ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』#046―2

2019-03-09 12:00:05 | 刑事ドラマ'70年代









 
第46話『黒幕は誰だ』で藤 竜也さんの恋人を演じた奈美悦子さんは、当時23歳。ナイトクラブの歌手という設定で、藤 圭子さんの『夢は夜ひらく』等を艶っぽく唱われてました。

金井克子さんや由美かおるさんを輩出した西野バレエ団のご出身で、女優業と同時に歌手活動もスタートされており、本作における美しい歌声もご本人のものと思われます。

バラエティー番組での歯に衣着せぬ関西弁トークの印象が強いけど、本作では無口で控えめな昭和女性をしっとりと演じておられ、意外にハマってます。

特に、ボス(石原裕次郎)の部屋に招かれるやいきなり「シャワー浴びろよ」とか「窓際に立って色っぽいとこ見せてくれ」とか言われて戸惑いながら、黙って従っちゃう姿が健気かつ実にセクシーで、萌えますw

ボスは後に、市川森一さんが脚本を書かれた第102話『愛が終わった朝』でもシンコ(関根恵子=高橋惠子)を自室に呼び出し、まずシャワーを浴びさせバスローブに着替えさせてました。独身貴族ならではの趣味でしょうか?w

今思えば、鎌田敏夫さんが書かれた本エピソードに刺激を受けた市川さんが、オマージュとして第102話で再現されたのかも知れません。

上記の通り、今回はボスの台詞回しもやけにハードボイルドで、鎌田さんが日活アクションの世界を強く意識されてるのがよく分かります。

裏社会の男である藤さんと結託し、完全にアウトサイドに行っちゃったように見えるボスや、そんなボスを部下たちが張り込み、盗聴機を仕掛けたりする展開も異色で、これは番組黎明期ならではの意欲作、そして実験作とも言えましょう。
 
 
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『太陽にほえろ!』#046―1

2019-03-09 00:00:34 | 刑事ドラマ'70年代









 
☆第46話『黒幕は誰だ』(1973.6.1.OA/脚本=鎌田敏夫/監督=山本迪夫)

街に出回る麻薬を根絶させるべく、ボスは過去に何度も逮捕した事のある裏社会の男=三浦(藤 竜也)と取引し、弟の密売容疑を見逃す替わりに手を組み、麻薬組織の黒幕を引きずり出そうと持ちかけます。

大量の麻薬を買い占める組織の黒幕は、三浦にとっても煙たい存在。利害関係が一致した二人は、日活無国籍アクションの世界へと還って行きます。

三浦のスケ=洋子(奈美悦子)をマンションの自室に連れ込み、窓際に立たせてセクシーな姿をわざと見せつけるボスの奇行に、部屋を張り込む捜査一係の部下たちは戸惑います。

もしかしてボスの目的は、捜査とは別の所にあるのか? 三浦の美しい恋人を見て、身体の一部がHOT! HOT!!になっちゃったのか?

洋子は、三浦が組織に消される前に彼を逮捕して欲しいと懇願しますが、ボスは拒否します。

「俺はだんだん本気になって来た。三浦と組んでこの世界でのし上がるのも、悪くないと思ってな」

「……あなたがそんな人だとは思わなかった」

「もし三浦が死んだら後は俺が引き継ぐ。良かったらアンタもね」

部屋に盗聴機を仕掛けたマカロニ(萩原健一)たちは卒倒しますw やっぱりボスの目的は、ただのチョメチョメ!?

勿論そんなワケがなく、ボスは味方をも欺く巧みな作戦で見事、黒幕を引きずり出すことに成功します。が、激しい銃撃戦の末に洋子が、そして彼女を守ろうとした三浦も弾丸を浴び、命を落とします。

死の間際、三浦は自ら両手を差し出し、ボスに手錠を掛けさせ、こう言いました。

「俺はいつも、アンタに捕まったな……煙草くれないのか? いつもくれたぜ……手錠掛けてからさ」

で、ボスが煙草をくわえさせ、マッチで火を点ける寸前に三浦が息絶える。石原裕次郎と藤竜也だからこそ絵になる、切なくもハードボイルドな世界。

生き残った組織の手下に2発の弾丸を浴びせ、気がつけばボス以外のゲスト全員が死体となって道に転がる、『太陽にほえろ!』史上でも屈指であろう壮絶なラストシーン。

脚本はもちろん、熱烈な裕次郎ファンを公言する残酷大将=鎌田敏夫さん。藤さんがゲストであることを前提に、日活アクションの世界を意図的に『太陽』で再現されたんだそうです。
 
コメント (6)
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