ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『ザ・刑事』最終回

2019-03-06 12:00:04 | 刑事ドラマ'90年代









 

☆第23話『捜査秘話!署長の娘が殺人犯!?』(最終回)

(1990.9.30.OA/脚本=小川 英&杉 昌英/監督=川島義和)

寿署長(丹波哲郎)の一人娘である真理子(小高恵美)が、麻薬取締局に連行されちゃいます。麻薬売買への関与が疑われる女性ジャズシンガーが殺害され、彼女のレッスンを受けてた歌手志望の真理子が遺体の第一発見者となり、事情聴取を受ける羽目になっちゃったのでした。

多忙な署長は、真理子の身柄引き取りを矢島刑事(水谷 豊)に託すのですが、そんな冷たい父親に日頃から反発する真理子は、意地になって帰宅しようとしません。

矢島もワガママ娘にはつき合いきれないって事で任務を放棄しかけるんだけど、「真理子は本当の娘じゃないんだ」という署長の告白を聞いて、考えを改めます。

かつて署長の同僚だった真理子の父親は、20年前の爆弾テロ事件で妻と一緒に死亡。署長はまだ幼児だった真理子を引き取り、養子にして育てて来たんだけど、血が繋がってないことは未だ言えずにいたのでした。

矢島自身も、以前の事件で射殺した犯人(西山浩司)の幼い娘=あかね(中野美穂)を養子にすることを考えており、苦悩する署長の背中に将来の自分自身を見たのかも知れません。

で、殺された女が隠し持ってたらしい麻薬の行方を探す連中、すなわち殺しの真犯人たちに真理子が拉致され、矢島は彼女を救う為にわざと連中に捕まり、彼が残した手がかりから同僚刑事たちが連中のアジトを突き止め、最後は署長も駆けつけてアジトを制圧し、一件落着。

署長が実の父親じゃないことを矢島から聞かされた真理子は、それでも山積する業務を放り出して駆けつけて来た署長に、わだかまりを捨てて抱きつくのでした。

『はぐれ刑事純情派』がヒットした影響か、最終回は義理の父娘の絆を描いた人情ドラマとなりました。ただでさえ矢島刑事=水谷豊さんの一人舞台になりがちなドラマなのに、丹波哲郎さんまで活躍しちゃったらもう、他の刑事たちは単なる背景ですよねw

魅力的なキャラクターで幾多の人気ドラマを生んで来た水谷さんなのに、この『ザ・刑事』で演じた矢島刑事だけはどうにも好きになれません。ことさら「一匹狼」を意識し過ぎたのか、格好つけ過ぎだしユーモアが無さ過ぎるし、前述のとおり見せ場も独り占めで、イヤな奴にしか見えないんですよね。

他のメンバーたちにオーラが無さ過ぎるせいもあるだろうし、バラエティー寄りのキャスティングなのに話はシリアスだし、主人公1人だけがハードボイルドだし、その割りに人情ドラマだしで、いろんな歯車が噛み合わないまま最後まで来ちゃった……ように私は感じました。

結局、何がやりたかったんだろう?っていうのが率直な感想ですね。前に書いたようにテレ朝版『太陽にほえろ!』を狙ったんだとしたら、小林克也さんをボスにしてる時点で間違ってるしw、やっぱり水谷さん一人に比重を置きすぎましたよね。

同じ水谷さんの番組でも『刑事貴族』シリーズには松方弘樹さんや地井武男さんがおられたし、後輩の若手たちにも華がありました。『熱中時代刑事編』だってレギュラー陣はそうそうたる顔ぶれでした。それでも主役として輝く水谷さんには計り知れないパワーがあるワケで、バラエティータレントじゃ太刀打ち出来ないですよ。

やっぱりチームを描くならバランスのとれたキャスティングが必須。当たり前と言えば当たり前の話です。

最終回ゲストの小高恵美さんは、当時18歳。'87年に第2回「東宝シンデレラオーディション」でグランプリを獲得し、同年公開の映画『竹取物語』で女優デビュー。翌年には美少女アクションドラマ『花のあすか組!』で主役を務め、歌手デビューも果たされました。

その後も超能力少女「三枝未希」役で平成『ゴジラ』シリーズに6作連続出演されるなど活躍が続きましたが、元々病弱だったためか2000年に女優業を引退され、現在は旦那さんの演劇ユニットに参加しながら家庭を守られてるそうです。

刑事ドラマへのゲスト出演はレアで、この『ザ・刑事』は東宝作品ゆえの最終回スペシャルゲストだったんでしょう。ほかは『古畑任三郎』第2シリーズと『はみだし刑事情熱系』第4シリーズに1回ずつ出演されただけみたいです。

東宝シンデレラの先輩・沢口靖子さんより確実に演技は上手かったしw、清楚かつ快活なキャラクターは実に私好みで、萌えますw



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『ザ・刑事』#10

2019-03-06 00:00:10 | 刑事ドラマ'90年代









 
☆第10話『殉職!少女の愛に散った刑事』

(1990.6.17.OA/脚本=小川 英&若月ユウ陽/監督=日高武治)

かつて矢島(水谷 豊)が射殺した犯人の娘で、それ以来ずっと矢島が面倒を見てる幼女・あかね(中野美穂)が何者かに誘拐されます。

折しも矢島は山梨に出張中で、代わりに坂上(江口洋介)が犯人の洗い出しに奔走します。坂上は幼い頃に両親を亡くし、親戚をたらい回しにされた暗い過去を背負っており、同じ孤児の境遇であるあかねに肩入れしてるのでした。

やがて犯人は矢島に恨みを持つ前科者・岸田(南条弘二)と判明。必死の捜索で岸田のアジトを見つけ出した坂上は単身で潜入し、あかねを救出しようとするんだけど、彼女を守る為に2発の銃弾を浴びてしまい、遅れて駆けつけた刑事たちがモタモタしてる間に絶命しちゃうのでした。

この殉職シーン、手も足も出せず、救急車も呼ばず、犯人・岸田の弟が必死に説得する姿を後ろでただボーっと見てるだけという、仲間の刑事たちのあまりの無能ぶりにイライラしてしまい、感傷に浸る気分になれません。

アジトと言ってもマンションの狭い一室で、岸田は弟の方を向いて完全に背後が無防備で、いくらでも飛びかかるチャンスがあるのに、自首を待ってるのか悠長に見物してる刑事たち。

しかも岸田と弟の会話が「お前は矢島のせいで、あんなに好きだったサッカーが出来なくなったんだぞ!」ってw、足下で坂上が死にかけてるのに青春ドラマみたいな会話をしてる。

なんで矢島のせいでサッカーが出来なくなったかと言えば、かつて岸田が強盗をやらかして人質をとった時、説得に駆けつけた弟の足を矢島が撃ったから。矢島がなぜ、岸田を撃たずに弟の足を狙ったのか、その説明は一切なし。それはそれでメチャクチャな話ですw

(しかも弟の足はもう完治してて、ただプロのサッカー選手になる夢を自分の意志で諦めただけ。それで兄がここまで矢島を恨むってのもメチャクチャな話です)

で、諸悪の根源である矢島が最後に颯爽と現れて、余裕の笑みを浮かべながら「撃つなら俺を撃て。ただし1発で殺せよ。しくじったら俺が撃つからな」とか言って格好つけてる。全部あんたのせいやろ! それより死にかけてる坂上を早く何とかしたれよ!

で、弟が「矢島さんは悪くない! 僕の就職先も矢島さんが紹介してくれたんだ!」とか言って、無意味に足を撃たれたことも忘れて矢島をかばい、油断した岸田の足を瀕死の坂上が掴んだところで、やっと刑事たちが飛びかかるという体たらく。

しかも、どさくさに紛れて撃たれた篠丸係長(小林克也)がちゃっかり防弾チョッキを着てるのを見て「さすが係長!」とか言ってひと笑いしてから、ようやく思い出したように「坂上、死ぬなっ!!」ですからねw

で、あかねの安否を気にする坂上の前に、矢島が「安心しろ、無事だ」とか言って彼女を連れて来るんだけど、全身血まみれになって死のうとしてる人の姿を、そんな幼い子供に見せていいのか?とも思うし、そういう余計な事ばっか気になって「殉職」という肝心なイベントがちっとも胸に響いて来ない。

「お兄ちゃん、ありがとう」

「……幸せになれよ……」

本来なら滝の涙を流すべき絶命シーンも、もはや冷めた眼でしか観られません。矢島が感傷に浸りながらハーモニカを演奏するラストシーンにも、何もかもアンタのせいやろ!っていう怒りしか湧いて来ませんw

なんでこんな事になっちゃったんでしょう? 誰も脚本に疑問を抱かなかったんでしょうか? それとも現場で脚本をあれこれ変更するうち整合性を見失ったとか? 時間に追われる撮影現場では皆がテンパって、自分が今なにをしてるのか分からなくなったりするんですよね。

それにしたって、いくらなんでも今回はメチャクチャだったように思います。これじゃ坂上刑事が浮かばれません。たった10話で降板した事実を考えると、創り手が江口洋介さんに意地悪してわざと変な話にしちゃったとか、ゲスな勘繰りまでしたくなっちゃいます。

坂上刑事は『太陽にほえろ!』のジプシー刑事みたいな過去設定があったり、拳銃にはいつも1発しか弾丸をこめないという、ゴリさん的な設定まで(劇中じゃ一度も活かされなかったけど)あって、けっこう若手の中心的ポジションを担ってる感じだったのに、大した活躍もせずに終わっちゃいましたからね。

各エピソードがいちいち矢島=水谷豊さんを立てる構図になってる(それが今回みたいに話をイビツにしちゃう場合もある)ことに、江口さんが不満を言って干されたとか、そんな裏事情まで邪推せずにいられません。

そんなワケで『ザ・刑事』、やっぱいまいちパッとしません。ちっとも話題にならずに終わった理由が何となく分かります。だから江口さんも早く降りたかったんでしょう。

あかねを演じた子役の中野美穂さんは現在、声優「真坂美帆」として活躍中。

セクシー画像は、後に女バトルコップを演じることになる中村あずささん、当時23歳。清楚な雰囲気にエクボがチャーミングで、萌えますw

'87年のデビューから'98年の結婚&引退まで、芸能活動は約10年。その中でTVドラマ初レギュラーは日テレの『あきれた刑事』で、『ザ・刑事』の後には同じテレ朝の『ララバイ刑事'93』でも鶴太郎さんと共演される等、何かと刑事ドラマに縁のある女優さんでした。
 
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