昨日の日曜日、桃ノ木川での鳥見散歩の後は、ぐんま昆虫の森で開催された講演会を聴きに行ってきました。
講師は神奈川大学理学部生物科学科教授の浜口哲一氏。
前平塚市博物館長の浜口先生は1976年の開館当時から、動植物の調査や自然観察会の指導に携わってきた実践的自然解説指導の第一人者です
【浜口哲一氏のプロフィール】
・1947年 山梨県生まれ。少年時代に、昆虫少年として三浦半島の大自然に親しむ。
大学時代には、国立科学博物館でのアルバイトや、ボランティアでの自然観察会等を体験し、博物館学芸員を目指す。
・1973年 東京大学農学系大学院林学専攻修士課程修了。
同年、平塚市教育委員会博物館建設準備室に入る。
・1976年 平塚市博物館開館より、生物担当学芸員として動植物の調査や自然観察会の指導で活躍。
・2005年 同館館長に就任。博物館HPで「きみも自然探偵」を連載。
・2008年 退館後、神奈川大学理学部生物科学科教授に就任。
学芸員を目指す学生に博物館学を教え、後進の育成に活躍中。
・主な著書「放課後博物館にようこそ」、「生きもの地図が語る街の自然」、「生きもの地図を作ろう」など
講演の題名は
「開こう楽しい観察会 ~人生の楽しみとしての自然観察~」
さすがは長年にわたり、自然観察の指導をされている先生です。人を育てる自然の大切さがよく分かるお話でした。
また、自然観察会のポイントなどは、観察会のリーダーとしてだけでなく子供と散歩をしながら身近な自然を観察するときにも、参考になる内容でした。
(講演内容についてはこの記事の最後にメモをつけておきました。)
講演会の後は、フィールドを散策
ウメに木の枝に付いていた泥の塊ようなもの・・・
ドロバチの仲間の巣でしょうか?
ジャコウアゲハのさなぎ
さなぎの実物は初めて見ました。派手なさなぎですね。
ジャコウアゲハは南方系のチョウ。食草由来の毒を体内に蓄積することで身を守っています。
ぐんま昆虫の森
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
ぐんま昆虫の森から帰る途中、大室公園に寄り道。
ミコアイサはこの日も五料沼にいましたが、ちと遠すぎでした・・・
でも、なんとかパンダのような顔が分かるでしょうか?
ツグミ
メジロ
墳丘の雑木林で樹液を吸っていました。
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講演会メモ
演題『開こう楽しい観察会 ~人生の楽しみとしての自然観察~ 』
講演者 浜口哲一 (神奈川大学理学部生物科学科教授、前・平塚市博物館長)
場所 ぐんま昆虫の森
日時 2009年2月22日 10:30~12:00
プロローグ
・子供の頃から現在までの動植物との関わり合い
・楽しい思い出 こわい思い出・・・・
・千葉 新浜の干潟保護運動
・社会的運動だけでなく、裾野を広げることも大事・・・自然観察会
なぜ自然観察会なのか?
・自然保護の仲間作り 自然を守ろうという価値観の共有
・自然の仕組みの理解 科学的な自然の扱い方・接し方・・・実地に理解することが大切
・人を育てる自然
人を育てる自然
・体を鍛える・・・持久力や筋力をつけると言うことではなく、体全体を調和して動かすことのできる“しなやかな体”を作るということ。体使い。 ex:ノコギリ、草むしり、木登り。
・可愛いばかりが「自然」ではない コワイもの、不気味なもの・・・感性の幅を広げる
ところで、最近の子供の五感に色々な問題が起きている
・外界の変化に反応しない体 汗が出ないとか・・・
・自分の体が制御できない 平衡感覚欠如・・・
・触られるのが嫌い コミュニケーション不足
・自分の匂いが嫌い
・味覚の破壊
その原因は?・・・・都市的な生活環境・ライフスタイル
・恒温恒湿な生活環境
・バーチャルな経験の氾濫
・触覚を働かせる機会の減少
・強すぎる刺激 (激辛・大音響・・・)
五感を育てる自然観察
・触覚 水・泥。手の平温度計、手探りゲーム。
・臭覚 ハーブ色々、ゲッケイジュ・サンショ。松ヤニの匂い、アゲハチョウの触角匂い。
・味覚 渋柿、「渋い」という言葉のニュアンスが忘れ去られてしまうのでは・・・。 桑の実、花の蜜。
・視覚 花、実。虫のかくれんぼ。見つけ出す目を養う。
・聴覚 カエル、セミの鳴き声。ツルマメの弾けるかすかな音・・・
自然の中で触って初めて実感できる
【重要】多様な自然の事物に触れることで、繊細で鋭敏な五感が養われる
人を育てる自然の力
・体を鍛える
・五感を研ぎ澄ます
・感性を豊かにする
・好奇心を刺激する
→これらを同時に育ててくれる自然の持つ総合的な教育力!
(海で泳ぐこととプールで泳ぐことの違い・・・)
自然観察の道はどこに通じているのか?
・自然科学的研究の入り口だけではない
→理科→自然科学的研究、環境問題・自然保護
→社会→環境問題・自然保護
→音楽・美術→アート
→国語→アート
・多様なものの見方・発想
・『地域への愛着』 そこの場所が好きになる
観察会で扱いたいテーマ
・目立つもの 色々な角度から
・普通の種類 どこにでもありふれたものについてのしっかりとした知識。それを観察会で憶えれば、自分でも観察できるようになる。
・五感で楽しむ
・生活を示すシーン 羽化、産卵・保護
・つながりを示すシーン 食う食われる
・事件を探す 自然観察鑑識課
・ものさしになるもの 指標生物
・視点を変える 見る方向、マクロ・ミクロ
・嫌われ者にも注目
・危険を知る 毒草、スズメバチ、ヨコヅナサシガメ
・暮らしとのつながり 古い文化、渡来時期と理由、地方名・別名
おまけ
自然観察会のリーダーとして
観察指導の基本の基本
・正確な情報
・分かりやすさ 面白い話術よりも分かりやすい話し方
・対話型の解説
・過不足なく 話しすぎず、話さなさすぎず・・・
・ちょっと手を動かす工夫
・自然解説メモを作り、仲間と共有・・・解説のレベルアップ
(自然解説メモのフォーマット例 配付資料)
講師は神奈川大学理学部生物科学科教授の浜口哲一氏。
前平塚市博物館長の浜口先生は1976年の開館当時から、動植物の調査や自然観察会の指導に携わってきた実践的自然解説指導の第一人者です
【浜口哲一氏のプロフィール】
・1947年 山梨県生まれ。少年時代に、昆虫少年として三浦半島の大自然に親しむ。
大学時代には、国立科学博物館でのアルバイトや、ボランティアでの自然観察会等を体験し、博物館学芸員を目指す。
・1973年 東京大学農学系大学院林学専攻修士課程修了。
同年、平塚市教育委員会博物館建設準備室に入る。
・1976年 平塚市博物館開館より、生物担当学芸員として動植物の調査や自然観察会の指導で活躍。
・2005年 同館館長に就任。博物館HPで「きみも自然探偵」を連載。
・2008年 退館後、神奈川大学理学部生物科学科教授に就任。
学芸員を目指す学生に博物館学を教え、後進の育成に活躍中。
・主な著書「放課後博物館にようこそ」、「生きもの地図が語る街の自然」、「生きもの地図を作ろう」など
講演の題名は
「開こう楽しい観察会 ~人生の楽しみとしての自然観察~」
さすがは長年にわたり、自然観察の指導をされている先生です。人を育てる自然の大切さがよく分かるお話でした。
また、自然観察会のポイントなどは、観察会のリーダーとしてだけでなく子供と散歩をしながら身近な自然を観察するときにも、参考になる内容でした。
(講演内容についてはこの記事の最後にメモをつけておきました。)
講演会の後は、フィールドを散策
ウメに木の枝に付いていた泥の塊ようなもの・・・
ドロバチの仲間の巣でしょうか?
ジャコウアゲハのさなぎ
さなぎの実物は初めて見ました。派手なさなぎですね。
ジャコウアゲハは南方系のチョウ。食草由来の毒を体内に蓄積することで身を守っています。
ぐんま昆虫の森
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ぐんま昆虫の森から帰る途中、大室公園に寄り道。
ミコアイサはこの日も五料沼にいましたが、ちと遠すぎでした・・・
でも、なんとかパンダのような顔が分かるでしょうか?
ツグミ
メジロ
墳丘の雑木林で樹液を吸っていました。
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講演会メモ
演題『開こう楽しい観察会 ~人生の楽しみとしての自然観察~ 』
講演者 浜口哲一 (神奈川大学理学部生物科学科教授、前・平塚市博物館長)
場所 ぐんま昆虫の森
日時 2009年2月22日 10:30~12:00
プロローグ
・子供の頃から現在までの動植物との関わり合い
・楽しい思い出 こわい思い出・・・・
・千葉 新浜の干潟保護運動
・社会的運動だけでなく、裾野を広げることも大事・・・自然観察会
なぜ自然観察会なのか?
・自然保護の仲間作り 自然を守ろうという価値観の共有
・自然の仕組みの理解 科学的な自然の扱い方・接し方・・・実地に理解することが大切
・人を育てる自然
人を育てる自然
・体を鍛える・・・持久力や筋力をつけると言うことではなく、体全体を調和して動かすことのできる“しなやかな体”を作るということ。体使い。 ex:ノコギリ、草むしり、木登り。
・可愛いばかりが「自然」ではない コワイもの、不気味なもの・・・感性の幅を広げる
ところで、最近の子供の五感に色々な問題が起きている
・外界の変化に反応しない体 汗が出ないとか・・・
・自分の体が制御できない 平衡感覚欠如・・・
・触られるのが嫌い コミュニケーション不足
・自分の匂いが嫌い
・味覚の破壊
その原因は?・・・・都市的な生活環境・ライフスタイル
・恒温恒湿な生活環境
・バーチャルな経験の氾濫
・触覚を働かせる機会の減少
・強すぎる刺激 (激辛・大音響・・・)
五感を育てる自然観察
・触覚 水・泥。手の平温度計、手探りゲーム。
・臭覚 ハーブ色々、ゲッケイジュ・サンショ。松ヤニの匂い、アゲハチョウの触角匂い。
・味覚 渋柿、「渋い」という言葉のニュアンスが忘れ去られてしまうのでは・・・。 桑の実、花の蜜。
・視覚 花、実。虫のかくれんぼ。見つけ出す目を養う。
・聴覚 カエル、セミの鳴き声。ツルマメの弾けるかすかな音・・・
自然の中で触って初めて実感できる
【重要】多様な自然の事物に触れることで、繊細で鋭敏な五感が養われる
人を育てる自然の力
・体を鍛える
・五感を研ぎ澄ます
・感性を豊かにする
・好奇心を刺激する
→これらを同時に育ててくれる自然の持つ総合的な教育力!
(海で泳ぐこととプールで泳ぐことの違い・・・)
自然観察の道はどこに通じているのか?
・自然科学的研究の入り口だけではない
→理科→自然科学的研究、環境問題・自然保護
→社会→環境問題・自然保護
→音楽・美術→アート
→国語→アート
・多様なものの見方・発想
・『地域への愛着』 そこの場所が好きになる
観察会で扱いたいテーマ
・目立つもの 色々な角度から
・普通の種類 どこにでもありふれたものについてのしっかりとした知識。それを観察会で憶えれば、自分でも観察できるようになる。
・五感で楽しむ
・生活を示すシーン 羽化、産卵・保護
・つながりを示すシーン 食う食われる
・事件を探す 自然観察鑑識課
・ものさしになるもの 指標生物
・視点を変える 見る方向、マクロ・ミクロ
・嫌われ者にも注目
・危険を知る 毒草、スズメバチ、ヨコヅナサシガメ
・暮らしとのつながり 古い文化、渡来時期と理由、地方名・別名
おまけ
自然観察会のリーダーとして
観察指導の基本の基本
・正確な情報
・分かりやすさ 面白い話術よりも分かりやすい話し方
・対話型の解説
・過不足なく 話しすぎず、話さなさすぎず・・・
・ちょっと手を動かす工夫
・自然解説メモを作り、仲間と共有・・・解説のレベルアップ
(自然解説メモのフォーマット例 配付資料)