02:42 | 心臓病の治療


横須賀市立うわまち病院心臓血管外科チームは自治医科大学附属さいたま医療センターの医局からの派遣メンバーで構成されています。よってさいたま市とは非常に関係が深いということになりますが、横須賀市自体にさいたま市との関連性は基本的にありません。その中で唯一、関連するもの、見つけました。理由はわかりませんが、ゆうちょのATMがさいたま支店のものでした!ちょっと見つけた瞬間微笑んでしまいました。
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