Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

納まるべきところ

2012-11-06 | 医療・病気・いのち
食道はのどの奥で始まり
胸の奥(縦隔)を通って
おなかの中に到達後
胃へとつながっていきます

胸からお腹への境界には横隔膜があります

横隔膜に食道裂孔という隙間があって
そこを食道が通るのです

ところがその辺りの支えが弱ったりして
食道や胃がずるずると胸の方へ上がりやすくなることがあります
食道裂孔ヘルニアと呼ばれる状態です

さらにこれがひどくなると
胃全体が胸の方へ上がったり
大腸や小腸まで引き連れていったりすることがあります

こうなると
食べられなくなったり
腸閉塞になったり
四六時中胃液が口に上がってきたり
という症状が出る場合があり
そうなると手術が必要です

最近ではかなりひどい状態でも
腹腔鏡を利用して手術ができるので
小さな傷で施行可能です
そして納まるべきところに
胃や腸に納まってもらうわけです

食道裂孔ヘルニアがあっても症状が軽ければ
お薬による治療でも大丈夫です
ただ症状が強くなってくるようでしたら
消化器外科の専門医に一度相談したほうが良いと思います

ぎりぎり

2012-11-06 | 想い・雑感
画像検査では癌の再発が捉えられないが
急に症状が増悪してくることがある
とくに腹膜播種で腸閉塞が出現してくるときなどがそうだ

腹痛が出現し緊急入院となったTさん
腹水が出現すると共に
直腸狭窄による腸閉塞が起こりつつあると判断した

ただし直腸が完全に閉塞しているわけではないので
TS1というのみ薬を直ちに開始し
その1週間後にシスプラチンの点滴をした

そのご徐々に腹痛や腹部膨満が軽減し
退院までこぎつけた

2週間ぶりに外来でお会いすると
顔色もよく
いつもの元気なTさん

抗がん剤がぎりぎりセーフで間に合いました
といっても直るわけではないのがつらいところです
でも一日でも元気に過ごせるように
抗癌剤治療は継続です