ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』#034

2019-03-01 12:00:07 | 刑事ドラマ'70年代









 
☆第34話『想い出だけが残った』

(1973.3.9.OA/脚本=鴨井達比古/監督=金谷 稔)

暴力団「竜神会」が絡む宝石密輸で運び屋を務める、1人の美女。その正体は大学教授=三浦(早川 保)の妻であり、ボス(石原裕次郎)のかつての恋人でもある加代子(江波杏子)だった!

いつ生命を落とすか分からない刑事という職業に就いた時、ボスは「家庭は要らない」と言って、一方的に加代子に別れを告げた。

その後、加代子はボスの学友だった三浦と結婚したものの、ずっと未練を引きずってる。宝石密輸に関わったのは、かつてボスにプレゼントされた宝石(イヤリング)の輝きを忘れたかったから。

結果的に加代子は口封じの為に殺され、三浦は妻を失ってしまう。ボスのせいで皆が不幸になったワケでw、そりゃあボスも生涯独身を貫くしかありません。

いつも冷静沈着なボスが、かつての恋人が犯罪に関わってる事実を前にし、さすがに今回はうろたえ、取調室でチンピラの頭髪を引きずり回す等の暴行を働きますw

そんなボスの異変をいち早く察知し、容赦なく真相を追及していく山さん(露口 茂)がやたら格好良く、髪の毛も少し伸びて、後年のコロンボ風の山さんに近づいて来ました。

逆に長さん(下川辰平)が散髪してお馴染みの坊主頭になったのは、山さんとキャラが被らない為の配慮なんでしょうか?

んな事はどーでもよくてw、ボスの元恋人を密輸に利用した挙げ句に抹殺した、にっくき暴力団=竜神会(今回が初登場!)は、七曲署の宿敵として今後も悪行を繰り返す事になります。

そして、悲劇のヒロイン=加代子を演じたのが、当時31歳の江波杏子さん。既に大映を代表するスター女優で、日活の大スター=裕次郎さんとの初共演が話題になりました。

「元」が付くとは言え「ボスの恋人」ともなれば、相当な美貌と存在感が求められた筈で、それに応えられる女優は江波さんしかいなかったかも知れません。ある種、現実離れしたカップルですよね。

その後も『Gメン’75』の刑事役などで活躍され、現在もバイプレーヤーとして変わらぬ存在感を見せてくれる江波さん。ホントに格好良い女優さんです。
 
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『太陽にほえろ!』#033

2019-03-01 00:00:07 | 刑事ドラマ'70年代









 
ショーケンさんの呑み友達だった縁と、第20話『そして愛は終わった』でゲスト=沢田研二さんの指名もあって『太陽にほえろ!』に初参加された脚本家=市川森一さんの第2作。

クールな色男ってキャラ設定がイマイチ馴染まなかった殿下(小野寺 昭)に、優し過ぎて刑事に向いてない男という新たな個性が与えられ、定着するきっかけになったエポックなエピソードでもあります。

先のジュリー編や第36話『危険な約束』など屈指の名エピソードの数々、そして番組終盤まで活躍する名物ゲスト=鮫やん(藤岡琢也)というキャラまで生み出した市川さんは、やっぱり凄い人です。

この第33話でも、殿下が刑事になった理由が「男らしさ」へのコンプレックスで、学生時代に男からラブレターを貰ったショックがきっかけだったり、殺人を犯した女性の動機が「土地への執着」だったりと、私ら凡人には発想出来ないアイデアの数々に唸らされます。

で、その女性を演じたのが、刑事ドラマファンにもタベリストにも馴染み深いベテラン女優=吉行和子さん。1950年代から活躍され、当時すでに37歳なんだけど、そうは見えない若々しさ。

本作は脚本も素晴らしいけど、吉行さんの吸引力&説得力ある演技で、とても見応えあるエピソードに仕上がってます。


☆第33話『刑事の指に小鳥が…』

(1973.3.2.OA/脚本=市川森一/監督=金谷 稔)

ストーカーにつきまとわれる人妻=澄江(吉行さん)の相談に乗り、知らず知らず彼女の魅力に傾倒していく殿下。そのストーカーが澄江のマンションで転落死した日から、落ちぶれた漫画家である彼女の夫(柳生 博)も行方不明になり……

ジュリー編と同じく冒頭から犯行の様子が描かれ、澄江が2人とも殺した事を我々視聴者は知ってるんだけど、その動機が分からないもんだから最後まで興味を引かれるし、彼女の本質に気づかない殿下にもハラハラさせられます。

最初に澄江が怪しいって言い出すのがマカロニ(萩原健一)なのも面白いし、殿下が初めて感情を露わにしてマカロニに掴みかかったり等、他の回では観られない描写が多々あって新鮮です。

しかし、華奢な女性である澄江に、大の男をベランダから突き落とす事が出来るのか? その疑問に対する答えを、澄江に同じ手口で殿下を突き落とそうとさせる事で示す、市川脚本らしい残酷さ。豹変する吉行さんの表情がまた圧巻です。

さんざん翻弄され、殺されそうになっても、最後まで澄江に対する思いやりを貫く殿下こそ、真に男らしい男と言えるかも知れません。市川森一さんが描く殿下は実に魅力的です。

吉行和子さんは後に第144話『タレ込み屋』にもゲストで登場されます。また今回は殿下の妹=島 京子も初登場しますが、演じた三谷文乃さんは1回限りの出演で、後に中田喜子さんが京子役を引き継ぐ事になります。
 
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