やっぱりなんといっても樹木希林さんの存在感ですよね。
和装の着こなしに立ち振る舞いの美しさ、物腰の柔らかさ。
多くは語らずとも本質が伝わる説得力と包み込まれるような暖かさ。
あんな先生がそばにいる人生は豊かですよね。
ほとんどの場面が茶道の稽古なんですよね、稽古を通して主人公がいろんなことを学んでいく。
茶道は二十四節気の季節のうつろいの美しさを感じ、感性を研ぎ澄ましてその瞬間を作法とともにお茶を楽しむもの。残念なことに茶道に縁なく生きてきたけど興味深いです。
「お茶はまず形から入るのよ。形を作ってから中身を入れていくの」
一朝一夕にはできないですよね。
世の中には、「すぐわかるもの」と、「すぐわからないもの」の二種類がある
すぐわからないものは、長い時間をかけて、少しずつ気づいて、わかってくる
「お茶が教えてくれた15のしあわせ」森下典子さんの実体験が原作となってます。
毎週土曜日にお茶を習う。
なにげない日々の暮らしの幸せ、家族のありがたさ。
私的には典子の母親世代なので、ちょっと不器用な娘を見守る感覚があって、娘を案じるお父さんの存在は胸に来るものがありました。
なんでもそつなくできるわけではない典子と、髪をパーマして派手な印象のお洒落な従妹の美智子(多部ちゃん)の二人の対比が楽しくて、それぞれ着物も初々しく似合ってて、アンバランスなんだけどしっくり来てるところも良かった。
背筋が伸びて、姿勢が良くなった気がする、静かな良い映画でした。ただ脚は痺れるなぁ~。
日日是好日 2018年
監督:大森立嗣
出演:黒木華、樹木希林、多部未華子、鶴見辰吾
大学生の典子(黒木華)は、突然母親から茶道を勧められる。戸惑いながらも従姉・美智子(多部未華子)と共に、タダモノではないとうわさの茶道教室の先生・武田のおばさん(樹木希林)の指導を受けることになる。
マイナスイオンをたっぷり浴びた心地よさ、癒されました。
おばあちゃんの家がジブリに出てきそうな可愛らしさ、撮影は山梨なんですって。
野イチゴを摘んでジャムを作ったり、ハーブティを淹れて、シーツを洗ってラベンダーの上で乾かして、キッシュやビスケットが美味しそうで、日常の小さなことを楽しんでゆっくり暮らすことの幸せを堪能しました。
私の暮らしはマイナスイオンたっぷりな風は吹かないし、素敵なキッチンでもないし、野イチゴも摘めないけど、、買ってきた果物でジャムを作って楽しむことはできるし、狭い~~い庭でもちょっとしたハーブは植えられるし、雨も風も太陽も、自然や暮らしを楽しむことはできるわけで、魔女みたいに暮らしたいな、、なんて単純に思っちゃいましたね。
素敵なおばあちゃんはサチ・パーカーさん、シャーリー・マクレーンの娘さんなんだそうです。
シャーリー・マクレーンといえば、「ココ・シャネル」を観たけど、今作とほぼ同時期の作品でした。サチさんは子供の頃に東京で暮らしていたので日本語が上手なんだそうです。
おばあちゃんは魔女なのよ、なんて子供の頃言われてわくわくしたかったなー。
まいちゃんの言葉や考えを受け止めて肯定してくれるのよね、あれはね、やろうと思ってもできない。私も魔女のように優しく大らかになりたい、って目線はほぼおばあちゃんです(笑)
でも決してメルヘンでもおとぎ話でもないんですよね。
喧嘩した日は凹むし、煙草を吸う場面は印象的だった。
おばあちゃんが人格者だって話ではない。
特別なことなんて起きないの、誰にでもある日常が過ぎていきながら、人生は変化していく。
そういう日々に意味があるんだと気づかされる、とても素敵な話でした。
西の魔女が死んだ 2008年
監督:長崎俊一
出演:サチ・パーカー、高橋真悠、りょう、大森南朋、高橋克実、木村祐一
中学生になったばかりのまい(高橋真悠)は登校拒否になり、大好きなおばあちゃん(サチ・パーカー)の住む田舎で過ごすことになる。日本に長年住むイギリス人のおばあちゃんは、西の魔女と呼ばれていた。まいはおばあちゃんから魔女の手ほどきを受け、何でも自分で決めるということを教わる。
観終わった後の、この爽やかな感じってナニ??? 謎(笑)
だって予告編によると、
好きな女の子の体操着を持って帰って、ブルマのにおいを嗅ぐ、、
それを知った同級生に変態を強要される、、ですよ。
相当にヘビーな内容を覚悟して臨みました、はい。
アニメ原作で、設定は中学2年生だそうですよ。
Sな仲村さんとMな春日くんの話なのか、
優しい心根の春日くんはされるがままに同級生の女の子ふたりにふりまわされてるしね、
性に目覚めた敏感な年頃の子の話なのかなーと思ったり、
山に囲まれた地元の閉塞感に息が詰まりそうでもがいているのか、とか
探り探り観てました、ええ、そんな感じです。
前半はついていくのに必死っていうのが正直でしたね。
そこそこな大人の凝り固まった思考で観てると、だいたいそれを上回る展開が待ってます。
仲村さんは本当に生きていくのが辛かったんだろうね。
そこは具体的にはわからなかったけど、ドロドロにぐちゃぐちゃに辛かったんでしょうね。
春日くんが真っ白な心で共感して、どこまでも一緒についていこうとした、壊れそうな純粋な青春の物語だった。(気がする)
あれ?変態の話はどこにいった?
そんな印象です。
兎にも角にも、玉城ティナの迫力がすごかったし、伊藤健太郎が上手かった。
中途半端な芝居ではちょっと辛くなるんじゃないかと思うくらいすさまじい内容です。
それを最後まで引き付けられたのは、俳優さんたちの力業だなと感じました。
そこはこの作品の見どころでもあります。
実は伊藤健太郎くん目的で観たんですけど、彼はバラエティに富んだ作品選びをしますね。面白かったです。
惡の華 2019年
監督:井口昇
出演:伊藤健太郎、玉城ティナ、秋田汐梨、飯豊まりえ
中学2年生の春日高男(伊藤健太郎)は、周りを山々が囲む町で、息苦しさを感じながら過ごしていた。ある日の放課後、彼は教室でクラスのマドンナである佐伯奈々子(秋田汐梨)の体操着を見つけ、とっさに体操着を盗んでしまう。それを目撃した問題児の仲村佐和(玉城ティナ)は、黙っていることを条件に自分に従うよう春日に迫る。
主人公を演じた佳山明(かやまめい)さんは演技未経験ながら、大胆なシーンもあって体当たりな演技で素晴らしかった。
あまりにも自然体なのでドキュメントを見てたかのようで、実際に佳山明さん自身が出生時に37秒息ができなかったために体に障害を負ったことから、このタイトルになったそうです。
「障がい者と性」という告知だったけど実際に観た印象は少し違う。
確かになかなか踏み込めなころを描いている部分はあるけれど、誰にも当てはまる成長のものがたりで、彼女のキャラクタのせいかポジティブで決して暗くて苦しい話ではない。
母親は娘を過保護に守ることで自分を保っているようなところがあったし、
仕事仲間の親友はゴーストライターであるユマの才能で漫画家として成立してた。
見方を変えると、障が者として弱い存在のように思われる彼女は、実は一番自立していたとも言えなくもない。
誰に反対されようとも、やりたいときにチャレンジすればいい。
監督のインタビューの言葉だけれど、主人公のユマ自身であり、演技初体験で主役を演じた佳山明さん自身の姿でもあるのね。
なので、障がいを描いた作品というとらえ方は違うんだと感じた。
前半はユマの冒険のものがたりみたいで、か細い声で優しく話す彼女をハラハラと見守ったけど、半ばからは出てくる人がみんな良い人ばかりで、彼女のチャレンジ精神だとしても、家出した状態でいきなりタイに飛んじゃう行動力にちょっと笑っちゃいました。
あれ、パスポートいつ取ったかな、、なんて無粋なこと考えちゃ駄目よね。
ロードムービーみたくなって世界が広がった。
そう、行きたいと思えば誰だって願いは叶うんです。
「私でよかった。」
障がいなんて関係なく、誰にとってもこの言葉を言えることが最高に力強く、そう言える人生が幸せなんだよなー。
37セカンズ 2019年
監督:HIKARI
出演:佳山明、神野三鈴、大東駿介、渡辺真起子
23歳の貴田ユマ(佳山明)は、生まれたときに37秒間呼吸が止まったため、手足を自由に動かすことができない。親友で漫画家のゴーストライターをしているが、自分の作品を出せないことに複雑な気持ちを抱いていた。ユマは、過保護な母・恭子(神野三鈴)のもとで閉ざされた生活を送っている。
二人の共演が発表された時から楽しみにしてたんだけど、精神的に安定してないと向かいあえなさそうな感じじゃないですか、これ。
というわけで、観るまで若干の時間がかかりまして、やっと鑑賞することができました。
凄かった。重くて、でもどこか軽やかで、ものすごく好きな作品。
この上なくダメダメなヒロイン、だけどしょうがないんだよね、自分で自分を持て余してるんだもん、できないんだもん。日常の買い物だけで疲れ果ててしまう、あぁホント辛いよね。
そんな寧子を趣里が演じる、、
なんかもーこれは奇跡じゃないかと思うくらいのはまり方で、ほんと凄かった!
メンヘラで、病んでて、最悪なんだよ、ほんっと最低なの。
でも分かってあげたい気持ちになる。
人間なんて多かれ少なかれ、みんなどっか変だよ、だから大丈夫って言ってあげたくなる。
そして彼女の微妙な表情の変化が見事で、
絶望している彼女に、うつろ気な姿に、何度も何度も見惚れて感情移入しました。
すべてを捨てて走る彼女の姿が軽やかで美しく、
エンディング曲の「1/5000」との組み合わせが絶妙で、
こんなに重いテーマなのに、観終わった後の解放感と軽やかな気分が不思議でたまりません。
そして津奈木を演じる菅田将暉の押さえた演技が最高でした。
感情がほとんど出ない人なのよね、だから寧子のことをどう思ってるのかも掴めない。
でも最低な彼女を見捨てているわけでもない、わからない。
彼が最後に彼女のどこが好きかって話すんだけど、
それもまたいいんだよな。
今まで見たことないような、経験しようもない、男女の関わりを見た気がして、
表現が難しんだけど、、、心がふわっとした。
ちょっとびっくりするくらいに最高によくできてて、
なんでもっと話題にならなかったかなーって、今思ってる私なのでした(今頃見て)
関根光才監督、長編映画初作品なんだそうです、次回作が楽しみです。
世武裕子「1/5000」 ミュージックビデオ 『生きてるだけで、愛。』エンディング・テーマ
生きてるだけで、愛。 2018年 ☆☆☆☆☆
監督:関根光才
出演:趣里、菅田将暉、田中哲司、西田尚美、仲里依紗、松重豊
過眠症で引きこもり気味の寧子(趣里)は、恋人でゴシップ雑誌の編集部勤務の津奈木(菅田将暉)と一緒に住んでいる。感情のコントロールが苦手な彼女は、そういう自分に本気で向き合おうとしない津奈木に苛立っていた。ある日、津奈木の元恋人の安堂(仲里依紗)が現れ、寧子を追い出すために、勝手にカフェバーのアルバイトを決める。渋々働きだした寧子だが、少しずつ店の人に心を開くようになる。
※関根監督インタビュー|映画『生きてるだけで、愛。』の鮮烈な映像美
自転車好きな夫が観たい、っていうので夫婦そろって鑑賞いたしました。
いや、ほんっと! 面白かった!
ロードレースの激しい攻防や、急斜面の坂道を駆け上がる走行をCGなしでやり切った本気度が熱としてちゃんと伝わってきます。
体力もそうだけど危険も伴うんじゃないですかね、レースのシーンは思わず脚に力入りました。
ストーリー展開はシンプルで分かりやすくて、ちょっとべたなところもあるにはあるけど、外連味のなさがそれを上回って素直に感動につながる。
アニメの実写化って原作に囚われすぎて、妙に詰め込みすぎて初見者には謎だったりして成立しにくい場合もあって、
そもそも映画として完成したからには、原作未読だろうが何だろうが楽しめなくてどうするって思うんだけど、今回の作品は成功例なんじゃないですかね。
主演の永瀬廉くん、国宝級イケメンやキンプリのキラキラを完全に封印して良かったですよ。
アキバに通うアニメオタクだもん間違いなく。
ちょっとおどおどしてて、でもまっすぐ全力で仲間に向かっていく様はまさに坂道くんでした。
そして、ライバルの今泉役の伊藤健太郎君、鍛えられた体つきが完全にロードレーサーで惚れちゃいます。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いのカッコよさで、第二の主人公役として抜群の存在感でした。
先輩たちがどう見ても先生にしか見えない大人っぽさでしたけど、これはアニメあるあるかな?
若いっていいな、、、帰り際に言った夫のひとことは
山道を走ることの過酷さを知ってるから実感なんでしょうね。
青春スポコン映画として秀逸な作品でした。
爽快ですっきりと気持ちよかったです。
弱虫ペダル 2020年 ☆☆☆☆
監督:三木康一郎
出演:永瀬廉、伊藤健太郎、橋本環奈、坂東龍汰、柳俊太郎
アニメが好きで友人のいない高校生の小野田坂道(永瀬廉)は運動が苦手だったが、ひょんなことから自転車競技部に入る。千葉から秋葉原まで行くためにママチャリを使っていた彼は、自転車選手として思わぬ才能を発揮する。良きライバル今泉俊輔(伊藤健太郎)、マネージャーの寒咲幹(橋本環奈)ら初めてできた仲間のため、坂道は自分を鍛え、自転車競技の楽しさを見いだす。
前情報ぜ~~ろ~~て鑑賞しました。
タイトルから推測される部分が大きいので、予想と大きく違うってことはなかったけど面白かった。
映画というより舞台劇に近いと思ったら、第63回全国高等学校演劇大会で最優秀賞に輝いた演劇部による戯曲が原作だそうです。
なるほど、、とてもよくできてると感心します。
主に4人の高校生の会話で成り立つんだけど、
各々が抱える悩みや葛藤がちゃんとストーリ仕立てになっているし、
伏線もあって回収もあって、笑いもあって、ラストを飾る展開もある。
スポットにあたることのなかった彼らの青春に思いを馳せて、自分を省みて、
なんとも言えない懐かしくて甘酸っぱい感じが残る。
そもそも、たいていの人の青春はスポットにあたることなく過ぎていくわけで、
でも、いえいえ、自分の人生のなかでは主人公ですからね、自分がメインキャストなわけで、
彼らの葛藤は当たり前のように自分の心のなかにしみ込んでくる。
ただねぇ、どう見ても地方大会の雰囲気なんですよね、
泊りがけで来てるという会話から、甲子園なのかな?って思ったけど、だとしたらもっとギラギラと、かちわり抱えるくらいに暑くなくちゃね。
設定としてあの学校はある意味地元なんですよ、内容と関わりはないけどびっくりしちゃった。
どちらかというとマイナー作品なのに、地元の映画館で観られるとはね、ありがたいです。
評判が良いのは納得の面白さでした。大きく期待して行くというよりフラットなお気持ちで観に行かれることをおすすめしたいです。
アルプススタンドのはしの方 2020年
監督:城定秀夫
出演:小野莉奈、平井亜門、西本まりん、中村守里
高校野球、夏の甲子園大会。夢破れた演劇部員の安田(小野莉奈)と田宮(西本まりん)、遅れてやってきた元野球部の藤野(平井亜門)、成績優秀な帰宅部女子の宮下(中村守里)が、アルプススタンドの隅で白熱する1回戦を見つめていた。どこかぎくしゃくしている仲の安田と田宮、テストで学年1位の座を吹奏楽部部長・久住(黒木ひかり)に奪われてしまった宮下、野球に未練があるのか不満そうな藤野。試合の行方が二転三転するに従って、彼らが抱えるさまざまな思いも熱を帯びていく。
「君の名は」は観たけれど、
「天気の子」はヒットしてると知りつつ観ようかどうしようか迷いつつ、
そのうち縁があれば~って思っているうちに今に至り、
そしてご縁があったということで、鑑賞いたしました。
面白かったです、集中して観ました。
映像が美しくて圧倒された。
東京の街並みが、現実より現実的に迫ってくる。
西武新宿駅前のマックとか、歌舞伎町のゴジラのいる映画館、池袋のサンシャインに向かう道、等々
馴染の場所も含めて興味深くて、
3人が泊まったラブホテルも池袋なんだって。
雨の描写と日が差してくる様子を俯瞰で観る世界の壮大さ気持ちよさ、
音楽との融合、
そして天気というテーマの秀逸さで、圧倒される映画でした。
いわゆる「セカイ系」と言われる物語。
それは何ぞやと調べてみると、
主人公とそのごく近くの人間だけで世界の行く末が決する物語を指すらしい。
なるほど、、
「サイボーグ009」も「マグマ大使」も世界を救うために戦ったわけで、
自分がそんなヒーローになる妄想って小さい頃したもんなぁ。
例えが古すぎるかしらん、、
そもそも、あってます?(笑)
陽菜は天気を司る巫女で、命と引き換えに東京を襲った未曾有の災害を止めることもできた。
でも帆高は彼女を救うことを選んだ。
結果は賛否あるかもしれないけど、カタルシスはあった。
愛する人を何があっても救いたい気持ちはだれでもそうだもんな。
ただ、おばちゃんの視点かもしれないけど、
守ってくれる大人がいないんだよな、この世界。
ジャンクフードばかり食べてて悲しくなっちゃうよ、もっと美味しいもの食べさせてあげたい。
帆高くんが所持した拳銃はどういう意味なのかなぁ。
殺伐とした世界で闘う手段(お守り)なのかな、やっぱり辛い。
「天気なんて狂ったままでいいんだ!」
でも太陽の少ない街で生きていくのは辛い。
温暖化による気候変動は毎年実感するもんなぁ、、、
天気の子 2019年
監督:新海誠
高校1年生の夏、帆高は離島から逃げ出して東京に行くが、暮らしに困ってうさんくさいオカルト雑誌のライターの仕事を見つける。雨が降り続くある日、帆高は弟と二人で生活している陽菜という不思議な能力を持つ少女と出会う。
み や も と ~~~~!!
いけまつそうすけ~!
観終わった後叫びたくなるよね、凄かった。
溢れだすエネルギーが半端なくてすさまじかった。
なんなの? 世界に向かって身一つで闘いを挑む感じ!
暑い暑い、むさくるしいほど暑い、お隣さんになりたくない、うるさいよ。
いやいやいや、もうちょっと冷静になってみようよ落ち着こうよ、、
理性的な解決方法絶対あるよ、、などなど
正直、そーとー引きながら観てました。
引きまくりで口あんぐりで。
漫画原作らしいので、忠実に踏襲したってことなんですかね、
なにがあってもひかないひるまない、
非常階段の闘いはすさまじくて、
ここまできたら引いてる場合じゃない、肯定するしかないじゃん、、という気分で見守ってました。
いや、ほんと凄かった、、、ひとことで言うと、凄かった、、それしか言ってない(笑)
自分の彼女を傷つけた相手に立ち向かっても、結局は自分を肯定したいだけだと否定されるって凄いよね。言っちゃう彼女も凄い。
それでもなんでもいい、俺は彼女と子供を守るんだと叫び続ける宮本。
ぼこぼこにされて目は腫れて変形して、血まみれで、歯もなくて、指も折られて(ぎゃ~~)
それでも愛する女に泥臭く食らいついていく宮本。
現実はもちろん、映画でも久々こんな人観たことなかった。
「生きてるヤツはみんな強えんだ」 宮本が言うなら説得力あります。
凄かったね(また言ってる) 誰にでもおすすめはできないけど、覚悟がある人にはぜひ☆
追記、、池松くん前歯どうなってんだろ、、
宮本から君へ 2019年 ☆☆☆☆☆
監督:真利子哲也
出演:池松壮亮、蒼井優、井浦新、一ノ瀬ワタル
文具メーカーの営業マン宮本浩(池松壮亮)は、営業スマイル一つできない不器用な人間だが、正義感は人一倍強かった。会社の先輩だった神保(松山ケンイチ)の仕事仲間・中野靖子(蒼井優)と恋に落ちた宮本が彼女の自宅に招かれた日、靖子の元彼・裕二(井浦新)が姿を現す。宮本と寝たと話す靖子に激怒した裕二に、宮本は「この女は俺が守る」と宣言する。
やっと観ましたよ「愛がなんだ」
とても評判が良かった今作、ちょっとだけ想像と違った。
若いお嬢さんのテルコさんがもっと純粋無垢に恋愛に突っ込んでいく物語かなって思ってたけど、
もっとね、広い意味での「愛ってなんだ」って考えた。
テルコは大好きなマモちゃんになりたいんだよ。
そこからくるラストのシーンがね、へーーって思いましたね、
恋愛っていう枠を通り越した、生きていくことにおいて愛するってなんだろ、、、って考える話なんだなーって感じた。
これってね、結構一筋縄ではいかなくて、
人によって感じかたが全然違うかもしれなくて、そこがこの作品の面白さかなって思う。
はるかはるか遠くの若かりし頃の片思いの記憶を思い返してみるに、どうして彼のことが好きだったのかって理由は全然わかんないもんな。
ただただ好きだったし、好きってフィルターで物事とらえるから、結構自己チューだったなぁって、、、、、あぁ懐かしい(笑)
失恋もね、物理的に失恋するっていうより、ある日突然自分で気づくっていうね、、そんなもん。
葉子さんへの思いを断ち切る決心をしたコンビニ前でのナカハラ君の独白。
自分がすべてを受け入れることで彼女を裸の王様にしてしまっているって話は
個人的に胸に刺ささって反省したりして、、、、(超個人的な話)
この、追いケチャップのシーンはアドリブなんだって、色っぽすぎ☆
岸井ゆきのさん、成田凌くん、チャーミングではまり役でしたね。
ありえなさそうだけどありえるって思える日常でした。
愛がなんだ 2018年 ☆☆☆☆☆
監督:今泉力哉
出演:岸井ゆきの、成田凌、深川麻衣、若葉竜也
原作:角田光代
28歳の会社員・テルコ(岸井ゆきの)は、マモル(成田凌)のことが好きになって以来、仕事や友人がどうでもよくなるほどマモル一筋の生活を送っていた。一方、マモルにとってテルコは、ただの都合のいい女でしかない。ある日、二人は急接近しテルコは有頂天になるが、突然マモルからの連絡が途絶えてしまう。
でもそうじゃなかった。
家庭を作って子供を育てながら生きていくことを考え直すとても真面目な作品でした。
後半は迅と渚の関係というより、別れた奥さんとの子供の親権を争う裁判の話になってきて、
LGBTが社会にどう受け入れらるのかという問題が突きつけられるんだけど、
なんていうか、そうじゃない人もいて簡単ではないかもしれないけど、
今はけっこう許容されてる気もするんですよね。
だって相手の弁護士さんの感覚がね、誰も共感しない人になってる。
だから問題はそこじゃなくて、解決したのは相手に対する思いやりというか優しさだっていうことなんですよね。
あれ、、、言葉にしちゃうと軽い。
でも本質だなぁって思える良い結末でした。
宮沢氷魚さんね、ドラマ「偽装不倫」観てたんですよ。
現実っぽくなくてファンタジーが過ぎるというか(笑)
そもそも宮沢氷魚さんが現実にいそうもないファンタジーな雰囲気の人じゃないですか。
今作も宮沢氷魚さんの存在が大きかったですね、透明感があって繊細でいいんですよ。
とても地道なしっかりした内容なんだけど、全体にふわっと優しい印象だったのは主人公の二人の力が大きかった。
ちょっとネタバレなセリフなので注意ですけど
↓
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↓
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「自分たちが一番の弱者と思ってた」
渚のこのセリフは良かったなー。
ちょっと泣きそうでした。
物静かな迅に対して渚ってチャラいイメージなんですよね(たぶん見た目そういうキャスティングじゃないかと、、)
でも彼がお父さんとしてちゃんと成長してるんだなー。
だから家族の物語って感じるんですよ。
後で知ったんですけど、ドラマ「his〜恋するつもりなんてなかった」というドラマの続編的な作品だったんですね。
今泉力哉監督の「愛がなんだ」 まだ観てないんですよねー。
観なくちゃ☆
his
監督:今泉力哉
出演:宮沢氷魚、藤原季節、松本若菜、外村紗玖良
ゲイだと思われるのが嫌でひっそりと生活している井川迅(宮沢氷魚)の前に、別れた恋人の日比野渚(藤原季節)が6歳の娘・空を連れて現れる。迅はしばらくここで住まわせてほしいと言う渚に戸惑うが、空は迅に懐き周囲の人々も三人を優しく見守るようになる。ある日渚は、娘の親権を妻と争っていることを明かし、長年抑えてきた迅への思いを告白する。
三池監督はたまに大当たりするけど、そうじゃない確率も高いし、
「初恋」ってタイトルもなんかなぁなんて思ってたんですけど、
漏れ聞こえてくる話では、東映だからか「虎狼の血」と比べる方もいたりして、
だんだん気になってきましてね。
昨今の情勢からしてちょっと迷いましたけど行ってきました、ゴジラのいる映画館。(近場ではやってない)
結果 行ってよかった! 超~面白かった
これ、絶対ふざけてるでしょ(笑)
ふざけてるよね、ヤクザ映画なのにー
面白かったわ、クスクス笑えるとこたくさんあったもん。
予想してたのと全く違ってた。
登場人物が多いから最初がちょっと長いよね、
そもそもこの物語がとっちへ行くのかわかんないで観てるからね。
単純にボクサーのレオが主人公って話だけじゃない。
悪徳刑事の大森さんもだけどヤクザの加瀬(染谷くん)の策士そうでぜんぜんそーじゃないとこが最初の予想とずれまくりで、
武闘派ヤクザの権藤(内野さん)はかっこいいかと思いきや筋が通ってるけど古すぎて、個人的にきのう何食べた?のケンジ~~ってなりがちで(←ギャップでおかしくてたまんない)
そしてベッキーですよ!最高でしたわ。(説明してる場合じゃないもー観て!って感じ☆)
誰一人欠けても、この恋は生れなかった
たった一晩の出来事ですよ
いやぁ、濃密でした!ぶっ飛んでます!全部許す(なにを、笑)
最高に楽しかったです。
三池監督はときどき大当たりする、流石です。
初恋 2020年 ☆☆☆☆
監督:三池崇史
出演:窪田正孝、大森南朋、染谷将太、小西桜子、ベッキー、内野聖陽
新宿の歌舞伎町。身寄りのない葛城レオ(窪田正孝)は才能あるプロボクサーだったが、格下の相手に負け、試合後の診察で自身の余命がわずかだと知る。希望を失い街をうろついていたレオは、ヤクザと関わりのある少女のモニカ(小西桜子)を追っていた悪徳刑事の大伴(大森南朋)を殴り倒し、ヤクザと大伴から追われることになる。
数少ない私の鑑賞作品の中でも今年一番だと思ってる「凪待ち」を
8月に観たばかりというのに、3か月後にまたまたこんな凄まじい作品を観せていただいて驚くばかり、白石監督、今最高にノッてる監督さんでございます。
家族ってなんだろってつくづく考える。
親は親だよ、だから子は子。
かけがえのない存在なのに、同時に足かせにもなりえる関係性。
自由を与えてあげたくて人殺しをした母と、
母が父を殺すという環境で生きるしかなかった子供たち。
3人の子供たちの性格や関係性の描き方が秀逸で、
タクシー会社で働く人たちも、すべての役者さんたちが素晴らしい!!!
なりたかったものがあったはずなのに、思い描いていた人生ではないけれど、
ともかく必死で頑張ってる。
音尾さんは漁師になりたかったとは!と笑っちゃいました。
雄二(佐藤健)の尖りっぷりや愛想のない口調とかね、腹が立ったもんね、
あんな感じの息子おるよね。
驚いたのは母親で、間違ってない、絶対に後悔してない!!っていう一貫した姿勢。
自分が迷ったら子どもたちが迷うからっていうのがその理由で、
コンビニでビニ本を、、とか、肝が座ってる、このお母さん。
学ぶところありました、母親はブレちゃいけないと、、、
その度胸でDVの旦那をどうにかできなかったかと思うけど、きっと若かったんだね。
次男の雄二はお母さん似だよね。
ぶつかってるけど、あんたら性格似てるよって思ってた。だから親子ってのは!、、、
もっと暗くてずっしり重いのかと想像していたわりには、それよりは気が楽に観られたのは
タクシー会社のみな様のキャラクタでしょうかね。
家族内で殺人が起きたってことは世間で知られていて、嫌がらせもあるけれど、
真っ当に仕事してるし、お母さんを歓迎してて優しい良い人たちです。
個人的にはタクシー運転手の堂下(佐々木蔵之助)と息子の今後が気になって仕方ない。
あのお父さんがお気の毒すぎて、でもあなたがわかったように、いつか息子もわかる日が来ますよね、、、祈ります。
ひとよ 2019年 ☆☆☆☆☆
監督:白石和彌
出演:佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優、田中裕子、音尾琢真、
筒井真理子、浅利陽介、韓英恵、MEGUMI、佐々木蔵之介
ある雨の夜、稲村家の母・こはる(田中裕子)は3人の子供たちを守るため夫を殺害し、子供たちとの15年後の再会を誓って家を後にした。事件以来、残された次男・雄二(佐藤健)、長男・大樹(鈴木亮平)、長女・園子(松岡茉優)は、心に傷を抱えたまま成長する。やがてこはるが帰ってくる。
ドラマとHuluで同時展開中。
常々、映画は映画だけで完結して欲しいと言ってる派としてはちょっとアレなんですけど、
ドラマが面白いので映画も楽しみにしてました。
ジャニーズが3人出てるから、ジャニーズ映画なんだろけど、
アイドル映画だと思って敬遠するのはちょっともったいない作品。
私はかなーーーーーーり好きです!!
季節ごとに(定期的に)映画「セトウツミ」観たくなるくらい好きなんですけど、セトウツミの監督が本作の脚本家なんですよね。
ドラマ版は浜辺で高校生がただひたすら会話するシーンがあって、
まるで瀬戸くんと内海くん、もとい創楽と中弥で、そっくりだけどそれはそれでキャラ的に違う楽しみがある。
で、毎回感心するのが伏線の回収が見事なの。
それは映画でも見事でございました。
そして映画とドラマ、どっちかだけでも面白いし、どっちを先に観てもちゃんと面白い。
なかなか画期的な企画じゃないですかね。
抑圧された生徒が立ち上がる話ってむかーしからあって、古いっちゃ古い、でも普遍的なテーマでもあるし、
イマドキの高校生の熱くならない距離感とか、でもノリで盛り上がっちゃう感じとか、味付けがちゃんと今なんだよな。
校舎の壁の落書きがSNSみたいになっていくの、匿名だとみんな意見は言える。
モトローラちゃんママのそこらへんにはいなさそうな感じとか、
剣道部の顧問の数学の先生が決死の行動とか、
町工場の外人さん(と光石研さん)の心の叫びとか、たくさん面白いエピソードがあって、
でも一番の肝はそこじゃなかったんだね、
映画観るまで知らなかったので、そこのネタバレはしないでおきます。
主演の二人がよかったですよね。
創楽の必死さが実は単純な理由で共感できるし中弥が独特で、等身大の二人に近いのかな?って思うくらいに嵌ってた。
ヒロインのモトローラちゃんが存在感あって良かったです。
映画観終わってから、達磨の「音文」を聴きました(観ました)
感動してちょっと泣いちゃった。
ブラック校則 2019年 ☆☆☆☆
監督:菅原伸太郎
出演:佐藤勝利、髙橋海人、モトーラ世理奈、達磨、星田英利、坂井真紀
光津高校では、髪型、制服、行動に至るまで厳しい規則“ブラック校則”が定められている。目立たない存在の小野田創楽(佐藤勝利)と正反対に騒々しい月岡中弥(高橋海人)は仲が良く、二人には気になる女子がいた。彼女は生まれつき栗色の髪を黒く染めることを嫌がっていた。創楽と中弥は、彼女のためにブラック校則を潰そうと立ち上がる。
太宰治ってこういう人生だったんだなってわかる、入門編みたいな作品でした。
以前観た生田斗真くんの太宰治とはまた違う感じ。
太宰治を取り巻く3人の女たち目線の物語ですからね、
彼女たちはそれぞれの自分の意思を持って人生を生きて迷いがなくて逞しい。
それに対して太宰はただ優しく女たちに身を委ねて生きてるように描かれてました。
もっと悩みながら生きてる人のイメージだったけど、
小栗旬は色っぽくてモテるくず男で存在感がありました。
蜷川実花監督ならではの、綺麗で豪華な映像が素敵でした。
人間失格 太宰治と3人の女たち 2019年
監督:蜷川実花
出演:小栗旬、宮沢りえ、沢尻エリカ、二階堂ふみ、成田凌、千葉雄大
ベストセラーを連発する人気作家の太宰治(小栗旬)は、妻子がいながら作家志望の弟子・太田静子(沢尻エリカ)、夫を亡くした山崎富栄(二階堂ふみ)とも関係を持ち、さらに自殺未遂を繰り返すという型破りな生活を送っていた。そして太宰は、二人の愛人から子供がほしいと迫られる中、夫の才能を信じる妻・美知子(宮沢りえ)に支えられ、「人間に失格した男」をめぐる新作の執筆に取り掛かる。