~ 恩師の「心行の解説」下巻より ~
講演 十八
先の続き・・・
こんなことも経験してきましたが、刺青というのは、
親から頂いた満足な肉体をわざわざ針で傷をつけ、
この世的な凡夫の自己顕示欲を示そうとする一つの
現れだと思います。
人にたいし対していい格好をしたいという心の働きによって、
いろいろな人生を送っていかれますが、ほんとうの神を知らず、
道を知らないから、そのようになっていくのですね。
お釈迦様が説かれた幸せへの道、「八正道」を行じることが、
人間として最も魂が完成される道筋です。
自分を大事にして、自分の心を苦しめないようにしてください。
大変なお人好しのおじいちゃんがいて、
この人は他人のために一生懸命尽くし、
「ちょっとお金を貸してほしい」と言われたら、
自分に持ち合わせがない時は人から借りてでも貸すのです。
人が好いから請求することを知らず、貸しっ放しにしています。
ところが、返してくれないとおばあちゃんが集金に行くのです。
「借りる時の恵比須顔、返す時の閻魔顔」とは凡夫誰しも同じことで、
借りる時はニコニコ顔で頼みにきますが、
お金を返す時は閻魔様のように恐ろしい顔です。
ましてや返してくれない時はもっと恐ろしい顔ですから、
おばあちゃんは腹を立てます。
おじいちゃんはいつもご機嫌ですが、
おばあちゃんは内職をして借りたお金を返さなくてはいけません。
この世的に見ると、おじいちゃんは罪が深く、
おばあちゃんは一生懸命苦労を重ねて可哀相です。
人の好いおじいちゃんと、
借金を返しため苦労して腹を立てているおばあちゃんとは
それぞれ死後どんな所へ行ったかといいますと、
おじいちゃんのほうは、綺麗な方が紫の雲の上に乗って
お迎えにきてくれて、「有難いなあ、結構だなあ」
と言って死んでいかれたのですが、おばあちゃんは
「わあ、恐ろしい奴がいっぱい来る」と言って
虚空をかきむしって死んだのです。