☆第23話『捜査秘話!署長の娘が殺人犯!?』(最終回)
(1990.9.30.OA/脚本=小川 英&杉 昌英/監督=川島義和)
寿署長(丹波哲郎)の一人娘である真理子(小高恵美)が、麻薬取締局に連行されちゃいます。麻薬売買への関与が疑われる女性ジャズシンガーが殺害され、彼女のレッスンを受けてた歌手志望の真理子が遺体の第一発見者となり、事情聴取を受ける羽目になっちゃったのでした。
多忙な署長は、真理子の身柄引き取りを矢島刑事(水谷 豊)に託すのですが、そんな冷たい父親に日頃から反発する真理子は、意地になって帰宅しようとしません。
矢島もワガママ娘にはつき合いきれないって事で任務を放棄しかけるんだけど、「真理子は本当の娘じゃないんだ」という署長の告白を聞いて、考えを改めます。
かつて署長の同僚だった真理子の父親は、20年前の爆弾テロ事件で妻と一緒に死亡。署長はまだ幼児だった真理子を引き取り、養子にして育てて来たんだけど、血が繋がってないことは未だ言えずにいたのでした。
矢島自身も、以前の事件で射殺した犯人(西山浩司)の幼い娘=あかね(中野美穂)を養子にすることを考えており、苦悩する署長の背中に将来の自分自身を見たのかも知れません。
で、殺された女が隠し持ってたらしい麻薬の行方を探す連中、すなわち殺しの真犯人たちに真理子が拉致され、矢島は彼女を救う為にわざと連中に捕まり、彼が残した手がかりから同僚刑事たちが連中のアジトを突き止め、最後は署長も駆けつけてアジトを制圧し、一件落着。
署長が実の父親じゃないことを矢島から聞かされた真理子は、それでも山積する業務を放り出して駆けつけて来た署長に、わだかまりを捨てて抱きつくのでした。
『はぐれ刑事純情派』がヒットした影響か、最終回は義理の父娘の絆を描いた人情ドラマとなりました。ただでさえ矢島刑事=水谷豊さんの一人舞台になりがちなドラマなのに、丹波哲郎さんまで活躍しちゃったらもう、他の刑事たちは単なる背景ですよねw
魅力的なキャラクターで幾多の人気ドラマを生んで来た水谷さんなのに、この『ザ・刑事』で演じた矢島刑事だけはどうにも好きになれません。ことさら「一匹狼」を意識し過ぎたのか、格好つけ過ぎだしユーモアが無さ過ぎるし、前述のとおり見せ場も独り占めで、イヤな奴にしか見えないんですよね。
他のメンバーたちにオーラが無さ過ぎるせいもあるだろうし、バラエティー寄りのキャスティングなのに話はシリアスだし、主人公1人だけがハードボイルドだし、その割りに人情ドラマだしで、いろんな歯車が噛み合わないまま最後まで来ちゃった……ように私は感じました。
結局、何がやりたかったんだろう?っていうのが率直な感想ですね。前に書いたようにテレ朝版『太陽にほえろ!』を狙ったんだとしたら、小林克也さんをボスにしてる時点で間違ってるしw、やっぱり水谷さん一人に比重を置きすぎましたよね。
同じ水谷さんの番組でも『刑事貴族』シリーズには松方弘樹さんや地井武男さんがおられたし、後輩の若手たちにも華がありました。『熱中時代刑事編』だってレギュラー陣はそうそうたる顔ぶれでした。それでも主役として輝く水谷さんには計り知れないパワーがあるワケで、バラエティータレントじゃ太刀打ち出来ないですよ。
やっぱりチームを描くならバランスのとれたキャスティングが必須。当たり前と言えば当たり前の話です。
最終回ゲストの小高恵美さんは、当時18歳。'87年に第2回「東宝シンデレラオーディション」でグランプリを獲得し、同年公開の映画『竹取物語』で女優デビュー。翌年には美少女アクションドラマ『花のあすか組!』で主役を務め、歌手デビューも果たされました。
その後も超能力少女「三枝未希」役で平成『ゴジラ』シリーズに6作連続出演されるなど活躍が続きましたが、元々病弱だったためか2000年に女優業を引退され、現在は旦那さんの演劇ユニットに参加しながら家庭を守られてるそうです。
刑事ドラマへのゲスト出演はレアで、この『ザ・刑事』は東宝作品ゆえの最終回スペシャルゲストだったんでしょう。ほかは『古畑任三郎』第2シリーズと『はみだし刑事情熱系』第4シリーズに1回ずつ出演されただけみたいです。
東宝シンデレラの先輩・沢口靖子さんより確実に演技は上手かったしw、清楚かつ快活なキャラクターは実に私好みで、萌えますw