ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『風の刑事・東京発!』1995~1996

2019-03-30 12:00:13 | 刑事ドラマ HISTORY









 
テレビ朝日系列の水曜夜9時枠にて、1995年10月から翌年3月まで全20話が放映された、テレビ朝日&東映の制作による刑事ドラマです。

名物シリーズ『さすらい刑事旅情編』の路線を引き継いだ、鉄道警察隊・東京駅分室の捜査官たちが事件を解決する地方ロケ主体の番組で、この放映枠における最後のフィルム撮り作品でもあります。

主演は『もっとあぶない刑事』以来の刑事役となる柴田恭兵さん。この'95年は舘ひろしさんが『新宿鮫/無間人形』、浅野温子さんが『沙粧妙子/最後の事件』と、あぶデカの中心メンバー3人がそれぞれシリアスな刑事ドラマで主役を張っておられるのが面白いです。

さらに柄本 明さんが主任に扮するほか、岡本健一さん、中野英雄さん、大寶智子さん、渡辺 哲さんといった顔ぶれが刑事を演じておられます。

そして東京駅構内の診療所に勤める女医に扮したのが萬田久子さん。画像で萬田さんの診察を受けてるのが、婦警役レギュラーの八木沢れいなさん。

この診察シーンに大した意味はありませんw そうした「ただのお色気サービス」がゴールデンタイムの番組で観られたのも、今となっては懐かしい思い出です。復活を強く望みますw

これは第5話『完全犯罪の女!? 記念写真の謎』(1995.11.15.OA/脚本=柏原寛司/監督=原 隆仁)の1シーンで、実はこの番組を観たのはこれが唯一。CATVで放映されてたのを気まぐれで録画し、どんなものかと観てみたら犯人役が石原良純さんだったもんで、笑いましたw。

内容的にはスタンダードな「アリバイ崩し」の捜査物で、特筆すべきものはありません。舞台は和歌山マリーナシティで、ポルトヨーロッパが思いっきりフィーチャーされてます。(開業して間もない頃だった?)

『太陽にほえろ!』のマイコン刑事を卒業してから約8年、良純さんの動きがちょっと滑らかになってますw 走るシーンが無いのも幸いでしたw かつて初期型パソコンにバカでかいフロッピーを差し込んでた良純さんが、スマートにノートパソコンを使っておられる姿には、時流の速さを感じます。

主役の恭兵さんはアクション無し&ユーモアも控え目で、渋い刑事像を構築されており、脱『あぶデカ』の意志が見て取れます。その手応えが、よりヒューマンな新シリーズ『はみだし刑事情熱系』へと繋がって行くワケですね。

前述の通り、この放映枠におけるフィルム作品は本作が最後となり、次の『はぐれ刑事純情派』第9シリーズよりVTR撮影に変更されちゃいます。それまでフィルムで撮られてた作品が、いきなりビデオの安っぽい映像に変わったのを初めて観た、あの時の衝撃は未だに忘れられません。世紀末も近かったし、本気で「破滅です」って思ったもんです。破滅です。

ひとつの時代の終焉であったことは間違いないですよね。
 
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『沙粧妙子/最後の事件』1995

2019-03-30 00:00:03 | 刑事ドラマ HISTORY









 
1995年の夏シーズン、フジテレビ系列の水曜夜9時「水曜劇場」枠で全11話が放映された、飯田譲治 脚本による刑事ドラマ。'97年3月には続編となる単発スペシャル『沙粧妙子/帰還の挨拶』も放映されました。

女性刑事を単独で主役にした点でも、また連続猟奇殺人や犯罪心理プロファイリングを本格的に扱った点でも、日本の刑事ドラマとしては先駆的な作品かと思います。暗いけど、独特の乾いた世界観でカルト的な人気を集めた作品でもあります。

警視庁刑事部捜査第一課の警部補=沙粧妙子を『あぶない刑事』シリーズの浅野温子さんが、今回は暴走することなくw、シリアス過ぎるほどシリアスに演じておられます。(演技が過剰という意味じゃ変わってないかもw)

ほか、沙粧の相棒となる新米刑事=松岡に柳葉敏郎、科捜研の技官=池波に佐野史郎、捜査第一課係長の高坂に蟹江敬三、その片腕となる中堅刑事=矢田に金田明夫、公安部の管理者=卯木に山本 學、元プロファイリングチームのリーダーで沙粧の元恋人=梶浦に升毅、沙粧の妹=美代子に黒谷友香、松岡の恋人=理江に飯島直子といったレギュラーキャスト陣に、香取慎吾、国生さゆり、松田美由紀、西村雅彦etc…という豪華ゲスト陣、さらに中谷美紀、広末涼子、反町隆史、高橋克典、柏原 崇etc…と、当時まだブレイク前だった若手たちも絡んできます。

「人間というものがいる限り、この世界から悪意が消滅することはあり得ない。そして悪意は、目に見えないものとは限らない」

↑ という冒頭テロップのように、多かれ少なかれ誰もが持ってる悪意や妬み、破壊願望を巧みに引き出し、マインドコントロールして若い殺人鬼を何人も生み出した黒幕が、沙粧妙子の元恋人である梶浦。

沙粧自身も狂気に蝕まれながら梶浦と対決していくという重苦しいストーリーなんだけど、単なる謎解きじゃなく人間の心理(ダークサイド)を探求していく作劇は当時新鮮だったし、浅野温子さんの過剰演技や佐野史郎さんの不気味さがドラマ内容と見事にマッチして、観ればクセになる妙な面白さがありました。

過剰演技と言えば、後にいくつもの作品を「やりすぎ」芝居で破壊することになる香取慎吾くんが、猟奇殺人鬼を演じた『沙粧妙子』では凄く光ってるんですよね。演じることにまだ慣れてないのが逆に功を奏したのかも知れないけど、そうしてキャストそれぞれの個性を絶妙に活かした脚本と演出が、本作を成功に導いたのは間違いないだろうと思います。

長期放映&1話完結が基本だった刑事ドラマも、'92年の『眠れない夜をかぞえて』あたりから1クール(12話前後)で1つのストーリーを描くフォーマットが取り入れられ、この『沙粧妙子』のヒットにより定着した感があります。

そしてもはやビデオ撮影は当たり前となり、長らく「テレビ映画」を観て育った私としては寂しい限りなんだけど、そこは時代の流れですから受け入れるしかありません。
 
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