第16話にて舘ひろし&黒木 瞳が降板、代わって郷ひろみ、高樹沙耶(現・益戸育江)、宍戸 開がキャストイン。ハードボイルド色もキザな台詞もなりを潜め、より『太陽にほえろ!』に先祖帰りしたスタンダードな集団刑事ドラマとして『刑事貴族』は再スタートを切りました。
☆第24話『天使と拳銃』
(1990.12.7.OA/脚本=田部俊行/監督=原 隆仁)
郷ひろみ編としては第8話にあたるエピソード。覚醒剤の取引を予告する匿名のタレコミ電話があり、風間刑事(郷ひろみ)らが現場を張り込みます。
予告通りに取引が行われるんだけど、警察の存在に気づいた売人が、運び屋のチンピラに銃弾を浴びせて逃走。焦った新米の村木刑事(宍戸 開)は、すぐ近くの小さな町医者にチンピラを担ぎ込みます。
その病院には美しい女医の民子(黒田福美)1人しかおらず、風間は警察病院にチンピラを移送しようとするんだけど、民子は慣れた様子で弾丸摘出手術を、たった1人で成功させちゃう。
それだけの腕前を持った民子の病院が、なぜスタッフも患者もいなくて開店休業状態なのか? 疑問(興味?)を抱いた風間は、彼女のことを調べます。
実は1年前、やはり拳銃で撃たれて担ぎ込まれたヤクザの組長を手術し、生命を救った民子は、反社会勢力に手を貸したとして世間からバッシングされ、病院にはヤクザ関係者しか寄りつかなくなっちゃったのでした。
数年前の連ドラ『ヤメゴク』で山口紗弥加さんが演じた女医と似た設定ですよね。こういう問題が現実社会でも、しばしば起こってるんだろうと思います。
患者から情報を聞き出したい刑事と、患者の治療を優先させたい医者との対立も、石原プロ制作『大都会』シリーズ等でお馴染みのシチュエーション。
そして民子は、「必ず戻って自首するから」っていうチンピラの言葉を信じて、彼を逃がしてしまいます。
風間は、覚醒剤取引をタレ込んだ恋人を、チンピラが殺しに行ったんじゃないかと睨み、またもや民子と衝突する事になります。
答えは、2人とも不正解。チンピラはただ、恋人を連れて逃げたかったのでした。そんな甘ったれたチンピラ野郎に、風間は言います。
「逃げたきゃ1人で逃げろ。お前の事だけを想って通報して来た、彼女の気持ちって解るか? 彼女まで巻き添えにするな。行きたきゃお前1人で行け。……行けっ! Go Go~ !!」
さすがヒロミGo! 刑事が犯人を目前にして「逃げたきゃ逃げろ」とは、なかなか言えませんよね。
これが舘ひろしさんだったら、わざと逃がして背後から撃ち殺しそうだけどw、ヒロミGo!の場合は本当に見逃がしかねない雰囲気があります。刑事という職にぜんぜん未練が無さそう。本業は歌手だしw
「あなたの勝ちね……」
「勝ち負けの問題じゃありませんよ。あなたは1人の男を信じた。それだけです」
「……ありがとう」
「いつか怪我した時はお願いします」
「うふふ」
『刑事貴族』郷ひろみ編は、だいたいこんなパターンですよねw 相手役の美女と、ロマンスが生まれそうで生まれない。女性視聴者はメロメロかも知れないけど、私は面白くありませんw
でも今回に限っては、黒田福美さんの好演もあって楽しめました。ヤクザしか寄りつかない町医者の悲しさや孤独がもっと切実に描かれれば、より味わい深いエピソードになったかも知れません
黒田さんは当時34歳。幅広くご活躍された女優さんで、特撮ファンには『電撃戦隊チェンジマン』の女王アハメス役でもお馴染み。だけど私は何と言っても、伊丹十三監督の映画『タンポポ』における、役所広司さんとの『ナインハーフ』ばりの濡れ場が忘れられません。あれはほんとエロかった!