ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『刑事貴族3』1992

2019-03-17 12:00:04 | 刑事ドラマ HISTORY









 
1992年の4月から12月まで、日本テレビ系列の金曜夜8時枠で全26話が放映されました。本当はもっと続ける予定だったのが、人情系に流されて行く刑事ドラマ業界の波に、とうとう『刑事貴族』シリーズも呑み込まれ、あえなく打ち切りとなった次第です。

私みたいな好き者でさえ、この『3』あたりになるとほとんど観てなかったですから、もはやアクション系に需要無しと判断されても、まぁしょうがなかったかも知れません。

だって、これを最後にアクション系の連ドラが絶滅しちゃうなんて、夢にも思ってなかったんです。こんな事になるなら、もっとちゃんと観て応援すれば良かったって、今となっては悔やまれます。私が応援したからって何も変わりはしないんだけど。

シリーズ3作目で私が『刑事貴族』から引いちゃったのは、キャストがあまりに若い人ばかりになったから。もはや「刑事物ごっこ」にしか見えなくなっちゃったんですね。

前作の団優太さんを見た時点で既に、もう「勘弁してくれ」って私は思ってました。年齢的には『太陽にほえろ!』に出た頃のショーケンさんや優作さんと変わらない筈なのに、比較にならないぐらい幼く見えちゃうんですね。

で、この『3』から参入する新メンバーが、中山 忍さんと彦摩呂さん。もうホント子供にしか見えない! 彦摩呂さんも今や立派なデブのオジサンだけどw、当時はまだグルメ番組をやる前で可愛かったんです。

今なら寛大に観てられるけど、当時は私自身も若かったもので、刑事部屋が高校の部室みたいになっちゃうのが凄いイヤだったんです。かえって親近感が湧いて良いんじゃないの?って思われるかも知れないけど、そんなことは無いのです。

子供の頃、特撮ヒーローやロボットアニメの番組に、自分と同世代の子供が出てきて大活躍する場面を観て、嬉しかったかと言えば全然でしたからね。逆に「ウザい!」って感じてました。

理由はその時は分からなかったけど、自分が決して立ち入る事の出来ない憧れの場所に、自分と変わんないガキンチョがズケズケ入り込んでるのが、きっと悔しかったんでしょう。多分それと同じで、私にとって刑事ドラマの刑事部屋は聖域なんです。手が届いちゃダメな場所なんですね。

今になって観てみると、中山忍さんはめっぽう可愛いし、スリムな彦摩呂さんは軽快かつ軽妙で、良い味を出されてると思います。だからお二人のお陰で、代官署の捜査課がますます楽しくて、親しみ易い場所になってますねw

それこそが、この水谷さんのシリーズに根強いファンが多い、最大の理由なのかも知れません。でも私としてはやっぱり、七曲署や西部署の程良い緊張感が好ましいのです。もし自分が勤めるなら代官署の方が良いですけどw

そんなワケで、私は第18話から(降板した宍戸開さんと鳥越マリさんに代わって)高樹沙耶(現・益戸育江)さんが復帰し、前田耕陽さんが新登場した事は全く知りませんでした。この頃になると、TVドラマ自体ほとんど観なくなってましたから。

だけど近年CATVで第1話を観直したら、アクティブで楽しくて「やっぱ面白いなぁ、これ」って思いました。あらためて水谷豊シリーズの魅力について、これから観て検証しようかと、今は思ってます。

最後に『刑事貴族』シリーズで使われた銃器について。刑事ドラマがリアル志向になり、実際の警察拳銃に近い短銃身のリボルバーで統一されつつある中、このシリーズだけはバラエティーに富んだ拳銃を、各刑事のキャラに合わせてキャスティングしてくれてました。

舘ひろしさんは、オートマチック拳銃の代表格とも言えるコルト・ガバメントを使用。それまでの刑事ドラマじゃずっとリボルバー派だったのに、これ以降はすっかりオートマチック派……と言うよりガバメント派になられましたね。

布施 博さんは最初スタームルガーのセキュリティシックスなるリボルバーを使ってたけど、舘さん降板後はコルト・ガバメントを受け継ぎ、さらに布施さん降板後は宍戸 開さんが使ってました。

郷ひろみさんはベレッタM92SB。『ゴリラ/警視庁捜査第8班』で神田正輝さんが使ってたのと同じ銃だけど、リアルな取り扱いにこだわった神田さんと違って、ヒロミGo!は如何にも「持たされてる感じ」が丸出しで、銃なんかにゃまるで興味が無さそうに見えました。

そして水谷豊さんが愛用されてたのが、ガバメントを目一杯コンパクトに切り詰めたカスタム拳銃=デトニクス.45オート。如何にも命中率が低そうな拳銃ですw 愛車もコンパクトなら愛銃もコンパクトで、可愛いのがお好きなんですね。

ほか、地井武男さんがS&W・M10(ミリタリー&ポリス)の3インチ、布川敏和さんがコルト・ローマンMkーIIIの2インチ旧タイプ、田中 実さんがローマンの4インチ(『ジャングル』の時から愛用)、団 優太さんがS&W・M586の4インチ(『あぶない刑事』の舘さんと同じ)、寺脇康文さんがコルト・ナショナルマッチのステンレス(シルバー)モデル、彦摩呂さんがニューナンブM60。

女性陣は黒木 瞳さんと鳥越マリさんがS&W・M36(チーフスペシャル)2インチ、高樹沙耶さんはチーフスペシャルの他、日本のドラマじゃ珍しいワルサーPPK(ジェームズ・ボンドの愛用銃として有名)も使っておられました。

銃に……と言うよりガンアクションに興味がある方なら、このラインナップを眺めてるだけで楽しくなるんじゃないでしょうか? 昨今のドラマに登場する警察拳銃は、現実通りにニューナンブかSIG・P230ばかりで、リアルなのは良いけど無個性で面白みがありません。

そういう意味でも、この『刑事貴族』シリーズは日本で最後の「アクション刑事ドラマ」だったように思います。

1992年末……ついに、絶滅の時がやって来たのでした。
 
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『裏刑事/URADEKA』最終回

2019-03-17 00:00:13 | 刑事ドラマ'90年代









 
☆第12話『さらば裏刑事!涙の殉職』

(1992.6.30.OA/脚本=田上 雄/監督=成田裕介)

最終回は、さすがにハードな内容でした。凶悪犯を海外へ逃亡させる「逃がし屋」の組織を捜査中、超法規委員会のエージェント=芦沢雅子(戸川京子)が殺し屋に捕まり、拷問の末に殺されます。

敵=逃がし屋組織の狙いは、裏刑事の正体を探り、抹殺すること。雅子がエージェントである事を敵が知っていた=超法規委員会に内通者がいると睨んだ司令官の長谷(高松英郎)は、あえて敵の罠に掛かるよう岩城(藤 竜也)らに指示します。

「怖い……今度はあなたが狙われるわ」

長谷の娘であり、岩城の主治医でもある香織(財前直見)は、惨い殺され方をした雅子の遺体を見て、胸騒ぎを覚えます。

「ようやく、俺の死に場所が見つかったようなもんだ」

「イヤよ! もしあなたが死んだら、私……」

当初は岩城を実験材料としか見てなかった香織も、会う度に口説かれ続けた成果なのかw、立場を忘れて岩城の身を案じるようになりました。

しかし、次の犠牲者は岩城ではなく、例によって色仕掛けで逃がし屋組織に潜入していた小夜子(小林沙世子)でした。

内通者の名前を聞き出すことに成功したところで殺し屋に捕まり、同じく潜入してた岩城と三枝(近藤正臣)の目の前で撃たれちゃうのでした。

「あたし……どうした? 岩城さん……黒幕は、袴田って名前……」

「袴田か……分かった」

「ねえ、次は何をすればいい?…………」

演技力はいまいち拙かった小林沙世子さんですが、この最期の場面は彼女の子供っぽい口調が上手く活かされ、とても良かったです。

彼女も岩城と同じ裏刑事、すなわち一切の過去を捨てた身であり、死に際でも任務の事しか頭に無い(それしか気にすることが無い)っていうのが、また切ないです。

内通者は、超法規委員会で長谷の上司にあたる男=袴田(根上 淳)でした。彼が逃がし屋組織を操る黒幕であり、邪魔になった裏刑事を全滅させようとしてる。

こうなるともう、裏刑事稼業は存続出来ません。創設者である長谷は、岩城の身体に埋め込んだペースメーカーのリモコンを無効にします。つまり「命令に逆らえば心臓を停止させられる」という恐怖から、岩城を解放したのでした。

「今日限りで裏刑事の組織は解散する。今回の指令を受けるか否かは、君自身で決めてもらいたい」

涼しい顔で言う長谷に、岩城は溜まりに溜まった怒りを爆発させます。

「貴様っ! 命を管理されて生きる事がどういう事か、貴様に分かるかぁ―っ!?」

長谷の胸ぐらを掴み、思い切り投げ飛ばしてから、岩城は静かに言うのでした。

「……ギャラを頂きましょうか」

「やってくれるのか」

その一部始終を見ていた香織が、岩城に「せっかく自由の身になれたのに!」と泣いてすがります。

「コントロールされてなくたって、俺の心は裏刑事なんだよ。それにヤツらを殺らなきゃ、あんたの親父が殺される事になるんだ」

死んだ小夜子と同じく、過去を全て失った岩城はもはや、裏刑事としてしか生きられない身。香織への想いは本物だけど、彼女を幸せにしてやる事は出来そうにありません。

「どこかでまた、君よりも素敵な主治医を見つけるとするさ」

長谷から受け取ったアタッシュケースに入ってた拳銃は、コルト・ローマンMk-lll。裏刑事になる前の岩城=佐々木警部が愛用した拳銃です。

その拳銃で逃がし屋組織のボスと袴田を地獄へ送り、ついに岩城は裏刑事としてのラストミッションを終えるのでした。

それからどの位の月日が経ったのか、横浜の街を歩く香織に、クラシックなスポーツカーに乗った岩城が声を掛けます。このシーンはサイレント映画仕立てで、台詞は手書きの字幕により表現されてます。

『やぁ、先生 紹介するよ 俺が16年つき合ってる愛車だ 名前はゴンタ! こいつはひどいヤキモチ焼きでね 俺に惚れてる女を乗せると必ずエンストするんだ どうだい、試してみないか?』

香織を乗せると案の定、車はすぐにエンストしますが、岩城の事だからわざとやってるんでしょう。

『ゴンタは勘違いしているようよ』

『勘違いなら大歓迎だ』

そしてキスする二人……という、ハッピーかつノスタルジックな場面で『裏刑事』の物語は幕を下ろしました。

これは現実かも知れないし、岩城か香織が見た夢、あるいは妄想なのかも知れません。あれから岩城もよく考え、元の「佐々木」という男に戻って、香織と一緒に人生をやり直す気になった、と思いたいですね。

いずれにせよ、とても藤竜也テイストに溢れたラストシーンで、恐らく藤さんご自身のアイデアが反映されてるんじゃないでしょうか?

この最終回は良かったです。見応えありました。やっぱりレギュラーキャストの死は、ストーリーに緊張感を与えてくれますよね。

特に『裏刑事』はレギュラーもゲストも女性キャストの貢献度が非常に高く、彼女らの死がもたらすインパクトには、野郎どもが何人殺されようが敵わないものがありました。

ヤング裏刑事の西村和彦さん&山田雅人さんもアクション等よく頑張ってくれたけど、このブログでクローズアップする機会は遂にありませんでしたw やっぱイケメンよりつまんないものは、この世に存在しないワケです。

じゃあ、藤竜也さんはイケメンじゃないの?っていうツッコミもあるでしょうが、違います。イケメンなどという軽薄な表現は全く似合いません。

そんな俳優さんが活躍し、女優さんが惜しげもなく脱いでくれる『裏刑事』みたいなアクションドラマを、是非また観たいもんです。
 
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