急性大動脈解離の手術で循環停止するまで冷却するのに時間がかかる場合。待つのが苦手な外科医は上行大動脈を遮断して、中枢側を遮断して近位側を切開してあとに繋がる手技をして手術時間の短縮を図ることも可能ですが、一般には上行大動脈を遮断してはいけないことになっています。
ヨーロッパのガイドラインでも、遮断は禁忌のようです。
当グループでも5年ほど前から全症例で遮断しない方針に変えて教育してます。しかしながら、手術成績や合併症は変わらない印象ではあります。
急性大動脈解離で上行大動脈を遮断すると、偽腔にある血栓がIntimal Tear(内膜の断裂部位)から真腔に押し出されて脳梗塞などの塞栓症を起こす恐れがある、また、Entryが遮断部位付近にある場合は、遮断した瞬間に送血のパターンが変わって分枝の閉塞による臓器血流障害(Malperfusion)を起こす危険がある、というものです。実際に今までの歴史の中で上行大動脈を遮断しても殆どトラブルを経験したことはありませんが、学会や研究会などでかなり強く指摘されたことがあり、それ以来、解離の上行大動脈遮断はしないようにしており、医局としてそのような方針に変更しています。大動脈外科に精通している施設では、常識になっているようにも思います。
また、これに関連して冷却して、上行大動脈の偽腔を切開した時に、偽腔の血栓を出来るだけ除去してから真腔を開けるようにしています。そうしないと、偽腔の血栓が真腔内に落下して同様の塞栓症を起こすリスクがあるからです。
しかしながら、ローカルな研究会などでざっくばらんな話を他施設のドクターとしてみると、まだまだ解離の症例に上行大動脈遮断をしている施設が多い印象があります。また、偽腔にまだ血栓がたくさんあるのに真腔をあけて落下しないかハラハラさせられる動画を研究会で見たこともあります。
急性大動脈解離に関しては10年近く前に手術方法・手技についてシンポジウムで発表した際に議論したこともありますが、手技の施設間のばらつきが大きく、なかなか標準化されていない現状があります。そうした中でも、手術成績が年々改善し、死亡率を10%切るような全国平均となっていることは、各施設のレベルが上がっていることを実感していいのだと思います。
ヨーロッパのガイドラインでも、遮断は禁忌のようです。
当グループでも5年ほど前から全症例で遮断しない方針に変えて教育してます。しかしながら、手術成績や合併症は変わらない印象ではあります。
急性大動脈解離で上行大動脈を遮断すると、偽腔にある血栓がIntimal Tear(内膜の断裂部位)から真腔に押し出されて脳梗塞などの塞栓症を起こす恐れがある、また、Entryが遮断部位付近にある場合は、遮断した瞬間に送血のパターンが変わって分枝の閉塞による臓器血流障害(Malperfusion)を起こす危険がある、というものです。実際に今までの歴史の中で上行大動脈を遮断しても殆どトラブルを経験したことはありませんが、学会や研究会などでかなり強く指摘されたことがあり、それ以来、解離の上行大動脈遮断はしないようにしており、医局としてそのような方針に変更しています。大動脈外科に精通している施設では、常識になっているようにも思います。
また、これに関連して冷却して、上行大動脈の偽腔を切開した時に、偽腔の血栓を出来るだけ除去してから真腔を開けるようにしています。そうしないと、偽腔の血栓が真腔内に落下して同様の塞栓症を起こすリスクがあるからです。
しかしながら、ローカルな研究会などでざっくばらんな話を他施設のドクターとしてみると、まだまだ解離の症例に上行大動脈遮断をしている施設が多い印象があります。また、偽腔にまだ血栓がたくさんあるのに真腔をあけて落下しないかハラハラさせられる動画を研究会で見たこともあります。
急性大動脈解離に関しては10年近く前に手術方法・手技についてシンポジウムで発表した際に議論したこともありますが、手技の施設間のばらつきが大きく、なかなか標準化されていない現状があります。そうした中でも、手術成績が年々改善し、死亡率を10%切るような全国平均となっていることは、各施設のレベルが上がっていることを実感していいのだと思います。