
ご近所にカルミアの木が植えられました。金平糖みたいな可愛らしい蕾をつけるカルミア。ツツジやシャクナゲの仲間で、お椀型をした花の姿から「花笠シャクナゲ」とも呼ばれています。可愛らしい名前(*^_^*)
カルミアって響きもお菓子みたいでかわいいなって思っていたのですが、こちらは植物学者カルムさんの名前にちなんでつけられたようです。
さて、以前にも紹介したのですが、このカルミアの受粉システムが巧妙なのです。

カルミアの花をよく見ると、雌しべは普通についているのですが、雄しべは先端の葯の部分を花弁のくぼみに埋めています。
横から見るとこんな感じ↓

蕾の時に金平糖のように見えるゴツゴツは、実は雄しべの葯を格納するためのスペースだったのです。
しかしながら、このままでは受粉できません。ここがカルミアのすごいところなのです。
子孫を残すためにいちばん手軽なのは自家受粉です。しかしながら、多くの植物はそれをしません。代わりに風に花粉を飛ばしてもらったり、虫に運んでもらったりします。
自家受粉では、遺伝子が混じり合わないため、同じ形質の子孫しか残せないからです。そのため、カルミアは同じ花の中で雌しべと雄しべが距離を保てるよようにできています。
そして、花粉の媒介者である虫が花に着地したとき、葯は格納庫を離れ、虫の体をめがけて勢い良く投げ出されます。それは投石機を思い起こさせる動きです。

矢印の部分の葯が飛び出しているのがわかるでしょうか?このとき、雌しべは高い位置に伸びているため、両者がぶつかり合わないようになっているようです。しかも雄性先熟との記述を見かけましたので、雌しべはまだ受粉できる状態でないものと考えられます。
やがて時間が経つと、葯は再び格納庫へと戻って行きます(これは自分では観察していません)。
徹底した分別と、何度も受粉の機会を伺うこのシステム。可愛らしい花の形はカルミアという種の存続にかける執念(知恵?)が形になったものだったんです!!
このことは、見た目から勝手に可愛らしい想像を巡らせていたわたしにとって、衝撃的な事実でありました。

さて、この記事を書くに当たりカルミアについて改めて調べたところ、この受粉システムはあまり知られていないようで、以前に自分が書いた記事が、幾つかのブログで引用されたり、「参考文献」になったりしていました。改めて、ネットで情報を発信することの責任を感じ、朝から衝撃を受けてしまいました。
(ちなみに、わたし自身は県内で行われた観察会で、この受粉システムを観察させていただきました。)
かなりいい加減なことも多い当ブログですが、正確な情報を発信しなければと身が引き締まる思いです。
そんなわけで早朝から、いそいそとご近所の植木を観察にでかけるという、それはそれで不審な動きをしてしまいました(^^;;
その結果、葯が花弁を飛び出すことは再度確認できましたが、20分の観察時間では葯が花弁に戻る姿は観察できなかったことを追記しておきます。
カルミアは庭木や公園木として普及しています。観察できそうな花を見つけたら、中心をちょこんとしてみてください(*^_^*)
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