大動脈弁形成がなかなか普及しない理由として生体弁のDurability(耐久性)と比較して勝てないということが挙げられます。特に高齢者においては生体弁を移植したほうが再手術回避率が高いと考えられるため、無理に大動脈弁形成に挑戦する必要がないともいえます。
大動脈弁形成が確実な場合はいいですが、上記写真のように一弁尖のみが短縮して変形していることが逆流の原因であった場合は特に形成は困難といえます。確実なのは短縮した一弁尖のみ自己心膜と置換する、もしくは三尖とも自己心膜と置換するOZAKI手術がいい適応かもしれませんが、生体弁置換のほうが確実に短時間に実施できるため、このエコー画像を麻酔導入後に見て、予定を変更して生体弁によるBentall手術を行いました。手術は4時間で終了し、短時間ゆえに回復も速く合併症なく経過しました。
大動脈弁形成が得意な外科医はそれでもできるだけ自己弁温存を試みるのでしょうけど、横須賀市立うわまち病院ではより短時間=低侵襲な手術を優先しています。