横須賀総合医療センター心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

Impellaトレーニング

2021-12-10 07:19:46 | 心臓病の治療
 二日間にわたって横須賀市立うわまち病院ハートチームで行われたImpellaトレーニングが終わりました。外科側としては主に、Impella5.0を手術室で挿入する際のシミュレーションなどを行いましたが、太いデバイスを挿入する際の工夫がいろいろと必要そうです。エコー、カニューレなど三次元連動したシミュレーションシステムが素晴らしかったです。
 そのあともImpellaの適応となるような症例もあり、一日も早い導入を目指しており、現時点では1月1日からスタートできそうです。
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MICS-CABGウェビナー

2021-12-10 07:07:43 | 心臓病の治療



 12月4日 Medtronic主催のMICS-CABGのウェビナーが開催されました。20~30分ほどのレクチャーが3本と、そのあとの濃厚なディスカッションで合計三時間、しっかりお勉強しました。
 筆者は「LITA-LADから始めるMICS-CABG」という内容でプレゼンテーションさせていただきました。循環器内科としては心臓外科医にLITA-LADさえしっかり繋いでくれたらあとはカテーテル治療をするから・・・というのが本音です。MICS-CABGにおいて、LITA-LADだけ行い、他の枝はPCIするいわゆるHybrid Coronary Revasculization(HCR)のほうが喜ばれて心臓外科に紹介される可能性が増える、共存共栄の関係が構築できる可能性があります。
 とはいえ、外科医としては引き出しの数を増やすためにも、多枝の血行再建ができるようにしておくこともより高度な治療をしていくには必要です。
 モデュレイターの菊池慶太先生は、緊急手術や高度肥満の症例などには手を出さず、うまくいく症例を選んでおくことも必要と講演されましたが、症例数の限られる横須賀市立うわまち病院のような施設では、症例ごとにベストな治療選択を行い、その中でMICS-CABGをチャレンジしていく必要がありますので、一般には行われないような症例にも低侵襲手術を実践しており、講演の内容にも一部、チャレンジケースやMICS-CABGを行う上での工夫などを入れさせていただきました。緊急手術やRedo症例、視野不良の場合の工夫、中枢側吻合を腋窩動脈に変更することなどについても提案しました。
 今後MICS-CABGが普及していく中では、今後発展させていくべき内容とおもいます。
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心臓手術既往のある患者さんに発症した急性大動脈解離:すぐに手術しない!

2021-12-10 06:59:37 | 心臓病の治療
 開心術の既往のある患者さんに急性大動脈解離が発生した場合の緊急手術は、縦隔内の癒着があるために非常に難易度が高いものになります。大動脈解離によって薄く引き伸ばされた偽腔の外膜が、手術操作するのに癒着があるために操作中に破裂するリスクが非常に高くなります。そのため、人工心肺が確立された状態での癒着剥離が必要であったり、解離の炎症によってさらに癒着がひどくなったりして手術操作自体が困難です。
 しかしながら、急性大動脈解離の死因の一位は心タンポナーデであり、この開心術後の症例では心嚢内が癒着しているため破裂しても癒着によって抑え込まれて破裂が止められたり、決して心タンポナーデにはなりません。縦隔内や左胸腔内に破裂して血腫を出現させたり、胸腔内に大きく破裂した場合は突然死のリスクはありますが、最大の死因である心タンポナーデにはならないため、基本的にMalperfusionになっていなければ、降圧管理をICUで行い、安静を保持して数日間管理してから待期的に手術することが最も成績がいいと考えられます。
 東京都大動脈解離スーパーネットワークの報告でも、急性A型解離の手術しない症例の死亡率は66%、緊急手術した症例の死亡率は9%と手術成績が非常に良好といえますが、開心術の既往がある患者さんの場合は、急性期に手術しないほうが成績が良いと考えられます。
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