横須賀総合医療センター心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

新型コロナウイルス感染症ワクチン予防接種開始へ

2021-05-10 15:37:22 | 心臓病の治療
 いよいよ高齢者から新型コロナウイルス感染症ワクチン予防接種開始されます。電話もしくはオンラインでの予約に混乱が生じることが予想されますが、この予防接種が全国民に行き渡らないと今の混沌、国の破滅を防ぐことは出来ません。一日も早く感染拡大の原因となっている若い人たちへの接種が終わることを期待しています。
 ワクチンは怖いから打ちたくない、打たない方がいいというテレビで一般の人が答えているインタビューやそうしたネガティブな意見や報道が一時多く見られましたが、現在はそうしたネガティブな報道は見られなくなっています。そうしたマスコミの影響で打ちたくないと思う人が大量に産み出されましたが、それ、政府の陰謀です。ワクチンが来ない批判を避けるために打ちたくなくなるような報道をテレビ局にさせてたせいです。その証拠にニュースの時間帯がどのテレビ局も内容が一緒で、報道する順番まで一緒になっています。
 ワクチンが始まってからそうした報道がなくなって、今度は早くワクチンを打ちたいと思わせるような内容の報道に切り替わってきています。最近はワクチンを打たない方が良いと思う人はほぼいなくなっているように思います。今までそうした報道に影響された患者さん達がワクチンを打っていいのか、打った方がいいのかと口をそろえて聞いてきますが、ただの確認であって打ちたくないと思っている人はいないようです。
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【「医師から看護師へのタスクシェア」~特定看護師を使い倒せ!~】・・・?

2021-05-10 14:44:52 | その他
これ、メールで案内が来たウェブ講演会の案内の表題です。

「医師の働き方改革」が叫ばれる中、医師から看護師へのタスクシェアが大きなテーマになっています。そんな今、注目されているのが「特定看護師」です。
2015年10月から始まった「特定行為研修」を修了した看護師(特定看護師)は、医師の手順書の範囲内で医師の業務の一部を補佐することができます。特定看護師をうまく使いこなすことが、多忙な医師の業務軽減、病院経営の改善に寄与すると期待されています。

初期研修医を奴隷のように使い倒すようなドラマが現在報道されていますが、医師を使い倒せない時代だから、特定看護師を使い倒すのでしょうか?
たしかにインパクトのある表題ですが、この表現どうかと思います。

特定看護師は他の看護師よりも明らかにモチベーション高く、仕事にも意欲的で、横須賀市立うわまち病院心臓血管外科でも大変お世話になっています。使い倒すほどの仕事量を与えていないからかもしれませんが、非常に熱心に診療に参加してくれる心強いパートナーです。こうしたスタッフと一緒により質が高く手厚い医療ができることを目指しているさなかに「使い倒せ」という言葉は決して用いるべきではありません。医師のみに向けた講演かもしれませんが、ナースの耳に入ってしまったら気まずい内容は口に出さないことが大人の対応です。講演内容の意義は理解出来ますが、まるで政治家の失言のような表題に閉口してしましました。

⇒ 本日5月12日に再度講演の案内が来たときには表題が「・・・特定看護師を使いこなそう」という柔らかい表現にかわっていました。
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高級食パン

2021-05-10 06:32:14 | 心臓病の治療


最近、生食パンという言葉があるそうで、トースターで焼かずにそのまま食べた方が美味しい高級食パンをそういうようです。横須賀にもそうした高級食パンやさんが出店し、しばらくの間は予約しないと買うことが出来ないお店でした。半年以上たってそのブームも落ち着いてきたのか、ようやく予約なしで在庫わずかですが、プレーンの食パンを買うことが出来ました。それでも他のレーズン入りなどは既に売り切れていました。

作った翌日までは生で食べるように推奨されていて、もっちり濃厚で砂糖がはいっているのか甘い味がします。一枚でおなかいっぱいになりそうな濃厚さです。

心臓血管外科の立場からすると、パンは毒です。パン食は脂肪分が多く太る、塩分も多い、と循環器疾患に対する大敵です。でもどうせ食べるなら少量で美味しい高級食パンを食べるのが良いのかも知れません。
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左小開胸アプローチからの直視下左内胸動脈採取

2021-05-07 07:32:21 | 心臓病の治療
【背景】左小開胸アプローチでのCABG(MICS-CABG)は胸骨骨髄炎が発生しない、早期の退院、社会復帰が可能という点で従来の正中アプローチに比較して優れており、カテーテル治療が進化して適応拡大していく中でCABGがその存在意義を高めるためには普及させていく必要のある術式である。この術式において、左内胸動脈(LITA)の採取が確実にできるかどうかが、適応選択における重要な一因子であり、まずは慣れた正中アプローチに近い視野、操作性からLITA採取が可能な直視下が基本である。
【目的】左小開胸アプローチからの直視下でのLITA採取について、正中切開からの採取と比較しそのラーニングカーブについても検討する。
【方法】当院で左小開胸アプローチからの冠動脈バイパス術を導入した2017年10月から2021年2月までの間に実施した冠動脈バイパス術80例のうち、MICS-CABGは30例(38%)であった。左小開胸アプローチ症例は1枝バイパスが18例(60%)を占め、2枝以上の多枝バイパスが12例(40%)で、全症例で左内胸動脈を使用。同一術者におけるLITA採取時間、LITA―LAD流量およびPI値を正中アプローチと左開胸アプローチで比較した。
【結果】平均バイパス枝数は左開胸1.7枝、正中3.2枝で有意に左開胸で少なかった。LITA―LADの術後造影ではすべて開存が確認されたが、うち左開胸導入早期の1例で止血クリップを起点とした屈曲・狭窄症例を認めた。皮膚切開からTarget血管の確認を経てLITAを剥離し終わるまでの時間は正中アプローチ平均62.3(中央値60)分に対して、左開胸89.0(中央値80分)と有意(P=0.006)に左開胸で長く、ラーニングカーブによる時間短縮傾向はみられなかった。また流量は正中49ml/分、左開胸31ml/分と有意(P=0.0005)に少なかったがPI値に有意差はなかった(2.2vs3.1)。術後の疼痛に関しては、肋間神経ブロックを併用することで、鎮痛薬内服のみの症例に比較して少ない傾向にあったが正中アプローチに比較して強い傾向にあった。
【考察】正中と比較してLITA採取時間は20分以上長く、流量も少なかったが、PI値に有意差がなく、これは左開胸症例が左前下行枝閉塞の1枝病変が多く、側副血行の発達や陳旧性梗塞に伴う前下行枝の内腔狭小化などの変化を来たしている症例が多いことが関連していると考えられた。MICS-CABG導入・普及が優先される現段階においては、慣れた正中アプローチ近い視野、操作性での直視下LITA採取が基本である。末梢吻合において必要な皮膚切開が変わらないのであれば、保険手技量の加算が認められない現時点では直視下LITA採取が基本である。末梢吻合も完全鏡視下での実施が可能となれば、次のエキスパート段階である完全鏡視下手術が目標となる。
【結語】MICS-CABGにおけるLITA採取に関しては直視下採取によってまずは普及を促進する段階である。

One of the limitation for the indication of CABG through left mini-thoracotomy, MICS-CABG, is the difficulty of harvesting the left internal mammary artery, ‘LITA’. To propagate MICS-CABG which attract cardiologists who are making progress in endovascular coronary intervention, the harvesting LITA through the direct vision is the first step. Our facility conceive the lateral thoracotomy is a standard approach and more than 30% (30/80) of the CABG cases were operated with this approach, which contains the direct vision – LITA harvesting in these three years. 60%(18/30) were single revasculization with left internal mammary artery to left anterior descending artery, and the other 40%(12/30) were multiple, which were all patent in postoperative study. The mean harvesting time of LITA was about 20 minutes longer, the flow volume of LITA anastomosis was smaller and wound pain was stronger in MICS series compared with conventional median approach group, but staying time in hospital was shorter with less postoperative complication. Because it is crucial to expand the indication for less invasive coronary surgery, the direct vision harvesting of LITA is preferable to establish MICS-CABG in each facilities.
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胸部外科学会でのDebate→一部中止?

2021-05-07 07:30:01 | 心臓病の治療
Debateセッション (冠動脈)MIDCAB LITA採取:直視下 vs 鏡視下(ロボット)

企画概要
MIDCABが行われてから久しいが、PCIの普及によりLITA-LADの1枝病変がCABGに紹介されることが激減した。しかしここ数年でMICSの気運が再び広がり、CABGにおいてもLITA-LAD1枝バイパスのみならず、多枝バイパスもMICSの適応とする施設も増えつつある。その中であってもLITA-LADはkey bypassであり、ITAの採取には依然丁寧が操作が求められる。開胸レトラクター使用による直視下、完全胸視下採取そしてrobot使用の方法があるが、採取時間、疼痛、クオリティーなど議論の余地があり、debateしていただく。

という演題応募に登録しようとしてアップロードしようと思ったら、Debateの選択の中でこのセッションが選択できなくなっていました。おそらく応募数が少なくてセッションができなくなってしまったのでしょう。仕方ないので一般演題に応募しました。
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外科学会総会:Total arterial MICS-CABG

2021-05-06 12:28:29 | 心臓病の治療
 今回の外科学会総会では、MICSの最前線というワークショップで横須賀市立うわまち病院心臓血管外科からはMICS-CABGの臨床経験について発表しましたが、同じセッションで函館五稜郭病院からTotal Arterial MICS-CABGについて、同時に3DCTシミュレーションによる両側内胸動脈、右胃大網動脈採取、Aorta-Non touchによるOPCABの発表がありました。とても先進的で非常に感銘を受けました。横須賀市立うわまち病院心臓血管外科の目指すべき姿ともいえる内容を実際に函館で実践している報告を聞き、たいへん勉強になりました。今月中はアーカイブ配信で視聴出来るので何度でもみて勉強していきたいと思います。

 コストに関してはまだ改善の余地はあると思いますが、両側内胸動脈、右胃大網動脈を積極的に採用し、正中切開と同じクオリティーで行っているのは相当な力量の外科医でないとなかなか出来ないのではないでしょうか。次の冠動脈外科学会や胸部外科学会でも同様のセッションに演題応募しているので、学会でもこれからも勉強してより質の高い手術を目指していきたいとおもいます。

 横須賀市立うわまち病院心臓血管外科からの発表をみると、新幹線車内からの雑音がけっこうはいっていて、発表の終わり際に山形駅到着のアナウンスもしっかり聞こえていました!
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腸骨動脈瘤の手術適応のサイズは

2021-05-06 11:49:00 | 大動脈疾患
 毎週木曜日に行っている心臓血管外科のズームカンファレンスで受けた質問で、腸骨動脈瘤の手術適応のサイズと何歳まで手術可能か、というのがありました。
 腸骨動脈瘤の一般的な手術適応のサイズは3cmです。だいたいご高齢の患者さんが多いので、定期的にフォローアップしてこれ以上年を重ねる前に手術した方が望ましいというタイミング、拡大の速度、患者さんのADL、治療意欲などをみながら総合的に判断するとともに、患者さんおよびご家族の希望も聞いて手術適応とするのかどうかを最終的に決定しています。
 腸骨動脈瘤のみの場合は開腹せず後腹膜アプローチからの人工血管置換でより低侵襲に治療可能ですし、最近はステントグラフトでうまくいく症例もありますので、術式に関しても患者さんのADLなどを見て相談しています。

 基本的に寝たきりの患者さん、ADLが自立していない患者さんについては手術はお勧めしていませんが、社会的な事情やご家族の強いご希望があれば相談には応じています。
 腸骨動脈瘤に限らず他の心臓血管外科手術症例についても個別の適応については相談しています。
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