第46話『黒幕は誰だ』で藤 竜也さんの恋人を演じた奈美悦子さんは、当時23歳。ナイトクラブの歌手という設定で、藤 圭子さんの『夢は夜ひらく』等を艶っぽく唱われてました。
金井克子さんや由美かおるさんを輩出した西野バレエ団のご出身で、女優業と同時に歌手活動もスタートされており、本作における美しい歌声もご本人のものと思われます。
バラエティー番組での歯に衣着せぬ関西弁トークの印象が強いけど、本作では無口で控えめな昭和女性をしっとりと演じておられ、意外にハマってます。
特に、ボス(石原裕次郎)の部屋に招かれるやいきなり「シャワー浴びろよ」とか「窓際に立って色っぽいとこ見せてくれ」とか言われて戸惑いながら、黙って従っちゃう姿が健気かつ実にセクシーで、萌えますw
ボスは後に、市川森一さんが脚本を書かれた第102話『愛が終わった朝』でもシンコ(関根恵子=高橋惠子)を自室に呼び出し、まずシャワーを浴びさせバスローブに着替えさせてました。独身貴族ならではの趣味でしょうか?w
今思えば、鎌田敏夫さんが書かれた本エピソードに刺激を受けた市川さんが、オマージュとして第102話で再現されたのかも知れません。
上記の通り、今回はボスの台詞回しもやけにハードボイルドで、鎌田さんが日活アクションの世界を強く意識されてるのがよく分かります。
裏社会の男である藤さんと結託し、完全にアウトサイドに行っちゃったように見えるボスや、そんなボスを部下たちが張り込み、盗聴機を仕掛けたりする展開も異色で、これは番組黎明期ならではの意欲作、そして実験作とも言えましょう。