腹部大動脈瘤の人工血管置換術において、大動脈瘤の中枢、末梢側遮断したあとに瘤を切開して、壁材血栓を除去したあとに、腰動脈からの出血を止血してから、中枢側、末梢側と人工血管を吻合して再建します。大動脈瘤切開したときに起こる出血は自己血回収装置で回収し、洗浄赤血球として患者さんの体に返血します。しっかり血管遮断されていれば遮断部位から出血することはほとんど経験しません。よって腹部大動脈瘤手術の多くは瘤切開時に腰動脈からバックフローとして出血してくるものが殆どです。また、石灰化高度などの理由で末梢側遮断ができない症例に関しては、フォーリーカテーテルを血管内腔から挿入してバルーンを拡張させて遮断する場合もあります。このときにバルーン遮断が不十分であると、末梢側からのバックフローが出血として手術視野の妨げになることもあります。
手術操作で他に、剥離面、大動脈瘤壁を切開したときに静脈損傷をしたり、など他の要因の出血もありえます。
腰動脈のバックフローやその他の出血で、その出血量が多いと出血性ショックに陥る危険があり、特に自己血回収装置のほうへ1500ml以上回収される場合は血行動態が不安定になりやすく、早期に輸血、回収血の返血などで循環血液量を維持する必要があり、これが間に合わないとショックから心停止に至る危険もあるため、この腰動脈の止血は迅速に行う必要があります。
石灰化が著しくて縫合糸の針が通らない場合は、石灰化病変をペアン鉗子などで破砕して除去し、針が貫通しやすくしてから糸かけをすることが必要です。この際に大動脈瘤壁の外膜を損傷して、下大静脈や腸骨静脈から出血させるとさらにリスクが上がります。大静脈の損傷による出血の場合は、直接縫合糸をかけると静脈壁が裂けてしまうリスクがあるため極力周囲組織と一緒に縫合閉鎖して止血することがコツです。
手術操作で他に、剥離面、大動脈瘤壁を切開したときに静脈損傷をしたり、など他の要因の出血もありえます。
腰動脈のバックフローやその他の出血で、その出血量が多いと出血性ショックに陥る危険があり、特に自己血回収装置のほうへ1500ml以上回収される場合は血行動態が不安定になりやすく、早期に輸血、回収血の返血などで循環血液量を維持する必要があり、これが間に合わないとショックから心停止に至る危険もあるため、この腰動脈の止血は迅速に行う必要があります。
石灰化が著しくて縫合糸の針が通らない場合は、石灰化病変をペアン鉗子などで破砕して除去し、針が貫通しやすくしてから糸かけをすることが必要です。この際に大動脈瘤壁の外膜を損傷して、下大静脈や腸骨静脈から出血させるとさらにリスクが上がります。大静脈の損傷による出血の場合は、直接縫合糸をかけると静脈壁が裂けてしまうリスクがあるため極力周囲組織と一緒に縫合閉鎖して止血することがコツです。